第12話 二人目


「今日はこれだけなのごめんね」

「ニャー」

 猫の横にボロを頭からすっぽり被っている。

「フフッ、私と同じで捨てられた者同士仲良くしましょ」

 メイアは捨て子だ。幼い頃に捨てられてからは盗みをしながらなんとか食べていた。


 あらすじはこうだ、そのまま盗みがバレて自分がハーフエルフだと言うことを知られる。奴隷として売られ、それを買う事で仲間になるが、忠誠心はない。


 メイアは珍しく精霊使いだ、弓の名手でもある。

 やはりまだ捕まっていないのでここで猫と一緒にいたな。

「よう、困ってることがあったら手を貸すぞ?」

「シャー」

「だ、だれ?」

 オドオドするのもストーリーではなかったな。

「お前を仲間にしにきた、とりあえずその猫も一緒についてきてもらっていいか?」

「ニャー」

「なぁに?うん、わかった」

 猫と喋ってついて来る事にしてくれたようだ。

「まずはこの中でシャワー浴びて汚れを落とせ、猫も一緒だ」

 宿の風呂に入れる。

「にゃ?!」

「待って逃げないで!」

「ニャー…」

「ちゃんと綺麗にしておけよ?」


 俺は女物の服を買いに行く、背丈を教えて大体で、下着もお願いして買って行く。

 とりあえず着替えを置いて外で待つ。

 出てきたメイアはフードを深く被って猫を抱いている。

「えっと、ありがとう?」

「あぁ、どういたしましてだ、猫も綺麗になったな?」

 顔を舐めている猫は俺の顔を見てフンッとそっぽを向く。

「次は飯だな、…一緒に食うか」


 宿に戻るとテリーは寝ていたので起こして、飯だと言うと食うと返事が返って来る。

「こいつはテリー、俺はリュウだ」

「メイアです。こっちは猫」

「お前喋れるだろ?名前くらい言えよ」

 猫に向かって喋ると猫は驚いたように目を見開くと、

「お前はなんにゃ?…まぁいいにゃ、モニカだにゃ」

「「猫が喋った」」

「喋れたのね?」

「悪いなメイア、我は」

 モニカが何か言いそうだったが言葉を切るように、

「はいはい、その話はあとだ。飯食うぞ」

「「「はい」」にゃ」


「ふぅ、腹八分目だ」

「三人前食っておいてよく言うよ」

 テリーは三人前をペロリと平らげた。

「美味しかったです」

「美味かったにゃ」

「そうか、ならこれから二つの選択肢があるから選んでくれ」

 俺は指を二本立てて二人に聞く。

「一つ、この街でまだ暮らして行く。二つ俺らと一緒に旅をする」

「わ、私は!その、あの」

「もうバレてると思うにゃ」

「えっ?」

 メイアはフードだけは被っていたかったみたいだから、買う時にフード付きの服にしといた。

「分かってる、ハーフエルフだろ?」

「ほらにゃ?」

 フードをとって顔を見せると可愛らしいツンと上向きな口に大きな目、少し尖った耳がエメラルドグリーンの癖っ毛で見え隠れしている。

「私は行きたいです」

「じゃあ、にゃーも行くかにゃ」

 錆猫のモニカは精霊だ。

「よし決まり、んじゃ宿もここに取るぞ」

 部屋を二つ取って一つは俺とテリー、もう一つはメイアとモニカだ。

 また寝てるテリーはほっといてまた11連を回す。

 銅が5、銀が4、金が2、

 ・フェアリーボウ

 ・精霊の棲家

 ・大金槌

 ・鋼の手甲

 ・鋼鉄の胸当て

 精霊の棲家ってこんなちっさいのにあの猫入るのか?小さな卵みたいだな。

 ・火魔法の魔導書

 ・剛腕のナックル

 ・天歩のブーツ

 ・妖精のグローブ

 剛腕のナックルはテリーだな、天歩のブーツと妖精のグローブはモニカか。

 ・夜霧の馬車の呼び鈴

 ・スキル玉 投擲

 スキル玉が出たけど投擲かぁ。しかし、もう一つのは大当たりだな。


 次の日の朝は、

「おい!朝飯」

「お!おう!」

 朝飯で起きるやつがあるか!

“コンコン”

「はい」

「朝飯食いに行くぞ」

「朝ごはんにゃ!」

「はい!」


 朝飯をガツガツ食べるテリーとモニカ。

 俺とメイアは普通に食べている。メイアはもうフードは被っていなかった。

「おかわり」

 テリーは分かるが、

「にゃー」

「おかわり一つ」

 モニカは人の前だと猫のふりをしたがる?

「モニカはこれに入れるのか?」

「にゃ!それは精霊の棲家にゃ!どこでそれを?」

「どうでもいいだろ?それでどうなんだよ?」

「入れるにゃ、でも今はまだ入りたくないにゃ」

「そっか、ならそのうちな」

 とマジックバックに入れる。

 モニカはまたガツガツと飯を食い始めた。

「は、腹が」

「にゃ。にゃー」

「二人とも食い過ぎだ」


 食休みは多めに取らないといけないな。

「よっと、俺はもう大丈夫だぜ!」

「にゃ!にゃ、にゃ!」

「そこは張り合うなよ。てかテリーは燃費が悪すぎだ」

 モニカが動けるようになってから行動し始める。鋼鉄の胸当て、鋼の手甲、フェアリーボウを渡してメイアに装備させる。


「どこに向かうの?」

 そうだな、あとのメンバーはいつでも大丈夫だろ。次はアジトになる場所に行くか。

「ここからもっと東にある砂漠に行く」

「「砂漠??」」

「砂がいっぱいのとこにゃ」

「へぇ、物知りだなモニカ」

「そりゃ知ってるにゃあー」

 金を渡して街で買い物をさせる。あの着替えだけじゃ足りないだろうからな。


 俺とテリーは宿屋で待っていたが、帰ってきたのはモニカだけだった。

「モニカ!どうした?」

「メイアが連れ去られたにゃ」

「チッ!ストーリーが始まったか?」

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