第33話 気づかぬうちに。
この状況から見るに、どうやら私は光の家に泊まらせていただいたようだ。今日が休日で本当に良かった。今から、学校でも行こうものなら、確実に遅刻だ。そのことに気がつき、とりあえず、安堵し、呼吸をした。
「とりあえず、風呂、入ってきたら?」
「一緒に入る?」
「いや、遠慮する」
光は手を振り、私と一緒に風呂に入ることを拒んだ。そんな光に私はにやけ顔。そして、そのまま退室し、浴室に向かった。
*****
私のサービスシーンはカットさせていただこう。どっちにしても、小説なのだから、文書で入浴シーンを表現されても、よほどの想像力がなければ、興奮もできないものだろう。
私が風呂から上がり、ホカホカしていると、光がスマホの画面を見ながら、やばいものを見る目をしていた。
「どうしたの、光」
「アカナ……。私たち、昨日、何してたか覚えてる?」
「いや……。よく覚えていないけど」
まぁ、でもこの部屋の様子とこの光の様子を見るに、良いことは起きなかったようだな……。
部屋は空きペットボトルや空きの酒瓶などが散乱していた。そして、卓上には……。
『先に帰らせていただきます、明日、来れたら、くりばいたるに来てね 聖川虹』
cha
なんか、書き方が怖い、カクヨムだと、明朝体とゴシック体しか表示できないから伝わらないかもしれないが、何?このフォント、呆れに呆れて、その感情で描いたような字だ。
「嫌な予感しかしねぇ……」
「その予想はビンゴだ」
光は私にスマホの画面を見せてきた。それに表示されていたものは『灯見光channel』チャンネル画面であった。そこには光のライブアーカイブのサムネがいくつか表示されている。
「これがどうしたの?」
「一番上を見て」
私はアーカイブライブを確認してみた。
そのライブの配信日はなんと昨日。配信のタイトルは『???????』
「光、こんな謎の配信、昨日やってたの?」
「いや、私、こんなことやった覚え、ないんだよ。だからもしかして、昨日の夜、私たちの記憶がない間に……」
「へ?」
そう聞くと怖くなってきた。自然と汗が出る。アレ?おかしいな……。まだ、夏じゃないのに、こんなに汗が出るんだ。なんかの病気かな?帰りに病院寄ろっかな……?
「確認しよう……!」
「へ?」
「もしかしたら、この配信の中にやばい発言してる恐れがある……。だから確認して、そして、やばいところはカットしよう……!」
私はその時、だるさのあまりこう言った。
「配信非公開にすれば?」
「あ、そっか」
落ち着けよ。
*****
とりあえず、配信を非公開にすることに成功した。そこまで、再生数も多くなかったから……。まぁ、大丈夫でしょ。
とりあえず、なかったことにすることができて、二人でとりあえず、安堵し、深呼吸をした。
「とりあえず、まぁ、くりばいたる行くか……」
「そうだね……」
今度の試練、週間コラボ配信をとりあえず何とかする(多分、もう逃れられない)ため、私たちは肩を並べ、くりばいたるへと向かうため、タワマンを出た。
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