第23話 西の孤島
「ふぅ、乾坤一擲はだれに渡す?てか一か八かはいかんと思うから上げたくないな。死蔵だな。あとは暗視を兄貴にあげて、咆哮はテリー、計算はスズメかな?あとの道具やら防具も」
「なーに悩んでんだよ!」
掛け湯をして入って来たのは兄貴だった。
「あぁ、ユニークで少しね、兄貴はユニークは使いこなせてる?」
「電光石火か?あれには何度も助けられてるよ」
「そっか!」
「テリーいっきまーす」
“ザブーン”
「んぺっ!こらテリー!」
「あははは!ダイブが決まったね!」
「あははは、お前の友達はいい奴だな」
「リュウ兄も、なんか悩み事?」
「いや!ただのホームシックだ、あまりあの家を離れたことがないからな」
「なら大丈夫っす!リュウが新しく家を作るっすから!」
「な、何を勝手なこと言ってんだ!その粗末なものを隠せ!」
「粗末ではない!!」
「はぁ、こんなやつでごめん兄貴」
「俺は構わないぞ?こんなでかい風呂もあるしな」
風呂から上がったら牛乳でしょ!
三人でグイッと飲む。
「兄貴も髪伸びたな?」
「まぁ、切るのもめんどくさかったしな」
「俺もー」
「俺は毎日バリカンですよ?」
「ツーブロックだから楽だけどお前の髪も長くなってるぞ?」
「まぁ、そうだね」
「俺が切ってやるよ」
「いやいいよ!イザナさんにやってもらうから」
「へぇ、イザナが?得意なのか?」
意外だな。
「前も切ってもらったからね」
「そうなのか」
案外世話焼きだからなぁ。
「おいリュウ、お前の髪も切れってテリーが言ってたぞ?」
「へ?俺の髪?切ってくれるのか?」
「まぁ、やってやる」
丁寧に切ってもらいサッパリした。
「ありがとうイザナ!」
イザナは少し照れくさそうにしている。
「そう言えば今度はどこに向かってるんだ?」
「西の孤島だ。ダンジョンになってるから期待していいよ」
「それは腕がなるな!」
イザナと喋ってるとスズメが来て、
「リュウー!僕に何か頂戴!」
「ん?なにか、あぁ、ほれ、ジャンク品だ」
「わーい!ありがと」
スズメは機械が好きだなぁ。
一週間が過ぎようやく目的地の西の孤島にやってきた。
「これからダンジョンだから無理しなくてもいいからな!何かあればすぐ撤退だ」
「「「「「「「「おう」」」」」」」」
「んじゃいくぞ!」
1階層から様子見だ。
こんなとこで躓くわけにはいかないからな。ジャイアントラットがモンスターだ。ドロップはネズミのしっぽと魔石、あとたまにコインが出てくるな。
ひさしぶりに戦ってる感があって楽しい!
10階層でボスのシールドと言う盾型のモンスターを撃破してここで今晩の寝床を作る。
と言っても前に出たマジックテントが二つあるからゆっくり寝られる。
七人に1匹と1アンドロイド、まぁ、大所帯だからダンジョンも楽だ。
次の日も20階層のボス、ジャイアントモスを倒してマジックテントで寝る。
「ねぇ、なんで僕らがダンジョンの中をこんなにスイスイ動けるの?道を知ってる?」
「まぁ、知ってると言えば知ってるな」
攻略本があるとは言えないしなぁ。
「でも今日だってジャイアントビーにビックリしてたじゃない?何で知ってるのにびっくりするの?」
「うーん、道は知ってるけどモンスターの大きさとかは知らないんだ。ごめんな」
スズメと二人でテントの外に顔を出して喋っている。
「ふーん、そうなんだぁ。本かなんかで知ったの?」
「そうだよ。本で知った」
嘘は言ってない。
「その本は僕達のことも書いてあるの?」
「…書いてあったよ」
「なんだ!だから助けてくれたんだね!僕はリュウが神様なのかと思ってたよ」
「あはは、神様なわけないだろ?そうしたら俺は誰も助けることができなくなるよ」
「そうだね、みんな助けてたら大変だもんね」
「そう言うことだな」
今も苦しんでる仲間にしたい奴は沢山いる。だがもう少し待っていてくれ、俺が助けに行けるのはまだ先だ。
「仲間はまだ増えるんでしょ?」
「あぁ、増やすつもりだよ」
「じゃあ、今のうちだけだね」
「なにが?」
「リュウとこんなに話す事」
「そんな寂しいこと言わないでくれよ、俺はみんな大事な仲間だと思ってるから、今日みたいに喋るのは楽しいぞ?」
「やた、また喋ってくれる?」
「もちろん!」
「えへへ、んじゃ、おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
そうだよな、このメンバーでもいいんだけど、でも助けて仲間にしたい奴がいるのは確かなんだ。だから少し寂しくなるかもしれないけどごめんなスズメ。
「よし。今日も30階層まで行って休むぞ!」
「なにもそんなに急がなくてもいいんじゃないか?」
「確かにね、でもせっかくだし時間設定したいじゃないか」
「まぁ。目標があれば頑張れるか」
「そうだよ、んじゃ頑張って行こう!」
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