ルールブレイカー


 冒険者、闘技者たちには一定にルールというか常識がある。


 ジョブというものがある。

 レベルが上がると、ジョブ特有の固有スキルを覚えられる。必要レベルは共通だ。

 固有スキル以外に、生まれ持ったパッシブスキルがある。

 固有スキルにはアクティブスキルとパッシブスキルがある。



『仲間強化』や『加護』のスキルはパッシブスキルであり、特に気にせず常に常にかかっている状態だ。。

『ファイアーボール』『ヒール』などはアクティブスキルだ。このスキルを選択すると特殊な攻撃や魔法が使える。


 物理攻撃スキル、魔法攻撃スキル、回復スキル、等など様々だ。

 そして、一定のレベルに達すると、必殺技と呼ばれる上位スキルと呼ばれているモノがあり、それらは強力な反面クールタイムがとても長いスキルとなっている。


 スキルを使った後は、一定の時間が経たないと再び使えない。

 これが常識だ。スキルは時間さえ経てば何回でも使えるんだ。

 一瞬の隙をつく戦闘中は無計画にスキルを使ってはいけない。


 ……なんか、俺のアクティブスキルがおかしい。

 プリムとクリスのスキルはこの世界の流れに沿っている。といっても新種に近いが。

 ちゃんとクールタイムがある。


 俺の攻撃スキル『流れ星剣』はクールタイムというものが無かった。ただ、身体の力がごっそりと持っていかれる……。

 連続で使えるが、何回も使えるわけでない。


 パネルで確認すると、俺にはSPというステータスが存在していた。ステータスにそんな項目は存在していない。

 俺しか持っていない。

 スキルを使うとそのSPが一定量減る。

 なんか、帝都で流行ったゲームのシステムに似てるな。

 どちらも一長一短だ。

 SPが尽きたら何もできなくなる。……回復薬で回復できるのか? そもそもSPって何の略なんだよ……。


 てか、ジャミロとの戦闘後、かなりステータスが上がったな。

 ……通常なら闘うだけなら経験値が入らない。レベルが上がらない魔物や人を殺さないと駄目だ。

 それなのにステータスが上がった。格上との戦いの経験を得たということだろうか?




 現在、ダンジョンを探索中。

 探索をしながらまとめた思考の検証をしたりしている。


「うらららぁ!! ていっ!」

「プ、プリム、あんまり前に出すぎなちゃ駄目なのじゃ! といっ!」


 可愛らしい二人の掛け声だが、結構な威力の攻撃で低級魔物をばったばったなぎ倒していく。

 レベルも上がってんな。

 ……俺は低級魔物を倒しても全然ステータスが上がらない。やっぱ強い相手と戦わないと駄目なんだな。


「ファイアーボール!!」


 二人の後ろにいたゴブリンに魔法を放つ。

 さっき修練所で以前使えていた魔法をイメージして何度も練習したら『閃いた』。


 なんだかこれって、普通の修練と変わんねえな。頑張って努力して修行して技を覚えて……、うん、性に合ってるわ。

 ファイアーボールで減ったSPは時間が経てば回復する。

 それにご飯を食べても回復するし、傷薬でも回復する。

 体力と直結してる感じだな。


 正直、今の俺の基礎ステータスは異常に高い。……これってさ、俺が12歳の頃から強くなるために必死に修練した積み重ねがステータスに反映されてないか?

 レベルが下がる前も、レベルが下がった後は人の3倍は修練の時間に費やした。


 だからステータスの数値が身体に馴染むんだよな。

 といっても、女神の騎士系統のスキルは『流れ星剣』しか覚えていない。


 魔法剣士のスキルは何故か俺の身体に馴染まなかった……。多分覚えられるだろうけど、なんか違う。



「おーい、ちびっこたち!! 今日はこのくらいにして帰ろうぜ! 明日またレベル上げるぞ〜」


 少し離れたところにいる二人に声をかける。

 魔物を倒し終えた二人は俺に笑顔で返事をしてくれた。



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