第9話 付与
これにはこれを付与して!
できた!雷の槍!なんてね。
俺は武器と防具に付与をしている。
売るなら高く売ろうではないか!
せっせと、付与をしているとサーシャが入ってきた。
「リュウニイなにやってるの?」
「付与だよ。せっかくだから高く売れれば良いだろ?」
「おぉ!付与もできるんだ」
「お前のカチューシャにも付与してあるぞ?鑑定してみな」
「んー、あ!分かる!すごいね」
「だろ?だから邪魔するなよ」
「邪魔なんかしないよーだ」
ピョンピョン飛び跳ねて行ってしまった。
よし!これで良いだろう!
「兄貴!サーシャ!これ運ぶの手伝ってくれよ」
「ん?」
「なん、一杯あるじゃん!」
サーシャは嫌そうな顔をしている。
「よし、風呂桶を使おう」
兄貴が風呂桶を持ってきて武器や防具を入れていく。
「ゔゔゔー、ヨイショ!!」
“ドスン”隣響いた店内では店員がビビっていた。
「これ買取お願いします」
「これを?えっ!全部付与がされてる!!」
「これいいものでしょ?」
「わかったわ!全部買い取らせてもらう!」
全部で250金貨になった!
「大金持ちだぁー!」
「こら声がでかい!」
「オマエラフタリトモフツウニナ!」
「兄貴が1番普通じゃないぞ?」
っても買うものはたかが知れている。
日用品に食い物くらいだ。
趣向品は俺はコーヒーで十分だし、エールを飲むのは水があまり綺麗じゃないからだ。
酔いたいときもあるけどまぁ、水代わりだな。
親父さんに上掛けを買って贈ったらまた泣いた。親父さんは俺たちの爺ちゃんだからな。
さてこのダンジョンは100以上あると言われているが本当かね?てっぺんは見えてるからそれ以下な気がするが、ダンジョンはわからないからな。
Cランクのテストをしてもらって三人とも受かったのでようやく中位の冒険者くらいかな?
このところダンジョンには潜ってなく、俺は錬金術の勉強、サーシャと兄貴は訓練をしている。錬金術はそこまで難しい事はないが、やって見てわかった事がたくさんある。
まずは材料の選定、分量、などが少しでも違うとまず同じものができない。お菓子作りのようなものだな。その点俺には料理があるから自力で覚えてエリクサーまでは程遠いが上級ポーションくらいまでなら作れるようになった。
さて、あとはダンジョンを制覇して見たいな!兄弟三人でダンジョンの15階層からまたレベル上げをしながら上がっていく。
20階層ではミノタウロスが待っていた。
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ミノタウロス レベル30
スキル 咆哮 突進 中級斧術 ガード
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いいねぇ!中級斧術なんて欲しいね!
兄貴は後ろ回り込み、ダガー2本で滅多刺しにしているが、俺も鍔迫り合いをしている。横からサーシャがミノタウロスに槍を突き刺す。
血だらけのミノタウロスが倒れたので奪うを使うと中級斧術が手に入った。
止めを刺して20階層クリア!
「ドロップ品は斧と皮か」「ツノもあるよ」
「ふぃー、なんとか倒せたね」
ミノタウロスはタフだった分時間がかかった。
宝箱には20枚の金貨と本が一冊あっただけだった。
ダンジョンボードに手を当てて、自宅に戻る。
「これはなんの本だ?」
これは攻略本だな。やはり俺は龍宮寺なのか?フルダイブ型のゲームの中なのか?いや、死ぬ間際まで覚えているし、フルダイブ型なんてできていなかったはずだ。
じゃあ、なんでこんなものが?
「俺は少し風に当たってくるよ」
「おぉ。晩飯までには帰ってこいよ」
「あぁ」
ここが俺の作った会社のゲームなら、あれがあるはずだ。
“約束の木”だ。
あったな。
俺は転生して自分が作ったゲームの中にいるのか?それともまだ生きているのか?
夕暮れ時に約束の木に行くとイベントが起きる。
気がつけば白い空間になっていた。
「やはりな、神よ、なぜこんな戯れを?」
『貴方は一度死にました。この世界は貴方が作った世界と同じ、私が作った世界です』
白い空間で声だけが聞こえる。
「それだけ?」
『貴方はこの世界にエンディングをつけなかった』
「それはいつまでも遊んでもらいたいからだ」
『そう、だから貴方の作った世界に来てもらいました』
「エンディングを作れと?」
『いいえ、貴方は好きなように生きてください。貴方にはその権利があるから』
「はぁ、俺が作った世界を真似たからそれでおあいこってこと?」
『まぁそう言う事ですね』
「はぁ、じゃあ、俺は自由に生きるぞ?」
『どうぞご自由に、貴方に幸在らんことを』
白い空間から夕暮れ時の約束の木にもたれかかる。
「自由にか、攻略本も手に入ったし、兄貴とサーシャ連れて旅にでも出ようかな?」
立ち上がりケツをパンパンと叩いて土を落とす。
ならとことん楽しんでやろうじゃないか!
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