第11話

十一

 大みそかの日に四人は久しぶりに全員で美世の家に集まった。ささめの母こと美佐子さんが用意してくれたのは薄灰色の着物で、深い青の帯が目を引く作りとなっていた。灰色の濃淡に差をつけたり帯飾りの種類を変えたりするなど細部に違いを持たせることで見た目の美しさにこだわっているのは伝わるが、しかし何といっても年の瀬は寒い。それも見越してか美佐子さんは生地は薄いのに着てみると温かい高機能インナーと高級感のある黒い羽織に同色の手袋まで用意してくれていた。

衣装をまとって意気揚々と出発する直前の四人に、玉美が温かい緑茶と味噌まんじゅうを振舞った。四人は二階に行けば暖房のきいた温かい部屋で過ごせるというのにわざわざ縁側でお茶を楽しんだ。冬のどこか儚い青空が一面に見渡せるということが縁側の寒さに四人が打ち勝った理由である。しかし山から吹き下ろす凄まじく冷たい風は半野外でお茶を楽しむ者どもを容赦なく凍てつかせるので、さっさと切り上げてあちらへと向かわねばならなかった。四人はめいめいに一升瓶と漆塗りの盃を手にしてあの巨木のもとへと歩き出した。

酒のたっぷり入った瓶は重たく冷たい。去年もあちらまで酒を運んだはずだが美世は家から出て数歩歩いただけでもう帰りたくなった。今日は踊りを披露しないということもやる気が上がらない理由の一つかもしれない。

「昔は、この酒も粟見で作っていたんだって」

 辛さを和らげるためか、修がしゃべりだした。

「酒造りが専門の一族があったらしい。でもなぜか途絶えてしまった」

「じゃあこの酒はどこから来たんだ?」

 晴豊の質問に答えたのは美世だった。

「酒も美佐子さんが吟味して決める。美佐子さんの美しいものとか美味しいものへの執念と審美眼は粟見で一番確かだからね」

 美世はなぜかちょっと悔しそうに言った。晴豊は改めて酒瓶のラベルを読んでみたが難解な漢字を更に読みにくくするようなシャレたデザインが施されているのでこれの名前を当てるのは無理そうだということしかわからない。

「当然この盃も美佐子さんが用意してくれたと思うだろう?」

「え?違うのか?」

「盃はね、絶えた酒造りをする一族が用意していたものを使うのよ」

 修の出した問いかけをささめが引き取った。

「実はその一族は稲取の分家にあたるのですって。彼らの残したものは稲取が管理することになったからウチにはこの盃がたくさんあるの」

「へぇ、そんなに古いものには見えないけどなぁ」

 美世も改めて盃を見つめてみる。盃の外側はつやつや輝く黒色で内側が朱色に塗られた作りはシンプルなぶん素材の良さが引き立っている。どこにも傷などなく、確かに出来立ての新品と言われても納得できそうだ。

「稲取が大事に保管してくれているから今でも活用できるね」

「そう言ってもらえるのは嬉しいけれど、やっぱり元が素晴らしい出来なのよ。今ではこれを作ることは不可能だってお母さまも認めていたわ」

「どうしてそんなに凄い一族がいなくなっちゃったんだろうな」

「…さぁ。なんせ今では名前も伝わっていないほどだからね」

 美世もそれが不思議でならなかったので釈然としない返事しかできなかった。

 巨木の前までたどり着いた四人は片手に酒瓶を抱え空いた手で他の子の腕をつかんで横一列に並んだ。頑なに腕に酒を抱えたままの理由は捧げものに土をつけるわけにはいかないからだ。四人の中で一番左端に立って他の子の腕をつかむ必要のないささめが空いた片手に全員の盃を受け取って、四人はいつもの言葉を口にし、真冬でも枝いっぱいに青葉を繁らせる巨木から大量に葉を降らされてあちら側へと無事に移動した。

今回のあちら側の空は分厚い雲で蓋をされていた。そして周囲は、雪に覆われた銀世界だった。あちらに行く前の凍てつくような風は無いものの、冷え切った空気は一段と寒さを増したように感じられた。

「さっさと渡して帰らないと俺たちまで冷凍されちまいそうだな」

 晴豊は寒さでかみ合わない歯をガチガチ言わせながら言った。

「いっつも年の瀬だけはあちら側と季節が一致するんだよ。やる気下がりそうだから来るまで言わなかったけど」

 そう言う修もぶるぶると震えている。

「なぜかあちらの方が寒いのよね」

「でもこの足袋は防雪仕様になっているから雪の中も歩いていけるよ。前々から僕は次は長靴で行きたいって言っていたのだけれど美佐子さんが許してくれなかったんだ。足袋を強化するから長靴はダメだって」

