第15話 東の街ピーアド


 東の砂漠に向かう馬車の中では、

「うー、腹が減った」

「お前はどんだけ燃費が悪いんだよ!」

 俺はこいつの母親じゃないんだぞ?

「ほら。これでも噛んどきな」

「あむあむあむあむ」

 干し肉を口一杯に頬張るテリーに頭を抱える。

「にゃーにもおくれ」

「ほらよ」

「にゃむにゃむにゃむ」

「メイアは大丈夫か?」

「私は大丈夫よ、ありがとう」

 ほんとにこいつらは!

『ご主人、街が見えてきましたが?』

「寄るしかないだろう」

 干し肉もほとんど食べられてしまったからな。

「東の街ピーアドか」

 ここにもしかしたらいるかもしれないな。


 宿に泊まった俺たちはテリーとモニカが腹を壊したらしくまったくもってやるせない。しょうがなしに少し連泊する事にした。

「リュウ、面目ない」

「うっせー!お前は食いすぎるなっていってるだろ!」

「これから気をつける」

 トイレから声を出すな。

 っとに、まぁおかげでガチャを引く時間ができたな。

 11連を引くと、銅が5、銀が3、金が2、虹が1だった。

 ・鋼鉄の小手+

 ・毒のダガー++

 ・鋼鉄の大楯+

 ・鋼の小盾

 ・サーベル+

 うむ、銅は毒のダガーは使えそうだな。大楯はテリーか、

 ・マジックバック

 ・魔法の矢筒

 ・解毒の指輪

 これは当たりだな。三つとも欲しかった。

 ・スキル玉 三連射

 ・スキル玉 フルガード

 まぁ。二人に必要だな。

 ・マジックボックス

 マジックバックの大量輸送版だな。馬車に積んでおこう。

 さてコインもあと30ほどしかないな。どこかで調達出来ないかな?


 テリーがトイレで戦ってる間に酒場にでも行くか。

“カラン”

「おいおい坊主のくるところじゃないぞぉ」

 入るなり喧嘩を売られたが買ってやる義理がない。

「坊主じゃないし、喧嘩なら他でやれ」

「なんだとこら!」

 仲間が抑えているのでカウンターに座る。

「エール」

「はぁ、エールね」

 右を見るとやはりな。

「またあったなイザナ!」

“ストン”

 俺の顔ギリギリにナイフが刺さる。

「その名で呼ぶな」

「そう構えるなよ、俺と取引しないか?」

「…取引?」

「今からショットを二つ頼む、で、一つに毒を入れる」

「…それで?」

「そちらに毒が入っていたら俺の勝ち、俺の仲間になってもらう」

「私が勝てば?」

「ここに3000金貨ある、どうする?」

「…やろう」


「ふぅー!俺はねぇさんに賭けるぜ!」

「俺は小僧にゃ無理だと思うから姉さんだ」

「全員が姉さんに賭けてりゃ賭けにならないぞ」

 これだけの観衆の前だならド派手に行こう。

「なら俺が俺にかける掛け金は100金貨でどうだ?」

「なら賭けは成立だ!それにしてもよっぽど自信があるのか?イカサマじゃねえか?」

「なら毒は俺が用意してあるが入れるのは他のやつに任せる。誰でもいいぞ」

「んじゃ俺がやるぜ」

 まぁ、誰でもいいさ。

「ほら、ショットグラスだ」

「んじゃ酒を注ぐぞ」

 毒は渡してあるので俺はどちらが入ってるかわからない。

「よし!んじゃ姉さんからどっちにするんだ?」

「左だ」

「それじゃ俺は右だな」

 一気に飲み干す。


「ガフッ!」

 イザナは膝をついた。

「アーハッハッハッ!どっちにも毒を入れたんだよ!この生意気な女と小僧がどっちにしろ死ねば…」

「俺に毒は効かないんだぜ!!」

 剣を抜いた俺はそいつの腕を切り落とす。

「イデェェェェェェ」

「お前らもグルか?」

「し、しらねぇよ!賭けはお前の勝ちでいい!」

 観客は金を置いて逃げていった。

「イデェエッ!」

「その右腕も無くすか?」

「お、覚えてやがれ!!」

 ガランとした酒場にうずくまるイザナに毒消しのポーションを飲ませる。

「…お前は」

「リュウだ、よろしくなイザナ」

「チッ!負けだ、よろしくな」

「さて、この金はマスター、取っといてくれ」

 掛け金の100金貨だけ持って、あとの金は店に渡す。


「最初から分かってたのか?」

「何がだ?」

「毒を両方に入れるって」

「あぁ、そうするだろうと思ったよ、金のない奴はある奴から取ろうとするからなぁ」

「チッ!ついてない」

「いやついてると思うぜ!なんせ俺はラッキーだからな」

「ラッキー?なんだそれは?」

「幸運ってことだ」

 イザナが仲間になったしな。

「んでイザナには妹がいるだろ?」

「だからなんで知ってんだ!」

「俺だから?んで妹の病気を治すために金がいる」

 ストーリーはイザナの妹を助けるには二つの選択肢がある。3000金貨か、司祭になること、それをクリアすると暗殺者イザナとメカニックのスズメが仲間になる。

「俺が治してやるよ、スズメをな」

「お前がか?司祭でもないのに」

「毒も効かなかっただろ?まぁ、みてなって」

「おま、私の家じゃないか!なんでそこまで知ってるんだ!」

「俺だから!」

 俺は自分の家のように中に入っていき、スズメのベッドに跪くと、

「これは俺の魔力不足のせいで俺は倒れると思う。まぁ煮るなりなんなりすれば良い」

「おまっ!」

「いくぞ!フルケア」

 光り輝くスズメを見ていると俺の意識が無くなっていく。


「クソッ!こいつは」


「お、おぉ、ここは」

「スズメのベッドだ、早く出ろ」

 イザナが顔を隠しておらずタンクトップに髪を下ろしている?

「なんだ?おかしな格好か?」

「いや、それで良いと思うぞ」

 セクシーな大人の女性だ。

「あ!起きたんだね!僕はスズメ!治してくれてありがとう」

 僕っ子キャラだったか、イザナと一緒で紫がかった黒色の髪で髪は短めだな。切って貰ったんだな。


「君はリュウって言うんだよね?これからどこに行くの?」

「あははは、そうだな、秘密基地って興味あるか??」

「あるあるある!なにそれ!」

「まぁ。いってからのお楽しみだな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る