第16話 イザナとスズメ
「んで?俺は何日寝てた?」
「一週間だな」
「一週間!やばいな!まぁ、金は渡してあるから大丈夫だけど」
「他にも仲間がいたな」
「あぁ、バカやってないと良いけどな」
特にテリー。
「荷作りは済んでる。いつでも行けるぞ」
「話が早くて済むな、っとと、一週間寝たきりは体に悪いな」
俺はよろけて頭からすっぽりイザナの胸に飛び込んだ。
「ふん、まぁ無理もないだろ」
「おっ、許してくれるのか!ありがたい」
「今回だけな」
ギラッとした目で睨まれてしまったな。
「そういえば着替えは?」
「イザナ姉さんがやったよ」
「面目ない」
「いい、まぁおあいこだ」
ニッと笑うイザナは本当はいい奴だからな。
俺の装備を渡してくれたのでそれをつけている間に聞いた話は、あの酒場が燃えたらしいと言う話だ。
十中八九あの左手のない男だろうな。
「んで、どこにいるんだ?」
「酒飲んでその辺で寝てるよ、あの手じゃ何も出来ないだろ?」
「そだな、なら放っておくか」
俺たちは三人で宿屋に行くとテリー達が泣き喚いた。
「なんだよお前ぇ!どっかいぐなよ」
「わ。私だって心配したんですからね!!」
「にゃー!無事だったにゃー!」
もみくちゃにされて喜ぶべきなのか?
「分かった分かった、で?そっちは大丈夫だったのか?」
どうやらテリー達は探してくれてたみたいで見つからないもんだから2日前から泣いて宿屋にいたらしい。もっと探せや!
「まぁ、俺が単独行動した時は自分らでできることをやる事!特にテリーとメイアは自主鍛錬だ」
「「はい」」
「モニカは…知らんが、何かできるだろ?」
「分かったにゃ」
「へぇ、猫が喋ってる」
あぁ、こいつらのことも紹介しないとな。
「これから旅の仲間になるイザナとスズメだ。仲良くしろよ」
「「「はい」」にゃ」
「二人もよろしくな」
「あぁ」
「よろしくね」
宿屋の前でよろしくやってると雰囲気が変わる。
「しつこいとモテないぞ?」
左手のない男だ。
「お、お前のせいで人生が狂った!責任取れやぁー」
“ガインッ”“ザクッ”
テリーが大楯でガードしてイザナが上から倒した。
「ほんと、危ないっての!」
「さて。捨ててくるか」
イザナはサッサと男を抱えてどこかにいってしまった。
宿屋に今日も泊まると三部屋頼んで部屋の中に入る。
とりあえず大荷物のスズメにマジックバックを渡すと喜んで入れている。
「わぁ、これも入るし!良かった良かった!」
身軽になったスズメは俺の横に座る。
「で?目的地は?」
「東の砂漠にあるぞ」
「なら馬車が必要?」
「馬車ならあるから心配するな」
「うん!っと、姉さんおかえり」
「あぁ、で?いつ出発だ?」
なんでもなかったような顔で帰ってきたな。
「明日だから今日は買い出しだ。マジックバックは俺とスズメが持ってるからとりあえずそれに食料と水を買いに行くぞ」
「分かった」
「ここにマジックボックスも置いておくからそれに入れてもいいぞ?」
「「「「「おぉ!」」」」」
「なんだよ?」
「マジックボックスなんて大金持ちか、上位の冒険者しか持ってないぞ」
「俺初めて見たよ!あの馬車に積むのか?」
テリーが言う。
「そのつもりだ」
「なら一杯食い物買いだめしとかないとな!」
「水も忘れるなよ!」
「おう」
テリーは走って外に飛び出していった。
「へぇ、初めて見たけどバラせないかなぁ?」
「スズメ、やめとけ!壊すから」
「チェッ!」
「私欲しいのがあったんだ!今から買ってきます」
「我も行くにゃ」
メイアは何が欲しかったんだ?
「それじゃあ俺たちも買い出しと行こうか?」
「あいつらだけで良かったんじゃないのか?」
「自分の分が無くなる。買い出しは必須だ」
「分かった」
「はい」
夜になる前にみんな自分の欲しい物をマジックバックとボックスに詰めている。
「テリー?この干し肉の山はなんだ?」
「えっ?俺の分だけど?」
「はぁ、金貨何枚分だよ!このバカ!」
「だっている物だろ?」
テリーだけだな?あとはメイアの欲しかったものは帽子だった。そんなの要らないのにな。水も大量に買ってきたし、食料も必要以上に買ったはずだ。
次の日は門を出て鈴を鳴らす。
テリーがボックスを馬車につけると、そのまま乗り込む。中が広くて良かったな。
夜霧の馬車に全員乗り込む。
『行き先は東の砂漠ですね?』
「あぁ、頼む」
もう干し肉を食べてるテリーとモニカ、窓の外を見ているスズメ、メイアと喋ってるイザナ。まぁ、なんとかなるだろ。
夜通し走る夜霧の馬車の中で俺だけ起きてガチャを回す。
銅5に銀が2、金が4。
・鋼鉄の胸当て++
・革のエプロン+
・鋼鉄の額当て++
・鋼鉄のゴーグル++
・ガントレット+
空きがあるのが多いな、誰に渡そうか?
・アサシンダガー
・妖精のタクト
これはイザナとモニカか?
・スキル玉 暗視
・スキル玉 聞き耳
・大技林(メカニック)
・スキル 氷魔法
大技林とは本だな。メカニック専用か。スキル玉はイザナだな。
「起きてんだろ?イザナ」
「あぁ」
ムクリと起き上がる。
「ほらよ、これを使え」
「スキル玉じゃないか!…まぁいい、使うぞ」
遠慮なく使う、暗視と聞き耳だから必要だろう。
「暗視か、それに耳も良くなった気がするな」
「上手く使い分けろよ?日中に暗視なんかしたら」
「わかってる。そこのバカと一緒にするなよ?」
そこのバカとはいびきをかいて寝ているテリーだ。
「それと装備だ」
「アサシンダガー?よく手に入ったな」
「まぁな。まぁ、上手く使いこなしてくれ」
「お前のユニークか?」
「まぁ、そんなとこだな」
「この中は安全だ、寝てくれ」
「そうさせてもらう」
イザナとの夜の密会も終わり朝が来る。
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