第45話 ルキの謝罪
「せっかく来たけれども……。どこにいるのよ……」
そう、よくよく考えたら姫路市って広い。Google map見たらわかると思うけど、ホントに広い。
「まあ、でも彼女はえきそば食べたいと思っているならここら辺にいるでしょ?」
そのミカンの言葉に一同は賛同し、とりあえずせっかくここまで来たのだから、えきそば食って、姫路城を見ようということになった。
*****
姫路駅のえきそばは他の地域のえきそばとは全然違うのだ。中華麺を使っているから、そばというよりかは、ラーメンのイメージに近いかも。えきそばの店にはうどんも売ってはいるが、やはりここに来たからにはえきそばを食べたいところである。あと、ここのえきそばはきつねと天ぷらがある。
「私は天ぷらのえきそばにしましょうかね……」
エルは券売機の『えきそば 天ぷら』のボタンを押した。
そして、次々と券を買い、みんな入店していった。
*****
「何これ!!」
エルのもとに来たえきそばの天ぷらはとっても湿っていた。
「なんで、こんなべたべたなのですか?」
「ここのそばは先入れなんだって」
「ん、意外とおいしい」
エルは頬を赤らめながらおいしそうに食べている。
他の私やみんなもそれなりにえきそばを楽しんでいた。すると、店の扉が開いた。
「あ、ルキ!」
それは紛れもないルキの姿であった。ルキはナナを姿を見ると、鋭い目つきをして、とりあえず、入店した。
えきそばは食べたいんだね。
「おい……。ナナ……。行けよ……」
「え……。やっぱ、俺が行くんっすか?」
ナナ④はやっぱり嫌そうな顔をした。
「で……。それはそうとしてルキさん……。なんで私の隣にいるんですか?」
ルキはハブられてカウンター席に座っていた私の隣に座った。
「だって。ここしか空いてないもん」
確かに今日はお昼時で混んではいるが。こんなことあります?あまりにも気まずすぎて麺が啜れない。このままだとのびちゃう。あげより先に麺からかたづけたほうがよかったか……。
「で、あんたの名前……。ノドカだったっけ……?」
隣から声が聞こえた。はい、皆様のご存知の通り、その声はルキである。
「うん、てか、忘れてたの?」
「……うん、ごめん」
彼女は小声で謝罪した。
「ところで、今日はこんなところまできて何しに来たの?」
「分かんないの……?」
緊張が少し和らぎ。私は麺を啜るのを再開した。
「ちょっ……。汁飛んでる」
「あ、ごめん」
私は謝罪を返した。
*****
テーブル席のほうがなにやら騒がしい。恐らく、ナナ④が行く行かないで揉めているのだろう。さっさと行ってしまえ。
「なぁ、ノドカ……」
またルキが話しかけてきた。
「どしたの?」
私は麺を啜りながら言った。
「ごめんねぇ……」
その謝罪は先ほどの軽々しいものとはまるで違った。
「ごめん……。本当にごめん……。あの時、自分の感情をコントロールできなかったの……」
そうだ、彼女は大人びているように見えてもやはり、子供なのだ。
涙ながらに謝った彼女の姿を見て、私はそう思った。
「ルキ。謝る相手、絶対間違ってるから」
「でも、あのナナはあの日のナナじゃないんでしょ?」
「?!」
私は耳を疑った。
「なんで、分かるの?」
「だって……。明らかに、雰囲気違うじゃん」
確かにそうだ、とくに今日は。なぜなら、性別が違うのだから。
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