第43話 秘密会議?

「で、出せんの?ナナ②は」

「ナナ②が申請を出してくれればですけど」

「申請?」


 どうやら、8人の共通広場には『外出許可証』があるようで、それを提出箱に提出すれば、早い者勝ちでその日に外出(体を操る)ことができるようだ。何も埋まっていない日はランダムに選ばれるらしい。


「で、今日はランダムで①が選ばれたのね」

「あ、はい」

「あーそうなの……。今日は②は出せるの?」

「あ、無理です、日単位で入れ替わるので」

「あ、そうですか……。もういいです、帰ってください……。そして、明日に②を出してまた来てください」

「なんだ、私は用無しですか」


 ナナは少しばかり不機嫌そうな顔をした。頬を膨らませている。

 そのあと、ナナは荷物をまとめて帰っていった。


*****


 翌日、私はナナ……。ではなく、何故かエルに呼ばれた。


『ストップ同盟4人で今後のことについて話し合いましょう』


 なんだよ、ストップ同盟って。

 勝手に名付けられたそのダサい名前にわざわざつっこんでしまった。

 そんなわけで、エルのメールにて指定されたファミレスに向かった。そこには、例の4人がこちらに手を振っていた。


「やほー」

「来たか……」

「まったく……。待たせちゃって!」


 特徴しかないなこいつら……。


*****


「じゃあ、あの時はまともに自己紹介できなかったから、ここでしちゃいましょうか」

「なんか、あの二人を仲間外れにしてるみたい」

「まぁ、あの二人がいたらできない話だから」


 エルは申し訳ないような顔をしていた。やっぱり少しばかりは思ってるみたい。

 そこから順番に皆、自己紹介した。書くのが面倒なので省略させてもらうが。

 そして、その後、この会議の主題はやはり、エルにより提示された。


「さて、やはり、アイドルグループとは仲良くないといけないと思うんです!」


 エルは熱く語った。


「綺麗事だけどまぁ……」

「ソダネ」


 私とミカンは適当に返した。他の二人は対して反応なし。聞いているのかな?


「というわけで、ここで二人の仲を何とかするための作戦会議をしましょう!」


 一同から拍手が巻き起こる。


「どーも、どーも、で、誰か案ある?」

「あ、ちょっと……」


 私はその場で挙手をした。


「はい!ノドカ!」

「あ、はい、てか私は案というわけではないんですけど……。情報提供で……」

「「「うん」」」


 しまった……。これはこの事情、多重人格のことについては結構デリケートな話題だ。果たして話してよいものか……。ここまで来るまでに考えておけばよかった。


 と、私が考えながらそこで硬直していると、私のスマホがポケットの中で振動した。


「あ、ごめん……。電話」

「いいわよ、出て」

「あ、すいませーん」


 私は恐縮しながら、その場で電話に出た。外に出たほうがよかったか?まぁ……。いいか。


「はいどうも」

『あ、ノドカというものの電話で合ってるか?』

「あ、はい、合っていますけど……。その声、ナナ?」

『ああ、正確に言うならば、ナナ⑦だ』

「うん?ナナナナ?」

『ナナ⑦だ』

「あ、はい、⑦は結構厳格なんだねぇ~。てか、今日は②に来てもらうように言わなかったっけ?」

『ああ、その件もあったか……。まぁその前に本題から……。先ほどノドカが迷っていた件。別に大丈夫だぞ?』

「ん?何の話?」


 私は頭上に「?」を浮かべた。


『いや、だって言ってたじゃん。「言っていいものか?」って、あと言い忘れてたけど私、ナナ⑦は超能力者だぞ』

「ふーん」


 少し時が止まった。

 その後、私の思考が5秒間停止する。

 そして、その後、脳が理解した。


「はぁ!なんや、その設定は!!!!!!!!!!!!」


 私は思わず、つっこんだ。


『しょうがないじゃん。作者が困った末なんだよ。あれさ、最初はさ「多重人格設定ええやん」ってなってたけどな、ある時、気づいたんよ。「あれ、8人て多くね?」って。だから、私のようなキャラの濃いやつを……』

「にしても、序盤すぎでしょ。まだ3人目ダヨ?」

『知るかそんなん』


 まぁ、とりあえず、事情を話していいことを聞けたには良いことだ。あれ?なんか忘れてる気がするけど、まぁいいか。


「ん、ありがと、ナナ⑦」

『ああ』


 私は電話を切った。

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