第27話 謝れ!謝れ!

 雰囲気悪い……。『第21話 殺風景なくりばいたる』の時よりも雰囲気悪い。あの時の十分悪かったけども……。

 普段座る姿勢が悪い私たちくりばいたるメンバーも何故か今は正座している。

 この状態がもう二十分続いている。そろそろ、足の痺れがキツイ。


「で、何しに来たの、四人とも」


 その沈黙を破ったのはやはり光であった。正直、待ちくたびれた。


(ほら、言え!謝れ!未鈴!)


 そう、こっそり促すのは聖川である。これはしっかりママしてるといえるのであろうか。


「あ、あの、灯見先輩……」

「………………」


 光は何も言わない。ただ、未鈴を見てめている。


「本当にすみません!灯見先輩のメンタルとプライドをそぎ落としてしまって!」


 未鈴は全身全霊で謝罪した。

 ちなみに、あの時、何があったのか分からない私たち三人は今のところ頭の中は「?」だ。

 ───本当に何があったんだろうな。


「まぁ……。そこまで一生懸命に謝られられたら……。しょうがない!許すか!」

「「「え!いいの?!」」」


 驚いたのは、詳細をあまり知らない私たち三人だ。


「まぁ、この状況にも飽き飽きしてたしね、正直、さっきの謝罪でようやく素直になれたよ、多分、私が悪いし」

「ほんとに何があったの?」

「それは答えられない」

「なぜ?」

「これ、正直に言うとね……。作者が何があったか全然思いつかないから、こうあやふやにしてるみたい」

「それ、わざわざ言わなくてもいいだろ」


 なんか、未鈴が変なことを言ったとこまでは分かってるみたいだが。(決まってるんですよね……)

………………。うん!何があったのかはあなたたちでお考え下さい!(アイデアが出ない場合の最高の謳い文句)


*****


 翌日。

 くりばいたるには相変わらずのメンバーが出揃っていた。


 くりばいたるメンバーみんなのまとめ役!秋谷のどか!

 集客力はナンバーワン!話題のVtuber!彗星未鈴!

 頭のおかしい未鈴のママ!聖川虹!

 聖川虹の相方にして、即席アニメーションの作り手!灯見光!

 インターネット界での淫乱女にしてまさかの常識ポジ!木本仁アカナ!


 そして、最近どうやら、章題名にもなっている、公式チャンネルのほうも上がってきている。

 チャンネル登録者86000人。

 目標の十万人まで、あと少しだ。日々のShortsの投稿がいいところに転んだな。実際、結構バズってる。高評価五万くらいはザラにある。そのおかげで、光や聖川のチャンネル登録者も急速に上がってきた。もう、勢いがやばくてどれくらいか覚えてない。


「そのうち、どっかの大手Vtuber事務所のVtuberが乗り込んでくるかも」

「そんな、漫画みたいなこと、あるわけないやろw」


 そんなこと言い合ってると、くりばいたるのドアが叩かれた。


「誰だろう」

「和俊さんじゃないの?」

「あの人、ノックするかな?」


 と言ってると、そのドアは開けられた。


「ここがくりばいたるね!たのもー!」


 なんだか、時代遅れな奴が来たな。

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