第10話 ハメ技


「帰ったよー」

「リュウニイおかえりぃ」

「おう、遅かったな」

 俺は机の本を取って、

「これは俺がもらって良いか?」

「ん?いいぞ?読んでもわからんしな」

「サーシャもいいよー」

「ありがとう」

 今日は兄貴が飯を作ってくれるみたいだ。

 ダイニングテーブルの椅子に座って本を読む。

 裏技も載ってるアルティメット版かよ。

 ならば、まずやる事は。

 ここがどこかだな。

 塔がある場所は十ヶ所、その中でミノタウロスが20階層のボス部屋にいるのは、ラヴィータの街か。そこのこの家は、本当なら誰も住んでない空き家になっているはずだ。何故ならここの兄妹は親と一緒にスタンピートに巻き込まれて死んでるはずだからな。


 俺がいたから死んでないのか。

 兄貴にサーシャはゲームではモブだけどちゃんと生きてる。はぁ、なら親も生かしとけよな。ちゃんと思い出として残ってるんだからさ。


 んじゃ次は、ユニークスキルを取らないとな。鑑定を百回同じ人物にかける。

 サーシャでいいか。


 晩飯中もサーシャを鑑定し、百回目でユニークスキル鑑定(全)を取得した。


 晩飯を食べ終わり、食器を片付けてから自室に戻る。

ステータス、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 リュウ  18歳

 レベル 68

 頭  ミスリルの額当て

 身体 鋼鉄の胸当て

 腰  マジックバック

 武器 ミスリルの剣

    ミスリルのダガー

 

 スキル ガード 鑑定 索敵 パリィ 怪力 付与 中級剣術 初級短剣術 初級槌術 中級斧術 罠探知 気配察知 一閃 疾風 影潜り 加工 料理 魔力循環 火魔法 風魔法 土魔法 水魔法 光魔法 闇魔法 雷魔法 生活魔法 回復魔法 錬金術

 ユニーク ガチャ 魔法の素養(全)鑑定(全)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 うん、あとは武器の付与状態も見れるけどそれは良いか。

 

 これから飛空挺と空中都市を手に入れて、って俺は何をしようとしてるんだ?ゲームの世界だと思って無茶苦茶しようとしてたな。

 危ない危ない。

 まぁ、ここで思いとどまったから良かったな。


 さて、このゲームはKOKキングオブキングの世界だ。オープンワールドで好き勝手やって良いことになっている。本ストーリーは王様同士が戦っていることになっているが誰も王になりたがらないと言うゲームだ。

 何故王になりたがらないかと言うとかなりめんどくさいからだな。

 内政から資金繰り、外交までやりながら他のキングを倒して領地を奪う。がまたその領地も管理しないといけなくてと言う凄くめんどくさいゲームにした。

 何故かと言うと最初は陣取りゲームにしようとしたが、オープンワールドにしたかった俺があれこれ詰め込んでただのゲームにしなかったのだ。

 裏技や、バグも少し残したし、王は王にならなければモブが勝手に安定させてるし、何もしなければサブストーリーをクリアしたり、仲間と冒険したり、ダンジョンを攻略したりと自由なのだ。魔王なんかもいないから遊びやすくてうちの会社では1番人気になったゲームだ。


 と、バグで金貨を増やしておこう。

 マジックバックの端に寄せて使うを連打!

 よし、四千枚くらいあれば良いかな。


 あとは主要キャラだがまだ見てないって事はこれはゲームが始まる前か、なら仲間に引き込むこともできるな。


 唯一の課金要素がガチャだったが、たしかラック上昇が1番出にくかったはずだぞ?それが二回も出てるから俺のラックは無限になってるはずだ。


 体力  207

 力   358

 素早さ 259

 防御  300

 運   無限


 やっぱりか。

 これはついてる!運が1番上げにくいんだ。

 んじゃ、このダンジョンの攻略はさっさと終わらした方がいいな。

 結局はこのダンジョンは30階層で終わりだからな。最後のキメラは強敵だけどハメ技で倒せば楽勝だろ。


「今日は兄貴には俺の意見を聞いてもらう!」

「なんだ?いいけど」

「言ったな!ちゃんと確認したからな!」

「わ、わかったけどなんだよ」

「よし!んじゃ行こう!ダンジョンへ」


 20階層まで上がった俺たちは21階層へ上がってきた。

「兄貴、サーシャは俺の隙間から敵を狙うようにな!」

「「わかった」」

 このためだけに大楯を買ってきた。

 21階層からはブル系が軒を連ねている。

 まずはビックブル、グレートブル、ホワイトブル、デビルブル、ブラックブルだ。

 これで25階層まではレベル上げしながら上がっていく。


「はぁ、はぁはぁ、流石に疲れた」

 ガードだけだが、しんどかったな。

「お前、よく頑張ったな」

 二人ともレベルは上がっただろからな。

「うん!刺すだけだったから楽だったよ」

「おう、で、ボス部屋でもキングブルがいるから同じ戦法だ」

「またお前だけが頑張るのか?」

「ここさえ済めばあとは楽だからさ」

「そうなのか、なら任せるぞ!」

「いくぞー!」

 サーシャの掛け声でボス部屋に入る。

 さぁ、頑張ってくれよ俺の身体!


「ぜはぁ、はぁ、はぁ」

「大丈夫?」

「大ジョバない」

「少し休め」

 水を持ってきてくれる兄貴から受け取って飲むと少しはマシになった。


 さーて、あとは楽だな!


 あぁ、ドロップ品はキングブルのツノ、皮、肉だ。宝箱には火耐性のネックレスと金貨25枚だった。


 さて、ここからは26、ライガー。27、シープ。28、ビッグスネーク、29、地龍、30、キメラだ。

 ライガー、シープ、ビッグスネークはそのまま今のレベルで倒せる。

 地龍はハンマーを打ち付けるとひっくり返るのでそこを攻撃すれば良い。

 キメラは。

 ボス部屋の入ってすぐの所はセーフティーゾーンだ。そこから攻撃するだけだ。

「そ、そんなばかな」

「ちょー弱かった」

「ここは安全地帯だからな」

 魔法を飛ばすだけの簡単なお仕事だ。


 ドロップはキメラの心臓、キメラのネックレス。宝箱はラヴィータの塔の踏破記録書とラヴィータメダル、金貨300枚だ。


「嘘だろ?これでダンジョン踏破なのか?」

「そうだよ?百階なんてないない」

「えー、もう終わり?」

「そっ!だから今日を持ってダンジョンクエスト終了だ」

「「マジか」」


「んで、二人に相談なんだけど、ちょっとだけ俺冒険してきて良いかな?」

「なんでだよ?いつも三人でやって来ただろ!」

「そこで兄妹じゃなくなるわけないだろ?必ず帰ってくるからさ」


 1番厄介なのは兄貴を説得することだった。


「なんかあったらすぐに帰ってこいよ!」

「にーちゃん、ずるいぞー!」

「じゃー、元気でな!帰ってくるからなぁ!」

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