第26話 自宅訪問します!

 何とか、未鈴をくりばいたるに戻すことができた。これでとりあえずは配信の同接は安定しそうだ。問題は彼女だ。

『灯見光』

 現在、彼女とは連絡を取ることができていない。

 我々はこの事態に頭を抱えた。


「どうしようか……」

「決まってるでしょう!自宅訪問よ!!」


 そう提案したのは聖川だった。


*****


 というわけで、大阪府内にある灯見光のリアルの家まで私たちは来た。メンバーは私、虹。秋谷先輩。そして、元凶である未鈴だ。まだ、彼女は光が出ていったあの日、なんて発言したのか、私たちに教えてはくれない。


「いや……。でも衝撃だな……」


 私と未鈴は見上げて見えるそれに度肝を抜かれた。

 彼女の家は、タワーマンションでした。しかも最上階。


「何で、あの人、こんなところ住めてるんですか?」

「親が太いらしいよ」


 一人暮らしでこんな家を買い与える親すげぇ………………。


 とりあえず、マンションの中に入ることに。しかし……。


「そういえば、こういうマンションってセキュリティ高いですよね。多分、光は開けてくれないでしょうし………………」

「大丈夫だ。アカナよ」


 すると、聖川はじゃらじゃらと一つの鍵を取り出した。


「合鍵あるから」

「まじか。お前、そんなん持ってるんかよ」


 秋谷先輩は少し驚いている。


「普通持ってるもんじゃない?友達の家の合鍵くらい」

「いや、持たんだろ」


 とりあえず、合鍵のお陰で、タワマンには余裕で入ることができた。

 そして、長い、長い、エレベーターの時間も終わり、私たちはタワマン最上階へ来た。


「うわっ……。無駄に高けぇ……」


 秋谷先輩は顔を青ざめていた。


「どうしたんですか?秋谷先輩。顔も青ざめて、汗もこんなに……」


 異質な様子の秋谷先輩のことを未鈴は心配し、救いの手を差し伸べた。


「もしかして、秋谷先輩。高所恐怖症なんですか?」


 私は秋谷先輩に訊ねた。


「ああ、よくわかったな……。アカナ……」

「いや、分かるでしょ、この状況だったら」

「うん、まぁ、そうか……。てか、結構重度で正直、くりばいたるの高さでもきつい」

「何で来たのよ……」


 さすがにその言葉に聖川は呆れた声で言った。

 ちなみに、くりばいたるはとある喫茶店の上にあり、その高さは普通の二階の高さである。


 そして、いよいよ目的地に着いた。表札には『宮本』という名前が書いていた。その表札の下にはインターフォンがある。


「ほら、未鈴、押せ」

「え~!ママ、押してくれないの?!」

「もともと、お前が元凶だろ」


 そういわれちゃ、彼女も反論できない。

 彼女は恐る恐る、インターフォンを押した。


ピンポーン


 ベル音の後、しばらくの沈黙が続いた。

 そして、十秒ほどそれが続いたのち、久しい光の声が聞こえた。


『なんの用?』


 やけに威圧的だ。


「あ、あの………………」


 未鈴はうまく発言できていない。

 聖川はそんな未鈴を見かねて、未鈴をインターフォン前から除けて、光との会話相手を代わった。


「とりあえず、家上げてくんない?別に合鍵持ってるから、勝手に開けれるけど」

『わーた、開ける、開ける!』


 光はあっさりとその部屋のドアを開けた。


「………………」

「まぁ、とりあえず、みんな入って、未鈴も、いいから」

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