 美世が足袋で雪を軽くつついた。足先に冷たい感触はあるが雪が浸み込んだりはしない。

「長靴もかっこいいと思うけどな」

 積雪量は五センチ以上十センチ未満といったところだろうか、掻き分けるというほどでもないが繰り出す足が雪に沈む。自然と晴豊が踏み固めた道を後の三人が続くように歩き出した。雪道を歩くのが始めたな晴豊は興味津々に歩を進め、途中で後ろの三人からもっとゆっくり歩いてほしいと注意されるほどずんずん歩いてしまっていた。

 晴豊が目指したのは雪原に突き出した針葉樹の一群だった。もっとも晴豊は針葉樹というものを知らないのでなんかツンツンして細い木ようなもの、ということしか分かっていなかったが。歩きながら晴豊はあちらへ行くと大抵は開けた平坦な場所に出るのはなぜだろうかと考えていた。近くに田畑や川が見えることはあるのだが海の近くに出たり民家などの建物が見えたことは無い。

まるで誰かが自分たちを見つけやすいところに招き入れているみたいだ。

近くで見ると木々は予想していたよりも背が高く、伸ばした枝はまるで侵入した者を逃すまいと囲むようで晴豊でなければ進むのを躊躇したかもしれない。しかし肚を決めた晴豊に躊躇は無い。晴豊にはどうしても会いたい相手がいるのだ。

年の瀬の挨拶には自分と一番縁のある方と会えるのだと美世は教えてくれた。それならば自分が会えるのはここに来た時に初めて会った、あの額に腕を持つ怪物だろうと晴豊は確信していた。一番最初に会うのが四人の中の誰に縁のある方かは分からないが。

真っすぐに歩けやしないほどに間隔を詰めて生えている針葉樹の奥に、横たわる長い影が見えた。晴豊の直感がそこに危険があると告げている。

「危ないかもしれないから三人はここで待っててくれ」

「嫌だ。君だって今日は帯剣してないからいつもより無力じゃないか。両手だってふさがっているし」

「というか年の瀬はそういう物騒な事件を起こさない決まりだから大丈夫だよ」

 美世と修が次々に反論した。

「決まりって誰が決めたんだよ?」

 自分の意見に従ってくれないからというよりは純粋に疑問に思って晴豊は訊ねた。

「昔々から決まっているのよ。私たちを信じて」

 そうささめに言われ、多少納得いかないものの晴豊は三人が付いてくることを渋々了承した。ただし先頭は譲らなかったが。

 影の正体は根っこから引き抜かれた針葉樹だった。しかも一本どころではない。なぜ、誰がこんなことをしたのかはすぐに分かった。無造作に積まれた木々の先に横たわる巨大な紫色の背中が見えたからだ。どうやらその巨体を横たえるのに邪魔だった木を手当たり次第に引っこ抜いたらしい。酒と杯で両手のふさがっている四人は、積まれた倒木を登るわけにもいかなかったので回り込むようにしてその背中へと近づいた。そしてもうその剝き出しの背中と一メートルと離れていない場所まで来ると、晴豊は意を決して口を開いた。

「今年も年の瀬となりましたので御酒を捧げに参りました。どうぞお受け取りください」

 美世たちから教わった口上を、晴豊は大声でゆっくりと申し上げた。

 背中は最初、無反応のように思われたが、低く間延びした大きな音とともにゆっくりと伸縮した。どうやらあくびをしたらしい。

「なんだお前か。今更何をしにやってきたのだ」

 怪物は太い声で文句を言いながら起き上がり胡坐をかいた。相変わらずこの寒いのに腰蓑しか身に着けず、額から生えた腕でぼりぼりと頭をかいている。

「お前には失望した。酒置いてとっとと帰れ」

 これは挑発だ、と晴豊には分かった。言葉はつっけんどんでも怪物の口の端が上がっている。

「俺はあんたに聞きたいことがあったから来た」

 晴豊の恐れを知らないものの言い方に他の三人は内心冷や汗をかいた。しかし怪物は気にしないどころか薄っすらと笑みを浮かべている。

「ほう。ならば酒を寄越せ。答えてやる」

「いいや、あんたに答えてもらってから酒は渡す」

「おい、それは罷り通らんぞ。お前は儂に酒を捧げると言ったではないか」

「言ったけど、やっぱやめだ」

 怪物は薄っぺらな笑みを消して晴豊を睨んだ。晴豊も引いては負けだと言わんばかりに睨み返す。その様子に三人の中でも特に美世は気が気でなかった。この怪物と前回出会った時には早々に足を折られ、引っこ抜いた木を振り回しながら追いかけられたことを覚えているからだ。自分たちに言葉を用いてはいるものの交渉事など通じるはずがない。この怪物なら年の瀬に乱暴なことはしないという粟見の慣例を破ってしまうかもしれない、とかなり恐れている。

「がっはっはっはっは。お前、儂に楯突く気概があってどうして己の役目を果たせぬのだ。宝の持ち腐れにもほどがあるぞ」

 怪物は空気を震わせるほどの大声で笑った。その耳障りさと言ったら大事な酒から手を離してでも両耳に手を当てたいと心から思わせるものであった。四人のうち誰も酒を落とさずに済んだのは奇跡といってもいい。

「俺の役目ってなんだよ?いや、何となく分かるけどさ。ここに来るといっつも誰かが俺や俺の周りの誰かを攻撃するのって、あんたのせいだろう?」

「ほう。儂か」

 怪物は笑みを崩さない。

「今日まであんたとは直接会ってなかったしそんなことする理由も分かんないんだけどさぁ、全部あんたが裏で仕組んでる気がするんだよ」

「生意気にも儂の痕跡に気付きおって。そうだ、儂が果泥の亡者どもを使ってお前を殺そうとした。しかしお前は逃げた。この臆病者めが」

 怪物はあっさり白状しただけでなく晴豊をそう罵りさえした。

「なんでそんなことするんだよ。俺、あんたに恨まれるようなことしたか?」

「お前も儂も、武が生業であるからだ。他に所以などない」

「あんたのことは知らねぇけど俺は違う」

「いいや違わぬ。なぜおまえはここに来た?なぜ他人より力も速さも優れている?ここで戦うために他ならんだろうが」

「でも、俺は、嫌だ」

「本心からそう思うか?敵を殴り、屈服させ、少しでも達成感を味わわなかったと言えるか?お前に限らず戦い勝利することへの渇望は人ならば誰もが必ず持ちうるものだ。なぜそれを否定する?」

「だって、俺、かずひ、人を殴っちまったんだ。いや、その前からずっと、嫌だった。いくら相手から攻撃されたからって、自分も誰かを攻撃するのが普通になるのが、嫌なんだ」

 怪物は晴豊の拙い答えを聞いて更ににんまりと笑った。しかしすぐに笑顔を消すと太い眉とぎょろりと大きい目玉を使って大袈裟に悲しそうな表情を作って見せる。

「それもまたお前の本性か。生き辛いことこの上ないな。しかし生業に己の意思など無意味だぞ。かくいう儂も戦うより他にないから戦っておるのだ」

 美世は怪物から見えぬようにこっそりと晴豊の袖を引っ張った。怪物の言うことを信じるな、という意味を込めて。晴豊はいまいち真意をつかめない怪物から少しでも自分の知りたいことを引き出そうと言葉を探すのに必死で、美世のささやかな注意など全く気が付いていなかった。しかしあまり豊かとはいえない晴豊の脳内ボキャブラリーをいくら探しても、怪物に自分の抱えているジレンマを伝えることは不可能に近かった。それに怪物もあまり気が長い方でもないようで、言葉につかえる晴豊を見てあからさまにため息をついた。

「まぁよい。儂はお前に失望したのだ。お前では粟見の最大の敵を倒すことなどできぬ。これから粟見は崩壊に向かうがそれはお前には関わりのないことだ。命があるうちに去るがいい」

「何だよ最大の敵って」

「それは本当のことですか?」

 晴豊を制止したのも忘れてつい美世が口を開いてしまった。怪物はそこで初めて美世に気が付いたかのように視線を美世に向けた。美世は恐怖で手足が震えた。

「お前も未熟だがこいつはお前らの中で最も未熟なのだ。こいつがいかに変化せしめるかはお前にかかっているのだぞ」

 怪物はぶつぶつとつぶやくようにそう言うと、また大きなあくびをかまして横たわった。どうやら話はこれで終わりと言うことらしい。 

怪物の赤い瞳は瞼の下に隠れてしまったが、額に生えた腕が酒を受け取ろうと手のひらを上に向けて晴豊に伸ばされている。

「答えてくれてありがとう。また来るよ」

 晴豊はその手のひらに酒と杯を置き、三人に目で合図をした。修、ささめ、美世の後に自分が最後尾となるように怪物から離れる。晴豊はしばらく怪物から目を離さないために後ろ歩きをしていたのだが、怪物が不審な動きをすることはなかった。木々が完全に怪物の姿を隠し、今から追いかけられたとしてもすぐには追いつかれないだろうと思えるほどまで怪物から距離を取ると、晴豊はやっと背中歩きを止めて三人の後ろをついて行った。

「聞いていたよりも随分…堂々とした丈の方だったね」

 修は言いたいことをかなりオブラートに包んで言った。どうやら本人の耳に入るのを恐れているらしい。

「あんなにデカいから力もあるし動きも速かった。前に逃げきれたのはあっちが手加減してくれたからかもしれない」

「あなたは相当気に入られているみたいね」

 晴豊をあなた呼びにしてささめが言った。

「そんなことねぇだろ。失望したのだ、とか言われたんだぜ?」

 晴豊が怪物のだみ声を真似して言うと、ささめと修はこらえきれずに少し笑った。

「笑ってもいられないよ、あの方はあの断絶した一族が仕えていた方なのだから」

 美世がそう言うと他の三人も軽口を叩けなくなった。

「その話僕ら二人は詳しく聞いていないから何を恐れるべきなのかよく分かっていないよ。戻ったら当主様に聞いてみようかな」

 修の言う〝僕ら二人〟とは本人とささめのことで〝当主様〟というのは玉美のことを指す。

「どうだろう。当主様は僕たちが思っている以上に自分の口から何があったのかを話すことを望んでいないような気がする。こっちで情報収集した方が早いかもしれない」

「情報収集って言ったって。僕たちを贔屓にしてくれる方があの事件の詳細を知っているとは思えないけど」

 修は美世にそう反論した。

「そうとも限らないかもしれないわ。あなたを贔屓にしてくださる方はとても強力だし、私を贔屓にしてくださる方だってここで起こること全てに関与しているような口振りをすることがあるもの」

 ささめが寒さでぶるぶると震える腕に必死に酒瓶を抱えながら言った。酒の冷たさは衣服数枚では防げない。

「でも方々はいつだって別々に現れるじゃないか。…まぁ聞いてみるだけ聞いてみても良いかもしれないけど」

 修は納得できない気持ちが強かったのだが、二人と言い争いしたくないという気持ちはもっと強かったのでさっさと主張を引っ込めてしまった。

「なぁ、なんか家みたいのが見えるんだけど」

 三人の話にとっくに追いつけなくなった晴豊が最初に異変に気付き、前を歩く三人の足を止めさせた。

 晴豊が指さしたものは常人の視力ではまだ点のようにしか見えなかったが、ぼんやりと灯のような柔らかな光を発しているようだった。美世は眉を寄せ、じっと目を凝らしてその粒の正体を確認しようとした。

「確かに自然光にしては不自然だね」

「こっちで人が作ったっぽいものを見るの珍しいよな」

「そうね。ここでは私を贔屓にしてくださる方くらいしか人に寄せたものを使わないみたいだもの」

 晴豊にそう返すささめの声は小さく弱々しかった。

「ささ…大丈夫か?酒瓶俺が持とうか?それかおんぶするか?」

 晴豊はつい名を呼びそうになってしまった。心配になるのも無理もない、湿った冷たい風に晒され続けているせいでささめの震えは止まらないし、唇からは血色が消えている。しかしささめは首を横に振った。

「大丈夫。もう近くまでいらしているみたいだから。そうでしょう?」

 ささめが何もない雪原を振り返ると、手品のように急に女が現れた。赤紫の艶やかな小袖の上に真っ白な打掛を纏い、長い髪を銀の簪でまとめてある。相変わらず並々ならぬ美しさだ。女は驚く晴豊たちには目もくれずささめに優美に微笑みかけた。

「いらっしゃい。寒かったでしょう?早く上がって」

 女がささめの肩に手を添えて一歩足を踏み出すと、中央に囲炉裏のある日本家屋の屋内へと景色が変わってしまった。女はささめを囲炉裏の傍に座らせたが、土間に棒立ちの三人のことにはやはり無関心だった。こうも無視されては自分たちの待遇について文句を言うことなど許されてはいないのだ、と感じ取らざるを得ない。

土間は外の冷気を少しは緩めてくれたが、石床がしっかりと足裏に冷気を伝えてくるので身震いするような寒さに変わりはない。美世が小さく吐き出した息が白く消えていった。

「会えて本当に嬉しいわ。ゆっくりしていってね」

 女は寛いだ様子で緩く立膝をついてささめの対面に座った。緩い姿勢をしているのに隙が無い、と晴豊は感じた。

「ありがとう。今日は年の瀬の挨拶に来たの」

 ささめは言葉こそ砕けているものの酒瓶と杯を両手に掲げて恭しく差し出した。女は満面の笑みで受け取る。

「少し聞いてもいいかしら」

 ささめの問いかけで、女は笑みを消した。それだけでこの場の気温が更にぐっと下がったのではないかと感じさせるような冷たい表情だった。しかしささめは臆することなく言葉を続けた。

「私の前任がいた頃の話を聞かせてほしいの。粟見で最も恐るべきものが来たことがあったのでしょう?」

「つまらない話よ。あなたに話す価値があると思えないわ」

「教えて。お願い」

 ささめと女は睨みあった。いや、睨みあったと言うには語弊がある。二人とも険しい双眸をしているのではなくて、ただ相手が口を開くのを待っているだけというような沈黙だった。

