第5話 牛乳配達
この家の外では時間が狂っているらしい。朝来る筈の牛乳配達がやって来て、
牛乳瓶の入った箱をごとりと置く音がした。正午になった。
「なあ、ピーチャム、エズラはどんなところにいた?」
「コインランドリーの前で煙草吸ってた。でもうちの周りにはないよね、ランドリー」「そうだよ、ロブは都会ごとドアの前に歩いて来た、ここから200キロは離れた町だと思うな」
二人の間でこの家は物理法則を無視している、という認識が固まった。
ピーチャムは仮説を述べ始めた。「たぶんこの家はあちこちにあるんだ」だから訪問者も一軒家より多い。
俺はエズラの眼を思った。あいつはこの家の変な部分を知って利用した。たぶん田舎暮らしが嫌になったのだろう。ずる賢い女。
「というか、中に入れるなというのはこういうのを防ぐためじゃないか?」
俺は暇つぶしに家の周りをぐるっと一周したが、自宅の周囲の柳とか猫じゃらしがあるばかりだ。
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