最後は暴力と言う野蛮な件

 もう幾星過ぎたのであろうか。まあ、体感は別で数か月なんだが。

夏も、冬も味わえない永遠に続く地獄。ぶーやんの金で(借金もして)贅沢三昧もしたし、やりたいことは全てした。でも仮初の快楽。飽きてしまった。もう考えることもやめ、ロボットの様に淡々とこの日常を繰り返しているだけだ。考えると穴掘りの刑罰者の様になってしまう。俺は防衛反応の為に心を殺していた。ドア付けも神技の領域になった。比喩では無く工場で起こることはすべてを知っている神に近い存在でもある。そして、ぶーやんの体でループを繰り返す度に同化していった。俺にはない、工学的な知識も馴染んできて全く興味なかったガジェットも集めたりした。そして脳死しながら、ぶーやんと俺が集めたガジェットを愛でていると、某国製のバッタもんのスマートウォッチが目についた。こいつはリチウム電池に欠陥があって熱暴走するから発売中止になった奴だ。50度以上で確実に熱暴走すると言う、爆弾スマートウォッチ。ある意味すごい製品。そう、意図して暴走つまり爆発させれる。

 そうだ、熱暴走、発火、爆発。なんだ、なんて俺はバカだったのか。不正は正すのでも、隠匿するのでもなく、隠滅させればよいのだ。そして俺は、不正検査マニュアルと検査結果の保管している処に、不自然でない熱源とスマートウォッチをセッティングして、夜勤を終えた。

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