休憩 一応言っとくけど私は元一般人だから。
「おかえり小陽、結局彼をまた逃がしたのかい。」
「だって後輩君はただの一般人……」
「ただの一般人が私と小陽以外が見えない魔書を取りだし、魔法を起動させた、か?」
梟は本物の顧問のような顔つきに変化して小陽に説教を始めようとした。木製だから表情筋なんてなく、顔つきなんて変化しないはずなのに。
「もう、フウちゃん意地悪ないい方しないでよ。別に魔法を発動できたとしても蓮君は魔法の存在を知らない一般人だよ。」
小陽は少しイラつき乱暴に座った。
「だがこれで彼が来るのは何回目だ。彼が新たな委員としてむかいれた方が小陽にとっても……」
「「ダメ」」
小陽の声が魔法図書室に響いた。
「絶対にダメ。これは私だけでいい。他の誰にもやらせない。」
小陽の身体から魔法陣が一斉にドス赤黒くイルミネーションのように浮かび上がったがデートスポットのように奇麗ではなかった。どちらかといえば、全身の血が沸騰し肌に蒸気がこびりついた様だった。
「そうか。」
梟は両目を閉じ、何事もなかったかのようにつぶやいた。
「フウちゃんもいい加減にしてよね、まったくもう。」
小陽もいつものように笑顔を浮かべなおした。
「ところで魔物が発生したぞ。」
「それを早く言いなさいよ!! 『ゾルト・ツィエン』」
小陽は勢いよく立ち上がり呪文を唱えるとその場から姿を消した。
「小陽、お前だけには魔物になってほしくないんだ。心の底から、」
梟はたった一体だけ取り残された暗闇の魔法図書室でボソッとつぶやいた。
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