第38話 貴重な友との出会い。
またまた、教室に居づらくなりました。
昨日までの彼らは堂々と私の前でオタク談議をするやつらだったが、今日からそんなことはなくなった。
快適にはなった。快適にはなったのだが……。
なんだか、気分は良くない。彼らが突っかかってくるのを面倒に思っていたのに、いざこうなってしまうと、なんか寂しく思う。変な感情だ。
自分から彼らに話しかけたら、どうなるだろう。
ふと、そんな今まで思わなかった考えが浮かんだ。
なぜそんなことを考えた?
『あの人たちと友達になりたいから?』
まただ、また声が聞こえる。本当に誰の声だ?
どうも……。前話から変な感じがする……。でも、まぁ、今はいいか。
私がずーっとそうやっていると、気づけば、もう放課後になっていた。
「時間の流れって早いね~」
今日も小佐野に部活に来いと言われたので、部室に足を運ぼうとしていた時、私は教室前の廊下である人に呼び止められた。
それはやはり、彼。拓郎だった。横には勿論、尾道もいる。
「あの……。何?」
私の返事は少し、威圧的であった。あまり学校では声を発さないせいか、声のトーンの調整が上手くいかず、低めにいってしまったのだ。
「あの………………。一つ、言いたいことがあって……」
彼にしては珍しく、緊張していた。
「「昨日はこそこそと話しててマジごめん!!」」
二人は深々と頭を下げた。
そのあと、私はつい言ってしまった。
「え?それだけ?」
あまりにも、内容が小さすぎた。たったそれだけで、そんな謝罪する?まだ、くりばいたるの連中にやられていることのほうがひどいぞ。謝罪も勿論ないし。
「え?もしかして、あまり、気にしてない?」
「うん、てか、アレ程度で気にする人って、いるんかな?」
「あ、いや……。わかんない……」
二人は目を見合わせながら、頭に「?」を浮かべていた。
「あ、そうだ……。上川、ちょっと、もう一つ話があるんだけど……。上川って、Vtuberって好き?」
「う~ん、まぁ、多少見るけど……」
嘘である。バリバリ見ている。だってVtuberだもん。
「だから、よかったら、俺たちと友達になってくんないかな?」
「へ?」
私は驚いた。まさか、『ひとりぼっちの○○生活』みたいな感じで「友達になってくれ」と懇願するやつがまさかこの世にいるとは。
『どうするの?』
謎の声が問いかける。
その問いに私は答えた。
「勿論」
この答えは、恋愛においての告白の返事のようだ。と後々感じた。
しかし、この答えはもしかすると、恋愛の告白の返事なんかよりももっと、大事なものだったのかもしれない。
なぜなら、この返事が永久の友である二人を作ったのであるから。
さて、これから始まるのは彼らとの楽しい、楽しい、推し事だ。
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