第12話 バレンタインでぇ!
金庫破りとして有名だった。日常でも怪しまれ、いつも警部に見張られていた。
凡そ開けられない金庫なんか無かったし、その中のお宝なんかは全て自分の物だった。
金庫破りとしては全うではない、後ろ暗い生き方をしていた。要するに銀行の大金庫を襲っていたのだ。
そんな生き方に転機が訪れる。金庫破りはひょんな事から女の子の捨て子を拾い、それを育てる事になったのだ。
保護者としてもう、悪いことなんか出来ない。金庫破りはその日から銀行を襲うような事は辞め、錠前屋に就職し、女の子をきれいなお金で育てる事にした。
しかし警部の追跡はつづいている。
そんなある日銀行は1日開かない筈の大金庫に少年が閉じ込められたと大騒ぎになっている。
元金庫破りの腕前は錆び付いたりはしていなかった。1日開かない筈の大金庫を僅かの間に開けて少年を解放した。勿論警部の真ん前で!
万雷の拍手と感謝の言葉を尻目に金庫破りは警部に腕を差し出す。
「さあ、金庫破りを逮捕してくだせぇ」
「バカを言うなよ。少年を救った優秀な錠前師を逮捕する理由なんか有るものか」
警部も笑って去っていった。
金庫破りの名は『ジミー・バレンタイン』アメリカを代表する作家O・ヘンリーの作品である。
私は嘘が嫌いだ! ココチュ @kokochu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
朝の呪文/ココチュ
★3 エッセイ・ノンフィクション 完結済 12話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます