第8話 夜の温もり
リディアール王国の王都ルティールとは反対に位置する街〈セディア〉
ミカル、ディオール、アリアの三人はセディアの街にある宿屋が泊まることに。しかし、宿屋にある部屋が、一部屋しか空いていなかった為、二部屋、借りることが出来なかった。よって、三人は同室で一夜を共にすることになったのである。
✤
その日の夜、アリアは夢を見た。
バルハール帝国の暗殺集団にアリアが連れ去られそうになり、何とか逃げようと走るが、迫り来る追っ手に捕まってしまいそうになる。そんな悪夢のような夢を見た。
「んん……嫌……こないで……」
「大丈夫か?」
アリアはうなされていた。しかし、ミカルの声で目が覚めたのか、ベットから身体を起こす。
「大丈夫です。起きてたんですね」
平然とした顔でミカルに返事を返したが、アリアの体は震えていた。ミカルはそんなアリアを見て大丈夫には見えないな、と心の中で呟き、アリアを抱き寄せ、安心させる為に背中を優しく撫でる。
「大丈夫、大丈夫だ。アリア」
ミカルの声が心地良くアリアの耳に届く。
落ち着く、安心する。そうアリアは思った。そして、また、意識を手放した。
「寝ちゃったか」
ミカルの腕の中ですー、すーと寝息を立て寝ているアリアを見て、ミカルは優しい笑みを浮かべて、ベットの上にアリアを寝かせ、白い布団を掛けてやる。
「俺とこの娘は出会うべくして出会ったのかもしれないな」
ミカルは腰を下ろしていたアリアが眠るベットから立ち上がり、隣のベットで眠るディオールの方に視線を向ける。
どうやら、ディオールは熟睡しているようだ。疲れが溜まっていたのだろう。
ミカルは『いつも、ありがとうな』と眠っているディオールに告げて、部屋に窓の前まで足を運ぶ。
「綺麗な夜空だ。皆、どうしているだろうか?」
部屋の窓から見える夜空を見上げて、ミカルは静かに呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます