第34話 光がまさか、トレンドになります!

 とりあえず、私たちはくりばいたるに到着した。


「「おつかれさまでーす」」

「あ、来た来た」


 そこにはくりばいたるメンバー全員(和俊さんも)とジェネリックバーチャルリアリティーのVtuber、三人がいた。ちなみに、そのうちの一人は勿論、つばさである。


「そーいえば、灯見先輩。なんであのアーカイブ消しちゃったんですか?」

「へ?だって、あれ放送事故でしょ?」

「え~?そんな事故なんてなかったし、見て、この記事」


 私と光は未鈴のスマホの画面を見た。そこには一つのネット記事が表示されていた。


『ある二人のVtuber、何故か話題になる。

 ある愉快な配信が昨日の夜に行われた。その配信が行われたのは『灯見光Channel』現在登録者はおよそ五万人』


「五万人?!」


 光は大声を上げた。


「こんなのデマだぞ!私のチャンネルはまだ一万人台で登録者は虹よりも低い!」


 光は急いで、自らのスマホでチャンネル登録者数を確認した。


「超えてる……。50056人……」

「マジで……?」


 いきなり、約三万五千人の成長……。


『なお、その話題の配信のアーカイブは今は灯見光本人によって削除されている。理由は謎である』


「てか、あの配信、問題なかったの?多分私、酔いつぶれてたでしょ?!住所とか、本名とか……」

「いや、特に異常なかったけど、ただ、光が酔って、アカナは飲んでないのに、匂いでやられてた」


 なるほど、だから、私の記憶がなかったのか。よかった……。お酒飲んでなくて……。てか、私お酒弱すぎない?!


「まぁ、アカナの件についてはこじつけが過ぎるけどな……」

「てか、小説なんだし、お酒飲んでも大丈夫っしょ。『君の膵臓をたべたい』でもそういうシーンあったし」


 なんだ?その根拠。


「あの……。私たちいること、忘れてます?」


 そう言いながら挙手したのは、ジェネリックバーチャルリアリティーの皆さんだった。


*****


「で、コラボ配信に関して、くりばいたるは少ないから全員参加として……」

「やっぱり、きついよ……。和俊さん」

「ではこちらも、全員、出ましょうか?!」


 それは無理あるだろう。

 ちなみに、ジェネリックバーチャルリアリティーのVtuberの人数は50人ほどだ。


「いや、別々で出るんじゃなくて、七人くらいが別々に出るみたいな感じ」

「でも、一回の配信の人数が七人とかでもそれはやはり、大人数になるわけですし、そうなると、一人ひとりの発言数が少なくなって、とても居心地の悪い配信になると思うんですけど……」


 聖川が自分の意見をめっちゃ言った。


「確かに、一理ある」


 ジェネリックバーチャルリアリティーの人たちは「う~ん」と考え込んだ。


「あの……。一つ質問いいですか?」


 私はそう訊ねた。


「ん?どうしたの?」

「まず、私たち……。あなたたちの名前知らないんですけど……」

「あ、自己紹介まだか」


 まるで、最初のくりばいたるみたいだ。いや、一番最初のやつで自己紹介しなかったのは私一人だけか……。


「じゃあ、今から自己紹介しようと思ったけど、文字数がいい感じになったから、次回ね?!」


 とつばさは言った。


「いや、もうお前はいいよ」

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