第5話 ポスター貼りの達人!

 学校の生徒会選挙だ。ポスターを貼って候補者のやる気を訴えなければならない。 まあ世の中生徒会選挙なんて候補者などよりその取り巻きが盛り上がるなんてのは良くある事である。

 一人5枚のポスターを渡され、3人の取り巻きが貼りに行く。


 ここで一人目がその冴え渡る腕を披露する。手首のスナップを活かしてポスターを取り、瞬時に糊を付けてしゃっと貼り付け、あっという間に5枚のポスターをその壁面に5枚並べて貼り付けて見せた。 

「ふ……見たか俺の二天燕返しポスター貼り!」

 それを見ていたもう一人が眼鏡をくいっと上げて、ポスター貼りを開始する。

 ポスターの後に画鋲を高らかに放り投げ、離れた間合いからモデルガンで画鋲を弾くと、ポスターと画鋲が丁寧に横一列に貼られて行く。

「ふ……遠距離からポスター貼りをした方がエレガントだろう?」


 煙も出ていないのにモデルガンの銃口をフッと吹きながら、決める2人目。

「なるほど遠距離からのポスター貼り。活かしておるな」

「君の質実剛健なポスター貼りも見事の一言しかないよ。お見事だ」

「お前もな」

 お互いのポスター貼りの達人達がガッチリ拳を突き合わせ友情を確かめ合う。

 そこにもう一人が現れる。

「あのさ。ポスター同じ所に貼っても意味無いでしょ?」

「え?」

「あー。はい」

「ほら。やり直しやり直し。掲示板あちこちに有るからね!」

「はい」「す……すみません」

2人はポスターを剥がして他に貼りに行く。

ちなみにタイトルのポスター貼りの達人!とは勿論3人目の事である。




 

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