第5話 追放ざまぁチャンス


 そんな想いを胸に抱きつつ、俺とアイコは別クエストも達成し、何だかんだで上手くやれていた。


 烈火ブレイズを追放された時はどうなるかと思ったけど、案外どうにかなるもんだな。


 まぁ、それもこれも、アイコの持つスキルのお陰ではあるんだけど。それを言うと調子に乗るから、絶対に言わない。


 そんな事を考えつつ、俺とアイコはギルドの酒場で適当に飯を食べる。


 アイコは、あいも変わらず骨付き肉を頬張っていた。


 アンドロイドの筈なのに、肉のおいしさがわかるのだろうか。 



【む? どうしましたご主人。物欲しそうな目で見て。あげませんよ?】


「いらないよ。っておい、食べかすついてるぞ」



 俺はアイコの口元を拭いてあげながら、周囲の様子に気を配る。


 先ほどから、妙にギルド職員たちが忙しない気がする。何かあったのだろうか?


 そんな俺の疑問に答えるように、ギルドに飛び込んできた二人の冒険者が「大変だ!」と声をあげた。




烈火ブレイズの三人が、ゴブリンの群れにやられちまった!」


「その上、三人とも連れてかれちまって……!」



 二人の報告を受け、ギルド内にいた職員と冒険者たちがゴクリと、緊張の面持ちで唾を飲み込んだ。


 なるほど、どうやらギルド職員達が慌てていたのは、時間通りに帰ってこない烈火ブレイズの面々を心配していたからか。


 そして、あの二人は同じクエストを受けていた冒険者といったところか。


 あの様子だと、ゴブリンは想定以上に数が多いと見える。もしかしてスタンピードか?


 憶測をたて色々と考え込んでいると、肉を食べ切ったアイコがゲップをしながら声をかけてきた。



【ご主人、どうやらきたみたいですな。追放ざまぁ展開が】


「やめなさいそういう事を言うのは」



 何処か嬉しそうな様子のアイコは、無表情ながらもフンスッと鼻息を荒くしていた。アプリ時代はここまで好戦的な性格じゃ無かったんだけどな……。


 とは言え、今の俺たちならゴブリンが何体かかってこようが倒せる。そんな自信があるのも事実だ。



「……個人的な恨みも無いけど。ここで恩を売っておくのは、いいかもしれないな」



 俺の呟きに、アイコは大きく頷いた。



【ご主人、やってやりましょう。そして助け出した後にこう言ってやるのです。「今更俺の有用性に気づいたってもう遅い」……と】


「お前はいい加減そこweb小説あるあるから離れなさい」


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