第13話 悪い大人
「どこにいようと見つけ出す!」
「モニカ!しっかりしろ!」
「テリー!メイアのことを頼む…にゃ」
「モニカぁー!」
“バコっ!”
「バカやってる場合じゃないだろ」
「でもモニカが」
「疲れて気絶しただけだ。んじゃいくぞ!」
「どこか分かってるのか?」
「大体な!」
ふざけた大人だ、人を奴隷にしようなんてな!
外に出て呼び鈴を鳴らすとどこからともなく馬車が出てきた。黒いユニコーンの二頭立ての馬車だ。
「こいつを安全なところへ」
御者は頷くとまた消えていった。
「モニカは大丈夫なのか?」
「あぁ、それよりもメイアを助けに行くぞ」
「おう!」
街はすでに頭にインプットされているのでどこに何があるかわかる。歩いて行くと寂れた建物が見えてきた。
“バン”
と言う音と共に中に入る。
皆が固まっている隙にメイアを探すと…いた。まだ刻印される前で良かった。
「誰だテメェブラッ!」
「誰の仲間に手を出したか思い知らせてやる」
「リュウ、テリー」
「おう!待ってろよ!メイア!」
テリーは相変わらずだが、手がきつく握られている。
「小童が!」
“ガインッ”
「誰が小童だって?」
「フガクッ!」
テリーのアッパーが綺麗に決まった。
俺はメイアを抑えてるやつの首を刎ねると壁を利用してその反対にいる奴の首も刎ねる。
「メイア、大丈夫か?」
「う、うん」
「オラオラ!まだかかって来るやつはいないのか?」
“ガインッ”
「お!なかなかやるな」
「げっ!イザナじゃねぇかよ!ここで会うとはな…」
「誰だお前は?私の名を知ってる」
ダガーを2本持って佇んでいるのはイザナ。仲間にしようとしていた暗殺者だ。
「はぁ、知ってるだけだ。邪魔をするならお前も斬る!」
本当は斬りたくないけど!
「ふん。興が醒めた」
イザナはどこかに行ってしまった。
「ふぅ、焦ったぞ。よく止められたな!」
「いや、間一髪ギリギリで斬られた」
「な、ばか!早く言え!ヒール」
「ガフッ」
「ヒール!ヒール!」
「お、ありがとうな」
「って、お前致命傷じゃないじゃないか!」
「いや!痛かったのは本当だって!」
「テメェ嘘つきやがって!」
テリーを蹴飛ばしてメイアの縄を解く。
「ありがとう」
俺に抱きついて来るメイア。
まぁ、このくらい役得だな。
メイアを攫ったのはこの街の奴隷商人。
まぁ、首切ったから死んでるんだけどね。あとの生きてるやつは顔面に刻印を押し付けてやった。これで素顔を晒せなくなるだろうな。
奴隷商に行って奴隷を解放してやる。奴隷紋が跡に残るけどしょうがない。溜め込んでた金貨はくれてやって、魔道具なんかは片っ端からマジックバックに詰めた。
あとは知らん。
警官のようなのが彷徨いていたが知らないうちに消えていた。
宿に戻るともう一度、今度は俺たちも一緒に買い物に付き合う。
まぁ、楽しそうにしているから良かった。
一日明けて忘れていたので鈴を鳴らすと、
「にゃにしてくれてんにゃ!怖かったにゃ!」
「安全だっただろ?」
「ふざけんにゃ!あんなとこ怖くて怖くて」
「そんなにか?夜霧の馬車は安全な場所だぞ?」
「外がうにゃうにゃしてて」
「分かった、悪かったよ」
それでもモニカはご機嫌ナナメなので、好きなものを買ってやると言ったらたい焼きを買わされた。テリーとメイアの分もだから相当買ったぞ?
それからは夜霧の馬車を呼び、東の砂漠に行く事になった。外を走るからモニカの機嫌は直った。たい焼き買ったんだから直せよな!
ようやく暗くなってきたがこの馬車は全自動なので言った地点までは止まらない。わざと止まることはあるが。
『ご主人様、敵襲です』ほらな。
「敵だってよ、テリー起きろ」
「ん?昼飯?」
「あぁ、昼飯前だ」
「なんだ、それじゃあ」
「寝るな!敵襲だぞ」
「まじか」
外に出ると十数人の盗賊が取り囲んでいる?
「こ、これ大丈夫か?」
「うっせー!やるったらやるんだよ!」
“ガチャ”
「で?盗賊にやるものはないけど?」
「おうおう、でてきたな!」
「有り金全部置いてきな!」
テリーも出て来る。
「こいつら盗賊?なんかちっちゃいな」
「うおぉ!やってしまえ!」
「うおっ!かかってこいやぁ!」
俺らが負けることなんかない。全員まとめて縛って行く。
「クソッ!怪しいからやめようって言ったのに!」
盗賊は文句を垂れている。
「どこにアジトはあるんだ?」
「誰が言うかよ」
“ガンッ”
テリーが盾で頭を殴る。
「ここから近い」
「ならお前が連れて行け」
そいつだけ連れて俺は歩き出す。テリーは捕まえた奴らを見ている。
「ここだ」
「そうか!」
そいつの首を斬る。
そしてアジトの中に入って行くと何人かの盗賊がいたので斬り倒す。
こいつらは盗賊の中で多い方だな。
捕まっている人達を出してあげるが、かなりウザそうなやつがいるな。
「おい!俺の荷物はどこにある?」
「悪いけど盗賊に取られたものは盗賊を潰した俺のものだ、返して欲しいならそれ相応の金額で買い取るんだな」
「な!俺は大商人だぞ!」
「それは関係ないね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます