第5話 ことの大きさ

「大和、好き…」

千夏は声を絞り出して言った。

「千夏…、うち来て…」

大和は千夏の返事を聞く前に手を取って、自分の家の方へ歩いていった。


「あがって」

「お邪魔します…」

千夏は心臓がドキドキして止まらなかった。

千夏が靴を脱ぐと、また手を引っ張られて大和の部屋に入った。


部屋に入ると大和は千夏にキスをした。

「ん…」

何度も何度も…。

大和はそのまま、ゆっくりベットに押し倒した。

大和が千夏の手をとり、自分の首に手を回すように促した。


「好きだ」

大和は唇を離し、千夏を見つめながら言った。

「私も、好きだよ」

千夏はそう言うと、涙がこぼれた。

大和は千夏の涙を拭う。

「色々考えちゃうと思うけど、今は俺の事だけ考えて」

「うん」


大和はキスの続きをした。

「大和っ…」

大和は構わず続ける。

「大和…」

「ん?」

大和は止まらなかった。

「…するの?」

「ん…。嫌?」

大和は千夏に覆いかぶさって聞いた。

「嫌じゃない…。でも…」

「でも…?」

「…。私…」

「…?」

「初めてなの…」

「え…。そうなの…?」

「うん…」

「そっか…」

「慣れてなくてごめん」

大和は目をパチクリさせた。

「慣れてる方が嫌だって…」

大和は笑って、千夏の頬にキスをした。

「今日はやめる」

「うん…。ていうか展開早すぎだよ…」

「ごめん、嬉しくて」

「うん…」

「このまま、昼寝する?」

大和が千夏を優しく抱き寄せた。

「うん」

千夏も抱きしめ返した。



「ただいまー」


「!!」

「やばい!心美だ!」

「え!」

急いでベットから起きて、服を直した。


「心美、お帰り」

大和が一足先に部屋を出る。

「ただいま。誰?」

「あぁ…、千夏」

「心美ちゃんお邪魔してます」

千夏も部屋から出てきた。

「千夏ちゃん。…髪はねてるよ?」

「え!」

千夏は頭を撫でた。

あまりにも検討違いのところを撫ででいるので、大和がさっと直した。

が、後でしまったと思った。


「うん。オーケ」

心美はニッコリ笑った。

(鈍くて助かった…)


「お兄ちゃん、公園行ってくる」

「いいけど、宿題先!」

「はーい…」

心美はトボトボ部屋に入っていった。

「じゃ、大和、私帰るね」

「うん」


大和は玄関まで、千夏を送っていった。

「じゃ、お邪魔しました」

「うん。バタバタしてごめんね」

「ううん」

千夏は笑った。

大和は千夏にキスをした。

「心美ちゃんいるのに…」

「宿題やってるから大丈夫だよ」

「もう…。じゃまた明日ね」

「うん」


心美は、見ていた。

(後で、千尋に話そ)

心美には事の重大さが分かっていなかった。

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