第24話 新衣装を考案します!
また、めんどくさいことになってしまった。いや、めんどくさいことにしてしまったと言った方がよいか。
我々、三人が未鈴様を無視したため、まるまる一週間を使って、素敵な新衣装を描けと。聖川先輩は命じられた。
「正直さ……。三十分くらいで描いて、『一週間かけて描きました!』って言えばよくない?」
聖川先輩はいきなりこんなことを言った。
「まぁ、いいですけど、服の面積はどのくらいにするの?ちゃんとしてないと、ただの繰り返しだよ?」
「服の面積は……。乳首と股隠せばどうにかなるだろ」
ダメだ、こいつ。
「とりあえず、まず、谷間をなくしてみたらどうですか?しっかり、隠している服!」
「え~……。露出減らすの……?」
「聖川先輩……。なんで、現行のモデルが不満持たれたのか聞いてましたよね……?」
すると、聖川先輩は「チッチッチ」と言って、私を否定した。
「多分、アレはツンデレなんだよ!エッチな自分の絵描かれて、喜ばないVtuberはいないからね!」
「おい、虹、それ、くりばいたるだけのデータだろ?」
「うん、そうだけど」
「こんなところとほかの事務所とか、個人の人たちを一緒にするな」
そこで、私はとある、一つの疑問を抱いた。
「ところで、秋谷先輩は自分のエッチな絵描かれたら、どう思うんですか?」
「え?普通にうれしいけど」
おい。説得力ねーな。
私は思わず、あきれてしまった。
*****
そして、二日の時が経った。
前日、何故か、くりばいたるに来なかった、聖川先輩が何やら、ノリノリになって来た。
「よーっす!できたぞっー!って何してんの?」
「セッション」
そのころ、私と秋谷先輩は私がギター、秋谷先輩がドラムでセッション動画を撮影していた。意外にうまい。
「いや~、やっぱ、ギターいると、一気に楽しくなるね!」
「てか、めっちゃ、エフェクターありますし、機材も高いですけど、これ、誰が買ったんですか?(ギターもGibson製……)」
「和俊さんが買ったと思うけど……」
さすが、しゃちょー……。でもこの事務所そんなに稼いでいないと思うのだが……。
実際、この事務所の収入は微々たるものである。かろうじて、私たちの広告収入があてだと思うのだが、それも問題の動画でままならない。問題の動画とは説明しなくてもわかると思うが、聖川&灯見のエロを前面に出した動画群のことだ。
「まぁ、そんなことは置いといて、新しい衣装できたから見てよ」
「大丈夫なの?」
私は疑いの目を聖川先輩に向けた。
「心配するな!ちゃんと二人の言うことを参考にして描いたから」
そうゆうことなら、安心だ。私はそう思い、安堵の呼吸をした。
「アカナ、心配したほうがいいよ……」
「え?」
私は秋谷先輩の言葉を理解することができなかった。
「こいつは全然、絵に関して、人の言うことを聞かないんだよ」
その言葉が補足されたことで、私はようやく、その言葉の意味を理解することができた。
つまり、これから彼女のペンタブに映し出される絵は私たちの意見が反映されていない可能性が大いにあるということか。
「じゃぁ、見よ!」
ペンタブがひっくり返され、その画面が私たちの視界に映った瞬間、私たちは反射的に同じ言葉を発した。
「「書き直せ!!!」」
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