旅立ち

第11話 一人目


「どこから行こうか、まずは死ぬ予定のやつから助けに行くか」

 俺は北へ向かった。


 北の田舎町 マルターン

「へぇ、まぁまぁだな、暮らしやすそうだけど」

 俺がキョロキョロしてると、

「このクソガキが!何してやがる!」

 小太りの男がガキを摘み出して蹴りを入れた。

「うっせぇ!これくらい別に構わねぇだろ?」

「お前なんかに食わせるパンはねえんだよ!」

“バンッ”

「くっそ!なんで俺ばっかりなんだよ」

 悔し涙を流してるそいつが今回のターゲット、グランドナイトのテリーだ。背が高く人の倍は食べるはずなんだが、なぜか浮浪児のまま大人になってしまい働くと言うことが分かっていない。


 ゲームが始まって序盤に仲間にしないと飢えで亡くなってしまう。助けると忠誠心が芽生えなんでも言うことを聞くグランドナイトと言う特別な職業になる。


「はぁ、お前、こっち来い!」

「エグっ!グスッ!な、なんだよっ!」

「今から飯食いにいくぞ!着いてこい」

「は?か、金なんてもってないぞ」

 ボロを着ていて肋が浮いている。何日も食べていないのだろう。

「良いから着いてこい」

 料理屋に入ると中に入ろうとしないので無理やり連れてきて座らせる。


「適当に頼むぞ!」

「え、うん」

 それから五人前は食ったんじゃなかろうか?

「は、腹が一杯でう、動けねえ」

「あははは、食い過ぎだ馬鹿」

 まだゲームの始まってない状態だから喋れるけどゲームが始まった序盤にはもう喋れないほど状態は悪くなっていて献身的な介護の後、ようやく仲間になる。


「俺こんなに食ったの初めてうぷっ」

「吐くなよ?」

「吐くもんか!」

 テリーの鑑定をすると、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 テリー  18歳

 レベル1 (グランドナイト)

 スキル

 ユニーク 忠誠心

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 まだまだスキルもないがグランドナイトなのは確かだ。ユニークも忠誠心。

 

 忠誠心…上がれば上がるほど攻撃、防御が上昇


 まぁ、飯食わせるだけで仲間になるなんてな。

「食休みはもうしたか?」

「おう!もう大丈夫だ」


「俺は旅をしているんだがどうする?着いてくるか?」

「行く!また腹一杯食わせてくれよ!」

「お前も働けよ?」

「あぁ!わかった」

 ボロを着ているから服を買ってやり、防具を揃えるためにまずは宿に泊まる。

「今日は動かないのか?」

「今日はもう遅くなるから明日から動くぞ?」

「はぁー、ベットなんていつぶりだ?」

 そう言うと眠ってしまうテリー。

 ガチャを11連回す。

 銅が5、銀が3、金が2、虹が1

 ・鋼鉄の胸当て+

 ・鋼鉄の額当て++

 ・鋼鉄の盾+

 ・鋼鉄のグリーブ

 ・鉄の胸当て++

 まあ、ラックが高いからってよく揃ったもんだぜ。

 ・黒鉄の大剣

 ・アイシクルボウ

 ・氷のカチューシャ

 ふむふむ、これは良いかもしれないなぁ。

 ・スキル玉 剣術

 ・スキル玉 弓術

 スキル玉もいい感じだな。

 ・聖剣グランジスタ

 聖剣が出るなんていいな!これは俺が持とう。


「おい、起きろ」

「んん?なんだよ?」

「晩飯をだが食わなくていいのか?」

「行くに決まってるだろ!」

 テリーは飛び起きてついてくる。鼻歌なんて歌って呑気なもんだな。


「く、食い過ぎ」

「それはもういいっての!」

 肩を貸して部屋に連れて行く。


「お前は食い過ぎるな!食ってもいいがそこそこにしておけよ?」

「うっす」

「それとこれを渡しとくよ」

「えっ!これって」

「武器と防具とスキル玉だ、これから旅すんのに必要だからな」

「スキル玉?!こんな俺にか?」

「あたりまえだろ?剣術が入ってるから使え」

「…分かった!俺も頑張って強くなる」

「あぁ、期待してるぞ」

「おう!」


 次の日には元気に二人で宿を出る。

「こう装備すると引き締まった気がするな!」

「あぁ、朝飯は…食いすぎるなよ」

「分かってるって!もう食い過ぎないよ」

 テリーと朝飯を食って今度は東の街デールに向かう。

 テリーの戦闘はやっぱり盾がないとやりにくそうだな。

「テリー!盾だ」 

 盾を投げ渡す。

「お!ありがとう」

“ガンッ”

 盾でなんなくガードしてすぐに剣で反撃する。最初はアタックボアから始めて良かった。しかもあの体格だからアタックボアが当たり負けする。


「勝ったぞ!」

「まだまだだな」

「そんなこと言うなって!初めて戦ったのに!」

 そして東の街デールに着く頃には盾術を覚えていた。

「この街に何があるんだ?」

「ん?この街でまた仲間を探す」

「仲間か!俺みたいなやつか?」

「…」

「なんか言えよ!俺も仲間だろ!」

「はいはい、そうだよ」

「あ、なんかムカつくなぁ」

 テリーと二人で歩いているとフードを被った奴が隠れるように歩いていた。

「さて、見つけたから宿でも探すか」

「おう!飯の美味いとこな!」


 サッと見つけた宿に入りテリーを置いてくる。テリーにはあらかじめ金を渡してあるから買い食いでもするだろう。


 俺は次の仲間、メイアを探すべく街に繰り出した。

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