「何があったのかなんてもう聞いているでしょう?赤野の当主が果泥を追放した。それだけよ」

 女の口調はやや投げやりで、心底つまらない話だと思っているのが伝わってくる。

「どうして追放までしなければならなかったの?」

「それがしきたりだからよ。あなただって知っているでしょう?」

「どうしてそんなしきたりができたの?」

「あれと手を組むということ自体が粟見への裏切りだからよ。あれは粟見を潰そうとしているのだもの。赤野の当主からそう聞いているでしょう?それに間違いはないわ」

「当主様が嘘をついているとは思わないわ。でも隠していることがあるでしょう?」

「それを私に聞こうとするのね?」

「ごめんなさい。あなたにしか聞けないの」

「まぁ、謝ることないわ。あなたは何も悪くないもの」

 女は急に柔らかな猫なで声を出して直前までの険悪な雰囲気を払拭した。傍観する三人からするととてもついていけないような変わりようだった。

「そうなのね、どうしても知りたいのね。じゃあ一つだけ付け加えてあげるわ。赤野の当主と果泥の当主はね、互いにそれ以上は無い特別な絆を持っていたのよ。一生に一度だけの特別な絆よ。それを無くした赤野の当主はもうそれ以前とは違うものになってしまったのよ」

 正直晴豊には何を言っているのかさっぱりわからなかった。試しに美世と修の顔を伺い見てみたが、二人とも何かつかんでいるような表情ではなかった。

「ありがとう、教えてくれて」

 ささめはにこやかにそう言うと立ち上がり、囲炉裏の傍から去ろうとした。

「待って、もう帰ってしまうの?」

 女は座ったまま手を伸ばしささめの手首をつかんだ。

「ねぇ、もっと楽しい話をしましょうよ。そうだわ、新しい打掛の色味を一緒に考えたいと思っていたの」

 女がそう言うと囲炉裏が反物を山のように乗せた大きな木台に変わってしまった。

「あなたは山吹色が好きよね、でもこっちの萌葱もきっと似合うわ」

 女は濃い黄色の布をささめにあてがい、更に濃い緑色の布地もあてがおうとする。

「それは今度来た時にやりましょう。約束よ」

 ささめはそう言って女の差し出す布を柔らかく断った。美世はそれを固唾を呑んで見守った。方々のご厚意を断るというのはとても危険なことであると教わってきたからだ。そんな幼子をあやすような言い方で収まってくれるとは思えない。

 女はささめが本当に取り合う気がないのだと気付いたらしく、手にした反物を取り落としてしまった。がっくりと垂れた首に結い上げた髪のほつれた一部がかかる。表情が読み取れないのが余計に恐ろしい。

「…………約束ね。約束よ。あなたは約束を破ったことがないから、いいわ」

 ゆっくりと女が顔を上げた時、寂しそうな微笑みだけが浮かんでいて、美世はほっとするような悪いことをしたかのような複雑な思いがした。

 ささめは返事の代わりに手を振り、素早く土間にいる三人に目配せをした。意図を一番早く察した修が晴豊と美世の手を引いてささめより先に開けっ放しとなっていた出入り口から脱出した。三人の後にささめが家屋から出ると、家屋は一瞬で消え去った。

 四人はまた雪の降り積もる寒々しく変化の乏しい景色の中に取り残されてしまった。しかもどんよりと厚ぼったい雲からは雪がちらちらと降り落ちてくる。

「…四人が全員無事にあの方のもとから立ち去れた。それだけでもう万々歳だ。そうなんだろう?」

 額の汗を袖口で拭いながら修がささめに訊ねた。

「ええ。ごめんね、恐ろしかったわよね」

 三人は素直に頷いた。

「修のところとはまた違った怖さがあった」

 得体のしれない酷く恐ろしい存在がいくつもあるこのあちら側という世界は、自分には全く太刀打ちできないものなどいくつもあるのだと晴豊はしみじみと感じ取った。

「残るは僕と美世か」

 まだ酒瓶を手にしている修と美世の二人を先頭にして四人はまた雪原を歩き始めた。

「なぁ、さっき苗字を呼ばれてたけど平気なのか?」

 晴豊は美世の肩を軽くたたいて尋ねた。

「名字だけでは個体識別ができないから平気なのだと思う、多分」

 返事をする美世の声には自信がない。

「僕たち三人ともやるなと言われたことは絶対にやらないタイプだからそういう微妙なラインは分らないんだよね」

 君はそうでもなさそうだよね、と修が苦笑を含めて晴豊に言う。

「俺もそう思うよ。なんかやらかしそうになったら止めてくれ」

「まずやらかさないようにする努力した方がいい」

 こんな風に軽口を叩けたのは最初のほうだけで、雪の降る中を歩き続けるのはやはり過酷すぎることではあった。誰も文句を言いはしなかったが、再び歩き始めてから体感で三十分も経過していないくらいで体力には自信のある晴豊でさえももう雪は見たくないと思い始めていた。これは本当に遭難するかもしれないと四人全員が心配に思い始めた頃、先頭を歩く美世が立ち止まった。

