しょうがないから正攻法での件
なんやかんやで、金はあるから散財したり、普段では出来ないことをしたが、まあ、またここに戻ってくるんだよな。変化の無い享楽的な生活は苦痛にしか過ぎない。哲学者みたいだが。そういう訳で蒙古の生活は飽き飽きしたので、また脱出の試みることにした。
不正問題と向き合わなければならないが、一介の派遣社員が何が出来ようか、と普通は思うが、俺に必要なのは不正の撲滅ではなく、投資した金を回収出来だけの時間を稼ぐこと。その期間隠蔽できれば良い。
内部監査が入る時期は分かっているのだから何とか対処ができるのではないだろうか。いきなり、不正を訴えても怪しすぎるから、検査部門に近いところに配置してもらえるように動いてみた。(まあ、トライ&エラーをなんどもしてだが)で、何とか検査部門に入れた。そして、社員の職長をコンタクトをして雑談くらいは出来るようにもなった。コミ障のぶーやんの体には非常なストレスがかかったようで、円形脱毛症にもなった。そして、監査が入る前にこの部署で行っている不正が狙われていると示唆した。
「何を言っているんだ。これは工場長直下で指示を受けた方法なんだぞ。監査が入っても問題ない」
なんと、職長には不正をしているという感覚が無いのだ。ここで行われている不正は、実際のパーツとは異なる加工を施した部品での安全性評価だ。普通に考えても、売っているものと無関係なもので評価しても意味が無いだろうと思わないのだろうか。ただ、職長にとっては会社が絶対であり、その方針は教義のようなものだからしょうがない。工場では自分で考える人間より言われたことだけ行う人間のほうが重宝される。特に現場では。ライン長まで話を持って行ったが当然のように無視され、案の定、内部監査で不正発覚。経営陣はそれなりのペナルティを喰らったが、会社に従っただけのライン長と職長は戦犯扱いで懲戒。俺も派遣会社から契約を切られた。
そんなものなんだろうなと思っていると、いつものドアが目の前にあり、それを脳死で取りつける俺がいた。
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