第32話 もう、やるしかないのでしょうね……。

 前に見たジェネリックバーチャルリアリティーの人たちがまたくりばいたるにやって来た。


「あの……。早く、これ連れて行ってくれません?」


 私はつばさを指差しながら言った。


「いや、今日はつばさを連れて行くのが目的ではなくて……」

「へ?」


 彼女たちはくりばいたるのソファに座った。


「では、今度のコラボ配信の会議をしましょうか」

「「マジですか……」」


 私たちはもうこのコラボを逃れられないということを知った。


*****


「いやー!うまい具合にいったね!」


 ジェネリックバーチャルリアリティーの人たちが来たすぐ、未鈴とのどか、いわゆる我らの敵対関係である女たちがこのくりばいたるに姿を現した。


「こうすれば、さすがの二人でも、もう逃れられないでしょ」

「お前……。論破するだけでは物足りず……。ここまで徹底的にやるとは……」

「より確定にするためにね。いや~でも虹がいなかったのは惜しかったな~」


 彼女らの魂胆とは、こうやって、反対組がいる時間帯にコラボ相手を呼び、より確実に決まりましたよみたいな感じな雰囲気を出すことにより、コラボ配信を認めざる負えないみたいな感じにしたのである。


「終わったな………………。所詮、クズはクズなのだ……」

「「くっそお!!」」


*****


「で……。結局、決行されることになっちゃったの?」

「「面目ない」」


 こちら、反対派連合軍は光の家に集まり、聖川に失敗報告をした。


「でも……。あれはしょうがない希ガス」


 私の隣で、光がそう、小さく呟いた。


「ん?なんか、言った?光?」

「いえ、虹様!」


 様?


「まぁ……。ここまでやったら、もうやるしかなさそうね!こうなったら、この一週間!命懸けましょう!!」


 聖川はなぜかもう燃えていた。


「私は配信で燃えたくない。萌え配信で萌えたい。燃えて、萌えたい」

「アカナ、さっきから何言ってんの?」


*****


 憂鬱だ。聖川はもう、開き直ってやる気になっているけど、やはり、私と光はまだどうもやる気にならない。私はそう思いながら、現実に目を向けるべく、目を覚ました。

 すると、見知らぬ天井が視界に広がった。


「知らない天井だ……」


 いや、この高い天井、いつか見たことある気がする、知らないけど、見たことはある。まぁ、そんなことは一旦置いておこう、とりあえず、私は起き上がった。

 すると、視界にはビルが立ち並ぶ、大阪の景色が確認できた。

 起きたのはいいものの、頭痛がする……。


「痛ぇ……」


 私はよろよろと立ち上がり、歩き回った。すると、何かにつまずき、すてんと転んでしまった。


「頭に追撃!痛ぇ!」

「誰かにあばら蹴られた!痛ぇ!」


 もう、痛い展開しか起きない。不幸な朝だ。

 私は頭をおさえながら、また起き上がると、そこにはあばら骨のあるところをおさえながら、痛がっている、せっかくの綺麗な金髪がボサボサになっているロリ女、すなわち、光がいた。


「「あれぇ~」」

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