「これ以上やみくもに歩くのは命取りだ。最後にしたかったけれど僕が方々をお呼びしよう」

 震える声でそう宣言し、他三人も黙ったまま首を上下に振って同意した。美世は酒瓶と杯を晴豊に託すと両手の手袋を外し袖の中にしまった。そして素手で雪を掘り始める。あまりに意味の分からない行動に晴豊は何が目的なのかを聞きたかったが、相手も自分も寒さにだいぶ体力を奪われているので余計な口をはさむのは止めた。

 美世は酒瓶の底よりもやや大きいぐらいの円形に雪を掘り進め、雪の下の黒っぽい土を表出させると晴豊から酒瓶を受け取った。美世の細く白い指は真っ赤に膨れ上がり、しもやけになることは間違いなさそうであった。 

指先の感覚は寒いを通り越して最早何も感じ取れなくなっていたので美世は晴豊に自分の持つ酒瓶の蓋を開けてくれと頼んだ。晴豊が蓋を開けると美世は鼻から冷たい空気をいっぱいに吸い込んだ。冷気で肺が凍りそうになったが、透る声を出すためには必要なことだった。

「今年も年の瀬となりましたので御酒を捧げに参りました。どうぞお受け取りください」

 そう言うと美世は自分で表出させた土に酒を注いでしまった。

「え?いいのか?そんなことして」

「ダメだよ、現実ではね」

 美世のかわりに修が答える。

「ここがあちら側で、相手が美世だから通用するんだ」

 その言葉を裏付けるように、土に変化が見え始めた。酒を吸い込んだ土から黄緑色の小さな芽が生えたのだ。そしてそれはあり得ない速さで成長しだし、晴豊たちの背の高さをしのぐほどの立派な樹になってしまった。その樹は伸ばした枝先に、薄桃色の花を咲かせた。それが無数に伸びる枝のほぼすべてで巻き起こったので、樹は大変賑やかな装いとなった。

真っ白な雪景色とは対照的な春爛漫の桜の樹が、晴豊たちの頭上から花びらを散らしている。

 晴豊は驚きすぎて開いた口が塞がらない。口が開いていたことにも気づいていなかったが、花びらが口に入りそうになってやっと我に返った。

「彼を贔屓にしてくださっている方がどこにいるかご存じでしょうか?」

 美世が片手で修を指し、桜に尋ねた。桜の樹は風もないのに舞い散る花びらを一方向にまとめ上げ、雪に覆われた岩石にまとわりつかせた。岩石についた花びらはなぜか雪を融かし、岩石と思われていたものが人一人くぐれるかくらいの細い空洞のある洞窟のようなものであることを暴いた。

 四人がその洞窟のようなものから桜の樹のほうへと視線を戻した時には、もう桜の樹は跡形もなく消え去り雪の取り除かれた土だけが残っていた。

「去年はあの方に帰り方を教えてもらった」

 美世が手で土に雪を被せながらそう言った。雪を戻してしまうと先ほど起こったことの証拠はもう本当になくなってしまった。それは暗に帰り道がどこにもないことを指し示しているかのようだった。そんな心配を振り払うかのように修は言う。

「大丈夫。帰れなくなることは無いよ。僕を贔屓にしてくださる方は誰よりも慈悲深い方だから」

「待てよ。今度も一人で行くつもりか?」

 晴豊が修の袖を引っ張って留めた。

「つもりじゃない。確定だ。君たちが来てしまっては話ができない。でも、この天気だし洞窟の入り口付近で雪をしのぐことくらいなら許してもらえるかもね。百歩譲ってもついてきていいのはそこまでだ」

「修なら大丈夫よ。前もそうだったでしょう?だから袖を離してあげて。あなたが本気で引っ張れば簡単に千切れてしまうわ」

 ささめにそう諫められて晴豊はしぶしぶ手を離した。

 修を先頭に四人が洞窟に足を踏み入れると、数歩歩いただけで洞窟内の横幅がぐんと広くなり二人で並んで歩いても余裕があるくらいの道幅になった。しかもその広くなったあたりから空気がじんわりと温かい。まるでこの暖かさを逃さないためにわざと入口を狭くしているかのようだった。晴豊は思わずその場に座り込んでしまった。

