第18話 暇をつぶします!

 くりばいたる公式YouTubeチャンネルが開設された。私はもうくりばいたるに所属していることは公表していたが、秋谷のどかは非公開であったため、開設されたその日に所属していたことを公表した。


「で、反応はどうだったの?」


 スマホを手にした光が秋谷先輩に質問した。


「特に何もなし。ファンのみんなはまぁ……。普通に反応してくれたよ?」

「炎上とかは?」

「そんな世の中だったら、世界中のVtuber、死んでるよ」

「うん、まぁ、確かに」

「私も炎上してますね」

「そっか、アカナものちに公表か」

「私は入ったら、比較的すぐに発表しましたけどね」


*****


 なんだこれ。


 共同である、くりばいたる公式チャンネルに妙な動画が投稿された。


『灯見光・彗星未鈴のあぁん♡喘ぎ声一時間耐久』


「なんですか!これ!」


 さすがに切れた。


「なんか、需要ありそうかなって」

「いや、まぁ……。光がこうゆうことをするのはわかるんだけど……。なんで、未鈴もやってんの?」


 私が半ギレで未鈴に尋ねた。


「えっと……。灯見先輩に誘われて」


 簡単に騙される純粋無垢な美少女がいる!?


「こんなことやって、BANされたらどうするんですか……」

「大丈夫、大丈夫……。広告は外されたけど」

「そらみろ」


 光は明らかに不満そうな顔をした。


「アカナもネットでは淫乱女って言われてるくせに……」

「それも、主にあんたのせいだろ……」

「アカナ……。結構、灯見先輩に当たり強いね」


*****


 この日は珍しく、くりばいたる所属Vtuber全員が集まった。


「というわけ、全員で配信しましょう!!」


 そう提案したのは秋谷先輩だった。


「機材あるの?」

「すでに和俊さんに頼んでおきました!」

「持ってきたよ~」

「早いですね……」

「俊足履いてきた」


 和俊さんは明らかにサイズが合っていない俊足を履いた足を見せた。


「和俊さんって結婚してるんですか?」

「してないけどなんで?」

「いや、息子さんからぶん獲ったんかなって」

「俺、そんな極悪非道に見える?」


 Vtuber全員が首を縦に振った。


「この事務所、つぶしていい?」


 その衝撃的な発言はとても棒読みで、いかにも本気とは思えなかった。もちろん、本気ではないのだが。


 現時刻は午後二時(休日なんだ)配信予定時間はみんなが見やすい午後九時ごろ。とりあえず、事務所のXアカウント(ほぼ意味を成していない)メンバーそれぞれのXアカウントに告知はしたから、一定数のリスナーは来てくれることであろう。


「それまで、この事務所にいなきゃいけないの?」


 学校ではリア充な未鈴様はご不満である。


「暇なら、大阪駅行ったらどお?私は行かないけど」

「え~、ママも行こうよ~」

「いいって、あそこ、おしゃれな服とかばっかじゃん……」

「本屋行ったら、漫画とか、ラノベとか置いてますよ」


 と私は言った。


「そしたら、アニ●イト行く」

「それか、メロン●ックスとか?!」


 秋谷先輩が目を輝かせた。多分、エロ本買いに行きたいだけだな。


「てか、ネット淫乱女ことアカナ。メロン●ックスってエロ漫画、置いてたっけ?」

「私、未成年なんで知りません。てか、置いてても男性向けでしょ」

「私はBL本より、百合のほうが好きなんだ」


 知るか。


「エロ本の話はもういいです」


 私たちがくだらない話をしている脇で未鈴があきれた私たちを軽蔑したような顔をしていた。


*****


 未鈴は結局一人で大阪駅に行ってしまった。


「あ~つまんね~、虹~、エロ絵描いて」

「なんで、のどかはそんな男性向け性コンテンツが好くの?」

「This is a Japanese culture.」

「日本を汚すな」

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