第11話 私のママはまだ来ない。
休日、私はワクワクでくりばいたるに来た。ママに「できたよ」という報告を受けたからだ。
「おっつかれさっまでーすっ!」
私はテンション高く事務所の扉を開けた。
「むへっ!」
そこには、牛丼をほおばっているアカナの姿があった。そして、その奥には、当然のように灯見先輩がいる。
「おっ、テンション高いね~」
「ごほっ!ごほっ!」
アカナは先ほどの「むへっ!」から、むせてしまったようだ。
「あれ、ママ……。じゃなかった。聖川先輩はまだ、いないんですか?」
「うん、まだいないよ。多分、今日は来るだろうけど」
「あ、そうなんですか」
私は少し気を落とした。
「でも、遅いね。そろそろ来てもいいころだと思うけど」
「そうだよなぁ」
灯見先輩とアカナが目を合わせて言い合った。もう親友の位置まで達しているほどの仲だと私は思っている。
しかし、確かに遅い。ママからの連絡が来たのがおよそ二時間前。そう考えると明らかに私が来たのが遅すぎるくらいなのに、彼女はまだ来ない。来ない…………。
「もしかして、あれかな」
さすが、長年の付き合い。(どのくらいか、そんなのはもちろん知らんが)灯見先輩は何かを勘づいたようだ。
そして、その瞬間、私のスマホから通知音が鳴った。もしかしたら、ママがなんか連絡してきたのかな??
私が急いでスマホを立ち上げると、そこには「灯見光」のラインから「まだだろうかね」という通知情報が表示されていた。
「……………………」
私は灯見先輩を睨んだ。その人はくすくすと腹を抱えて笑っていた。
「ぶち殺しますよ」
「あーこわww」
ほんとに、この人どうかしてやろうかな。
*****
「虹、来ないから暇だな……。そうだ、未鈴、一緒に動画とろ!」
「いや、録らないです。まだ、私のビジュ、決まってないので」
「んじゃ、私が仮に描いてやるよ」
あんまり、気は進まないが減るもんではないし、断る理由もないから、とりあえずそのことに関しては首を縦に振った。もちろん、動画は録らないけど。
灯見先輩はさっそくペンタブをとりだし、作業を始めた。
そこから、私がリズムゲームで暇をつぶしているうちに、灯見先輩が「できた!!」と叫んだ。その無邪気さとその幼女体系を見るとまるで子供だ。
「灯見先輩って実は小学生だったりしないですか?」
「失敬な」
確かに、失敬だが、こればっかりはどうしようもない気がする。そう言わざる負えないほど彼女は子供なのだ。
「とりま、見ろ、これを!!」
「こ、これは!!」
そこには、普通にかわいい女の子が描かれていた。
「かわいい~!これが私かといえば否定するかもしれないけど」
「つまり、お前はこいつを使いこなせるほどのかわいさを持っていないかということか。憐れめ」
「ん?なんか、言いました?」
「いや、何も??」
私が少し鋭い目つきで彼女を見ると、彼女は怖気ついた。ふん、腰抜けめ。憐れだな。
*****
「暇だ。そうだ。アカナ、未鈴。一緒に人生ゲームやろうぜ」
灯見先輩がいきなりそんな発言をした。
「この事務所にそんなものあるの?」
アカナは疑問を浮かべる。まあ、この事務所に将棋盤とかあったりして、正直、少し麻痺していたが、そんなものがあるだけで、異常なのか。
「私は正直、光にリベンジしたい!!将棋で!!」
「なにぃ!!やる気かぁ!!」
人生ゲームの話題がどこかにいったことを私は察した。まぁ別に興味ないから、口は出さない。
*****
「また負けたーーーーーーー!!!!!!!!!」
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!いっつも、のどかや虹に負けまくってるから、アカナ、ボコすの気持ちいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!」
大人げない……。
現在、アカナ 光の対局が五局あり、結果は想像どおり、アカナが0勝5敗である。
正直言って、この状況、カオスである。
にしても、本当にママはいつ来るのだろうか……。
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