「あぁ、しばらくはもう一歩も歩きたくねぇ」

 美世とささめも同感なようで、洞窟の壁に凭れ掛かって座りだした。

「お前も少し休んでいった方がいいんじゃねぇか?」

 と晴豊が修に勧めたが、

「いや、今座ったらなかなか動けそうにないしさっさと行ってくるよ」

 と修らしくあっさり三人を置いて行ってしまった。洞窟の先は果てが見通せない真っ暗闇なのに躊躇うこともなく進んでいく。

 前回修を贔屓にしている方のいる洞窟の近くを通った時にはそれだけで身震いするような恐ろしさを感じたのに、今回は洞窟内部まで来ても何も感じないのが晴豊には不思議だった。自分の危機を察知する能力が下がっているのか相手の身を隠す能力が前回より上回っているのか、よくわからない。

「ねぇ、あれ絵みたいに見えない?」

 細い入り口から漏れ出る僅かな雪明りを頼りに、ささめが洞窟の壁の一部を指さした。確かにひび割れが人の姿を模しているように見えなくもないが、晴豊にはただのひび割れにしか見えなかった。

「いや、ただのひび割れだと思う。ヒトのようなものに見えなくもないけれど、単体でそれだけを描く意味もないし」

 美世も同じ意見だったようで晴豊は少し安心した。

「暗くてよく見えないだけで本当はもっと色々なものが描いてあるのかも。鳥とかマンモスとか鯨とか」

 美世の冷静な指摘も介さずに、ささめの声が弾んでいる。

「そういうのって実際に見たことないと描くの難しいんじゃねぇの?さすがにこの辺に鯨とかいねぇだろ」

 ささめには悪いと思ったが、晴豊はひび割れをヒトと認識してしまうとそれが動き出しそうで怖かったので遠回しに否定した。

「あら、大昔の人は実際に見たかもしれないじゃない。マンモスも狼も私たちの知らない怪物だってこの辺にいたのかも」

「怪物?やめろよ、怖いじゃん」

「君がそれを言うのか?ここに来るたびに得体のしれないものを撃退していたのに?」

「いや怖いだろ。トイレの花子さんとか口裂け女とか。俺怖い話の本読んで夜眠れなくなったことあるし」

「意外とかわいいところあるのね、あなた」

 ささめと美世の笑い声が洞窟に響いて消えていった。声が反響するのでまるで二人以外の誰かの声も笑い声に混じっているかのようだった。

「でも案外それで正しいのかも。常に戦いの世界にいて生き残るには本能的に危険を遠ざける力がある方がいいに決まっているし」

「なんか、それあんまり嬉しくねぇ」

「そう?僕は羨ましいと思うけど」

 いきなり修が話に入ってきたので三人はひどく驚いた。特にビビりな晴豊は言語化不可能な中途半端に高い叫び声をあげた。修は普段は表情が少ないくせに迷惑そうに眉間を寄せるのと片頬を微妙に上げるのを同時にするという複雑な表情を作って見せた。

