はきだした

死神王

本文

わたしがことばをはきだしたとき


わたしはこころが楽になった


わたしがことばをはきだしたとき


だれかのこころを傷（きず）つけた


わたしがことばをはきだしたとき


わたしは救（すく）われた気（き）がした


わたしがことばをはきだしたとき


あなたは私（わたし）を心配（しんぱい）した


わたしがことばをはきだしたとき


わたしはわたしを嫌（きら）いじゃなくなった


わたしがことばをはきだしたあと


しばらくしたら悲（かな）しくなった


わたしがことばをはきだすまえ


わたしはまた、あとのことを忘（わす）れていた


わたしも救（すく）えないし、まわりも救（すく）えない


だから、私は言葉（ことば）をのみこむことにした


今日も一日、言葉を嘔吐く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

はきだした 死神王 @shinigamiou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

App Storeからカクヨムアプリをダウンロード

Google Playでカクヨムアプリを手に入れよう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