13.手術日決定(前編)
裏切られた。すげー晴れ渡ってる。
天高く馬肥ゆる秋。いや、ド冬。ワンチャン立春。
そんな、気候を表す言葉を必死に探してしまうほど澄み渡る空、晴れ渡る空気、泣きたいORE。
絶好の手術日決定日和でございます。
二度目の病院は、今日も怖いくらい完璧に動線がシステム化されていました。
QRコードによる自動受付から、専用の窓口に行きパチ先との再会まで三十分もかかりません。
今日も忙しそうに「あーこれね。腫瘤が大きくなってて、ほらもうおヘソの上まで来ちゃってますね。切ります」
はい。
言語化が先生の復習の時間なんだろうなこれってのはわかるけど、改めて言われると怖いなぁ。何が入ってんだよこのぷにぷにのかわいいお腹の中に(なけなしの自己肯定)
手術日が、決定しました。
予定通り約三ヶ月後。
「前日入院、翌日手術、五日の入院……あ、違いますね。開腹だから十日の入院です」
ぬかよろこびさせんなやーいって元関西人の血がツッコミそうになったけど、耐えた。偉い。頑張った。
やっぱり十日くらい入院するみたいです。はー、頑張ろ。
事前に言われてたけど、改めて日取りが決まるといよいよ現実味を帯びてきますね。
別に妄言聞きに今日わざわざ時間作って来てるとは、思ってないけどさ。
笑えない冗談であって欲しかった。
なんか本当に切るんだなぁって。実感が。じわじわ。ひー。こえー。
多分これ、当日までずっと言ってると思います。
付き合ってくれ、私の怯えに。切腹道、みんなで切れば怖くない。いや別にみんな切るわけじゃないけどね。ひんひん。
とてもスムーズな流れで、用意していた質問にもさくさく答えてくれるパチ先。
前回やった子宮頸がんと子宮体がんの検査の結果も、両方問題なし。
異常なかったから言うの忘れてたって言われた時は、もしかしてこのおっさんおちゃめか??って思った(ゆるした)(白衣と眼鏡とスーツの男に弱い)
保険関係の書類も、術後にまた受付とか行ったりして色々しないといけないっぽい。ふんふん。
そして、ずっと気になってた年末のあの出来事。
救急車を呼んだ出来事を、パチ先に話してみました。
「あー、じゃあちょっとねじれてたんでしょうね。すごく痛かったでしょう。可能性はあると思います。次そういう痛みが来たらすぐ連絡して下さいね。緊急手術するんで。最悪破裂するんで」
最 悪 破 裂 す る ん で
本当に最悪ですね!!!!!!!????????
えれぇパワーワードもらっちゃったわ。こわぁ。
おまけにそれ言った時の、パチ先の笑顔よ。まだ会うの二回目だけど、そんな笑顔初めて見たわ。
私が乙女ゲーの攻略対象だったら「ふぅん、お前そんな顔で笑うんだな」って言ってヒロインの目にかかる前髪を人差し指の裏で軽く分けてるよ?
もう好きにしてくれ。顔やら手触るより先に股に触れた男だ、もうこっちは何も隠すもんはないよ。(言い方)
とりあえず三ヶ月後まで、破裂するかもしれない何かを抱えて暮らします。
スケジュールも無事決まり、晴れてご帰宅かな。帰りは素敵なランチでも食べちゃおうかしらうふふ。なんて気が大きくなっていたその時、次なるパンチが放たれました。
「じゃあ来月麻酔と手術の説明、入院のオリエンテーリングを受けてもらいます。今日はこのあと、レントゲンと心電図と検尿と採血して、入院の申し込みをしてもらいますね」
情報が多い。情報が。
って待ってもしかして今採血って言った……?
採血って言った!!!!?????
いいいいいいい嫌だああああああああああああああああ!!!!!!!
次回、採血は突然編に続く。
(続)
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