第6話 そのホームからは逃げ……たくない

「間も無くコミケに送る二次創作が校了になるわね。皆さんもう原稿出来てるかしら?」

「出来てるわよ!当たり前じゃない。他の事しないで原稿書いてたわ」

「ミサト婆さんも好きだねぇ」

「私たちはホームからは出られないけど、委託先の皆さんに言わせると、人気高いそうよ。今年も頑張って行きましょう」

「やるわよ!もうコミケには行けないけど」

「腐女子貴腐人に限界なんか無いわ!見せつけてやるわよ」


「さーてと、源さんは麻雀弱いのに賭けるから」

「どうせ嫌いなおかず賭けておるんじゃ。賭けさせてくれんかの?」

「いや。構わんよ」

「これで26日向こうまでの漬物は儂の物じゃな。代わりにヨーグルトはやるな」

「ヨーグルト、好きなんじゃよなぁ」

「ククク、子供舌じゃのう」

「良い良い。男はいつまでも冒険心を忘れぬ少年じゃよ」


「やあ。いつもありがとう介護士さん」

「いえ。仕事ですから」

「仕事でここまでせんじゃろう?あの。介護士の長友さんや。どうか……儂と夫婦めおとになっちゃくれんかの?」

「全く、何回目の告白タイムですか?でも絆されますよ。今回だけ、ですからね」


「ヒューヒュー」

「ヒユーイ!」

「じい様良かったのぅ、思いが届いたぞい」


「全く。だから嫌だったのですが?」


 様々なお楽しみが溢れるこの老人ホーム。

 ここからは逃げ……たくない。

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