「早かったね。無事に奉納できた?」

「うん、帰り道も教えていただいた」

 美世にそう答えた後、修は堪えきれず笑い出した。

「こ、ここにいる誰よりも強いくせに、そんなに驚かなくても」

「笑うなよ、マジでビビったんだからな」

 晴豊の本気の抗議をよそに修はまだ笑っている。

「あぁ、早くあの方のところに皆を連れていきたいな。そしたら少しは気分も晴れるかもしれない」

「誰の気分が晴れるんだ?」

「もちろん僕を贔屓にしてくださる方だよ」

「そうかな?あまり騒がしいのは良くないのではない?」

 心配して美世が言う。

「いいや、遠慮なさっているけれど、本当は人々と関わりたいと思っているよ。自分にはもうそれは永遠にできないとも思っていらっしゃるけれど」

「どうして関われないんだ?」

「それは君が初めにあの方に近づいたときに感じていたじゃないか」

 そう言われて晴豊は後ろめたさを感じた。確かに以前は怖れと恐怖とそれ以上の嫌悪を感じていたからだ。

「でも、今は何も感じないんだ。お前を贔屓にしてる方って近くにいるんだろ?」

「君があんまりにもおびえるから洞窟の奥深くで息をひそめていらっしゃるよ」

「え、なんかごめん」

「君が思っている以上に繊細な方なんだ。強力な力を持つ方でもあるから怯えるのも無理ないけど優しい方なんだってことも覚えていて欲しい」

「分かった。覚える」

 晴豊は素直に頷いた。

「ところで帰り道のことは何と?」

 修はよく聞いてくれましたと言わんばかりにニヤリと微笑み、勿体つけて着物の袖口から小さなガラス瓶を取り出した。

「うわ、なんだよそれ」

 晴豊がそう言うのも無理は無い。ガラス瓶は正体不明の紫色の液体で満たされていてなんだか不気味な感じがするのだ。

「フタの裏に毛先がくっついているわね。マニキュアみたい」

 ささめがガラス瓶に顔を近づけてまじまじと見つめる。

「当たらずとも遠からず、だね。なんとこれを物体に塗ると、みるみる全体が自然に存在するにはあり得ない色に染まってあちらとこちらの出入り口となるらしい」

「「「えええ?」」」

 修以外の三人が声をそろえて叫んだ。

「そんなの、便利すぎる。裏があったりしない?」

 と疑り深い美世が言えば

「いいもんもらったなぁ、し―」

 うっかり名前を呼びそうになった晴豊がささめに口を押さえられる。

「あの方も昔もらい受けたものなんだって。くれたのはなんでも額に腕が生えた背の高い方だったとか」

「偶然ね、私たちもさっきそんな方に出会ったわ」

 ささめがあえてとぼけてみせた。洞窟は相手の顔もおぼろげになるほど暗いことを除けば外よりずっと過ごしやすく、四人はついおしゃべりを続けて留まろうとしていた。

 しかしそんな雰囲気を断ち切ろうとするのはやはり晴豊だった。

「もうみんな疲れてるしさ、色々分かんねぇことも聞きたいこともあると思うけど帰るか、ひとまず」

 そう言ってから、自分が心の底では早くここから逃げたがっていたことに気が付く。

 当然ここから帰ることに誰も反対はしない。

「そうだね、これ以上雪道をウロウロするのはごめんだ」

 美世はそう言って億劫そうに立ち上がった。

「早速これを使ってみたいとも思うけど、洞窟を出てからにしようか。あの方に何か影響があってはいけないから」

 そう言う修を先頭にして、他三人がその後ろに続くようにして洞窟から外へと出る。

外へと出た途端に雪交じりの猛烈な風が吹きつけてきた。洞窟の外は雪ばっかりで、近くには岩も樹木すらも見当たらない。四人は顔を見合わせた。超便利アイテムをもらったはいいがいったい何に塗り付ければいいんだと、どの顔も物語っていた。

「雪には塗り付けないよ。雪の素は水分だし薄まり続けて効果がなくなるかもしれない」

 修が周りにも自分にも言い聞かせるように言った。

「ゆ、雪を掘れば何か見つかるのかも」

「やめろよ、しもやけひどくなるぞ」

 しゃがんで地面を掘ろうとする美世を晴豊が止めた。

「そういえば、あなたが御酒を捧げた方は酒瓶を必要とされなかったわよね?」

 それに使ってみればいいのではとささめから提案されて、美世は自分が空の便を洞窟の中に置いてきたことに気が付いた。

「僕としたことが忘れものをするなんて」

 美世は慌てて洞窟に舞い戻った。一人で入る洞窟は、先ほどよりも陰鬱な感じがした。ここが自分たちが座っていたところではないかと見当をつけたすぐそばに酒瓶はあった。 

ごくわずかに青く塗られた酒瓶は洞窟の暗がりに溶けてしまいそうなほど馴染んでいて、美世の着物の色を少しだけ反射してくれたので何とか見つけることができた。何となく暗い気持ちになりながら美世が酒瓶を片手につかんだその瞬間だった。

 …ぐぐぐぁぁぁぁううぅぅぅ…

 闇の向こうから呻き声が聞こえてくる。美世は、とっさに身を竦め、しゃがみ込んでその何か恐ろしいものをやり過ごした。実際に何かがやってきた訳ではないのに。晴豊の意外な気の小ささがうつったのだろうか。

 …うぅうぅぅぅ…ひぐぅぅううう…

 呻き声は強弱を繰り返しながらも次第に小さくなっていった。呻いている誰かが声を上げるのを止めたのか、それとも遠ざかっていっただけなのか。美世は声が引いていくにつれて、何故か物悲しい気持ちにとらわれた。

このままにしておくのはあまりにも悲しい。

しかし美世が何か行動を起こす前に美世を追ってきた晴豊が声をかけた。

「おーい、酒瓶、あったか?」

「あぁ、うん。空の瓶ってきれいだよね」

 美世は美世らしからぬ少々的外れな答えを返した。

「あぁ、わかるよ。俺も捨ててあった瓶拾って秘密基地に飾ってたことある」

 二人が戻ると修は美世の持つ空の酒瓶に全員が手を触れるようにと言った。全員が瓶に手を添えたのを確認すると修はすぐに紫色を塗ってみせた。

瓶に付着した紫はじわじわと広がって、酒瓶を余すところなく紫色にしてしまった。曇り空の下で見るからなのか、紫色の空き瓶はあまり綺麗だと思えなかった。むしろ気味悪さのほうが引き立てられている。美世は思わず瓶を持つ自分も紫に浸食されていかないかと心配になったが、見たところそんな様子は確認できなかったので安心した。

 先回りして言うと、四人は無事に帰ることができたし修が手に入れたこの便利アイテムは先々で四人を助けてくれることになった。 

しかし修は自分よりもあちらに行く頻度が高いからと、小瓶を美世に預けっぱなしにしてしまうのだった。

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