第26話 水滸三日月


「ガンツの治療は俺の鍛錬にもいいな」

「そうなのか?」

「あぁ。魔力循環で魔力が上がってるみたいだしな」

「そうかそうか。リュウは魔力が上がるし、ワシは怪我が治るのか!」

「そうだ、win-winだな」

「ういん…なんだ?」

「一挙両得ってことだな」

「ならそう言え!ワシはここでまた鍛錬しとるからのぉ」

「あぁ、わかった」

 ガンツを見てみると、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ガンツ  126歳

 レベル79 鍛治士

 スキル 鍛治極 彫刻極 付与 槌術極

 ユニーク 王国一鍛治職人 一人当千

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 そっか、極めているのか。初めて見たぞ。


「リュウニイ!次はどこ行くの?」

 次はそうだな。

「東の小さな島国に行くことにしよう」

「そんなところがあるんだ!それじゃ行こう!」


 コックピットに戻り座標を入れると

『座標変更を確認しました。発進します』

「よし。これでいいだろう」

 目指すはジャポネ。まぁ、旧日本みたいなところだな。


 俺はガンツの治療と同時に、自分の魔力量をあげることに専念した。ストーリーはもう始まっているみたいだし。サッサと仲間を助けていかないとな。


「よし着いたぞ!今回は全員で降りるからな」

「ワシもいいのか?」

「ガンツは此処の刀鍛冶を勉強するといいぞ」

「なぬ。刀鍛冶か。知らんな」

「だろ?だから一緒にいこうか!」

 全員で街の前に降りる。


「ほうお主らは異国人か?」

 門兵に挨拶をするとそう返って来た。

「そうなんだ、此処で有名どころの宿はある?」

「あるぞ。ほらそこに見える大きな看板が見えろう、そこが此処1番の宿じゃ」

「ありがとう!じゃ「待てい」え?」

「入町税じゃ、一人一銀貨じゃ」

「ビックリしたよ、じゃあ王国銀貨でいい?」

「おっと、それならばあそこでこちらの通貨に替えた方がいいぞ?」

 指を刺されたのは反対側の小窓だ。

「わかった!替えてくるよ」

「王国金貨を替えて欲しいんだが」

「王国のか、いまは金貨一枚で小小判じゃな」

「んじゃそれで三百もあれば足りるかな?」

「な、なんと豪気な、わかった替えよう」

 箱には小判がぎっしり詰まっていた。

「よし、これでいいか」

「入町税は受け取った!楽しんでまいれ」

「おう!ありがとう」

 髷を結ってあるから江戸時代的な感じかな?

 みんなにお小遣いを渡してバラける。俺はガンツと一緒に刀鍛冶を見て回る。

「ほう!あんな技法があるとはな!」

「来て良かっただろ?」

「あぁ!ワシはもっと近くで見せてもらえるように頼んでくるわい」

「気をつけろよー」

 ガンツは鍛治になると集中しちゃうからな。

「さて、あいつは剣道場にいるはずだ」


「たのもー!」

「なんだ?道場破りか?」

「いや、ここにカササギがいると聞いてね」

「カササギならこっちじゃ」

 案内されたのは茶室だった。

「しばし待たれよ」

 茶を飲みながらしばらく待ってると、

「待たせたな」

「こら!放せ!」

 カササギ・ハルナ、川地道場にて剣の道を極めようとするが、川地道場は表の顔と裏の顔を持つ悪徳道場だった。裏の顔を知ってしまったカササギはなぜ人身売買なんかしてるのかを問い詰める。そして負けたカササギは奴隷として売られてしまう。そこを助けると仲間になる。


「なんだテメェは?俺っちにはようはないが?」

「カササギ。ここで何が行われてるか知ってるんだろ?」

「な!…お前も仲間か?」

「いいや?俺はお前の味方になるつもりで来た」

「要らぬ!俺っちは人として許さないから今晩真相を聞き出すつもりだ」

「ならやめた方がいい、お前よりも強いぞ?」

「しゃらくせぇ!俺っちは剣だけで生きるんだ。負けはせぬ!」

「はぁ。ならしょうがないな」

「え?」

「こっちはこっちでやらせて貰うぞ?」

「て…まぁしょうがないか、なら俺も勝手にやらせて貰う」

「邪魔はしないでもらうぞ」

「あぁ。不干渉だな」


 さっそくイザナに情報収集を頼む。 

 その間団子屋で団子を食うテリーがこっちに手を振っている。

「なんだよ?」

「一緒に食べようぜ!」

 俺は横に座り団子に手をかける。

「今晩大暴れするぞ?」

「よっし!んじゃ追加だね!」

「頼むな!」

「うん!」


「さて夜になったな」

「今頃お嬢さんが川地道場で問答をやってる頃よ」

「そっか、なら行くか」


 全員で川地道場に行くと中から声が聞こえた。

「まいど!道場破りだ!」

 道場の戸を蹴破り堂々と真正面から出て行く。

「おまえ!」

「なんだ!?道場破り?」

「そうだよ!ついでにカササギを助けにな」

「な!こいつなんて俺一人で!」

「ふん!助けるからグダグダ言ってんじゃねぇ!」

「くっ!この!離せよ!」

 カササギが捕まったな、本気出して行くぞ。

「疾風!」雷神剣を使い師範代を切り裂く。

 他のみんなも思い思いに暴れている。

「カササギ!これ使えっか?」

「これは刀!かたじけない!」

「川地流剣術、水凪」

「グッ!これほどまで強くなっていたとは!だがまだ甘い!川地流!「川地流「「水凪」」


 二人の刀がぶつかり合うとカササギが押し負けた。

「カハァッ!」

「これでも師範だぜ!こんな小童に負けてたまるか!」

「くっ!だが負けられない!師範!あなたのやっていることは悪だ!私は許せない!」

「だからなんだってんだ!ってクソ!囲まれてやがる」

 他の人間はみんなが倒してしまった。

 カササギが呼吸を整えると、

「川地流、水滸三日月」

「グァァアァアッ!」

 師範は斬られて血を流し倒れる。

「見事だったね」

「辱い!しかし」

 まぁ大丈夫さ。

「「「おねぇちゃーん」」」

「みんな!無事だったか!」

「イザナご苦労様」

「いい、後で団子な」

「あはははわかったよ」

 イザナの照れ隠しも上手くないな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る