第6話 俺は普通に働いていたんだなの件
何故か、この日の昼食は覚えていた。普段から食事には気を付けていて、健康志向の和食店に向かったが、仕入れの関係で店が閉まっており、たまにはとチャレンジした洋食屋は非常に不味かった。あまりの不味さからだろうか、日時や場所まで確りこの体に引き継がれている。俺は先のその店に入って、邪魔にならずに、全体が見通せるところに座った。
ゆっくりと飯を食っていると、忙しない足取りで俺がやって来た。俺の存在が確認出来て安心したが、なんか態度悪くない?
横柄な態度で店員に注文するとし、食事が提供されると、一口二口食べたとたんに立ち上がり、札を叩きつけるように会計して出て行った。
うーん、俺ながら不快な奴だ。と言うか、ここのメシ旨くない?まあ俺は最後まで美味しく頂きました。何なら、残した分も食べたいくらいだ。まあ、俺がいることが分かって安心した。なんかむかつくけど。それならば、後はあのベンチャーへの投資を邪魔すれば良いだけだ。直接話しても、薄汚い男の言う事など聞くわけがない。小奇麗でも一緒だが。メールや手紙も一緒。さてどうしたものか。
そんなことを考えると、店は混んでおり、ランチ時間での長居はよろしくないので、店を出て寮に戻ることにした。
まずは当時の状況を思い出してみた。当時は投資先として、有望なベンチャーを探していた。あそこは目星をつけた会社の1社。規模が小さかったがかなり有望な技術を持っていた。だがしかし、有望なだけでは投資は出来ない。将来を見据えてなんて悠長なことは許されない。会社としても投資先としては投資先としては対象外にされていたが、この技術を必要とする自動車会社はあるはずだと、各自動車メーカーに網を張って情報を収集していた。当然、独立を考えていた俺は、この一社だけでなく、対象外でも可能性が高いと思われるところには情報もを張っていた。そして、ある時点で田中とトミタでEV開発プロジェクトが立ち上がることと、そのコア技術にこのベンチャー技術の採用検討しているとのこと。ただこのままでは技術しかないので、生産設備まで導入して採用するかで揉めていると。ベンチャーとしてはラボレベルでの試作品は完成しているが、量産するには資金が足りない。まさに投資チャンスなわけだ。俺の自己資産だけでは工場は立てられないが、会社から引っ張っても面白くない。危険だが、ビジネスにはフェアな資産家から金を引っ張って投資して、ベンチャーは投資による工場立ち上げプランを公表。田中発動機と共同開発契約を締結した。その後は、上場させて株の売却で投資資金を回収する予定であった。あの不正事件が無ければ。
トラブルを回避するには、少なくとも、投資前つまりこの先2週間で俺にこの件を諦めさせなければならない。
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