第14話 悪い大人2
次の街まで荷馬車で行く事になった。
夜は捕まってた人にパンと干し肉を与える。
「俺がこんなもん食べるわけないだろ!」
「うるせーな!ならやらねーよ!」
テリーも怒っている。
盗賊は逃げないように馬車の中に詰めて安全な場所に行ってもらっている。
アジトに馬車があったので使わせてもらって、俺が御者をしている。
まぁ、あと少しで次の街だからな。
「んじゃ、いくか!」
「俺はもうケツが痛いぞ!」
「うるせぇよ、お前なんか置いてくれば良かった!」
テリーが吠えると少し声が小さくなるからまだマシだな。
メイア達は他の人の世話をしている。
ようやく次の街に着く。
ようやくこのうるさいおっさんともお別れだな。鈴を鳴らして夜霧の馬車を呼ぶと、盗賊達は怖がってすぐに出て来る。
「これが盗賊です」
「分かった。すぐに手続きに入ろう」
門兵と喋っていると、
「さっさと中に入れろ!俺を誰だと思っているんだ!」
とまたしゃしゃりでてくる。
「これはこれは、モチ商会の会長さんじゃないですか」
「そうだ!分かったらさっさと帰せ」
「それがまだだめなんですよ、もう少し待って頂きたく」
門兵と揉めているが知ったこっちゃない。
まぁ、さっさと済ませるだろ。
「それでは捕まえた君達には報奨金がでるから、それも手配書が出てたから期待していいよ」
「やったな!」
俺からしてみれば要らないがな。
他に捕まっていた人達はお礼を言って帰って行くがモチ商会の会長だけが文句を言いながら帰っていった。持ち物で返して欲しい人はまた明日集まると言う事だった。
俺たちも宿に向かうとモチ商会とデカデカと書いた商会があった。
「ここでの買い物はやめよう」
「だな!胸糞悪い!」
テリーはそう言うと宿に向かって歩き出す。メイアやモニカもうんざりしているようだ。
宿は贅沢な宿に泊まった。報酬が入るしな。テリーは飯を相変わらず四人前食べてふて寝していた。
次の日は荷物を返して欲しい人との交渉だ。
形見のペンダントや、大事なものを返して欲しいと言う人には返してあげる。二束三文で返してあげたが、モチ商会の会長が来た。
「ワシの持ち物を返せ!」
「どんなものですか?」
「バックだ!四角いマジックバックだ!」
「ほうほう、確かにありますが中には何がはいってるんですか?」
「そ、それはあれだ、商売道具だ」
「嘘ですね、マジックバックの中身は盗賊の隠し財産だったからな」
「…くそ!じゃあ、普通のバックだ!黒で金縁の」
「本当にあなたのですか?」
「ほんとうじゃ、さっきは間違った」
「いくらで買われますか?」
「金を取るのか?守銭奴め!」
「これは俺らが盗賊のアジトから取ってきた戦利品だ、返さなくてもいいんですよね?」
そこにいた兵士に聞く。
「はい、その判断は盗賊を討伐した方によります」
「だそうですよ?」
「じゃあ、金貨10枚だそう」
金貨10枚かよ。
「ほ?そんなもんじゃ渡せないなぁ」
「中身を見たのか!」
「当たり前だろ?何かお金の動きがおかしな資料があったけど?」
「ひゃ、100金貨でどうだ!」
まぁ、最初から渡す気はなかったですけどねー!
「これが中身ですね」
「ああー!なにしてんだ!」
俺は兵士に紙の束を渡すと、会長は兵士から取ろうとするがヒラリと躱される。
「これは御禁制の品の入手先も書いてあるな、それに人身売買の証拠だぞ?」
「あちゃー。ばれちゃいましたねー」
あはは、そんなことしてるやつは捕まってしまわないとな。
「な!そんなもの俺は知らん!それではな!な!なんだお前ら!」
会長はそのまま牢屋に投獄されてしまった。
「これは少しだが」
と兵士長らしい人から金一封が貰え、報奨金も手に入った。
一件落着
モチ商会は息子が継ぐ事になったそうだが兵士が入って行くのが見えたからどうなることやら。
まぁ。俺らには関係ないけどな。汚いとこはどこにでもあるし、龍宮寺の時もそれなりにあった。
「ハハッ!それはそれだな」
「なんだよ、急に笑って」
「それより先を急ぐんじゃないの?」
「そうだな」
鈴を鳴らして夜霧の馬車を呼ぶと乗り込んで東の砂漠へと向かう。
車内では盗賊のため込んだ物と会長が持っていたものなどを色々と漁って使えるものがないかを確かめると、
結界石…一時的に魔物を近づけなくする。
奴属の首輪…奴隷にするための首輪。
などが見つかった。
奴属の首輪は壊して捨てた。
結界石はどこかで使うだろう。金貨は千枚は入っていたからかなり溜め込んでいたようだ。
「これで、食い放題だな」
「食べるにゃ!」
「だめだ。食い放題したら動けなくなるだろ?」
「腹八分目で我慢するにゃ」
「そう、それでいいの」
メイアにも言われて落ち込むモニカ。テリーは飯の事しか考えていないな。
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