第2話 二人の女

ジョヤ爺さんの家はさほど大きくない筈だが広く感じた。かといってがらんどうではなく、壊れた戸棚に飾られていたであろう人形や置物がしまわれたガラスケースやら、花を生けた大小の花瓶が空いたスペースを埋めるように置いてあった。どこのものだかスパイスの入った大きな瓶は日光を受けて光っている。

俺達は日当たりの良い食堂へ移動して普段はジョヤさんとガーベラさんの座る席に陣取った。フカフカのクッションが追加された椅子にかけると俺達は足がつかなかった。

食卓には大きなガラス鉢のような器にサラダが山盛りになっていて、それよりうず高く積まれた肉の煮込みから食事の匂いが漂っていた。俺とピーチャムは顔を見合わせてソースを味見して、ついでに肉もした。

いつしか肉を頬張っていた。チャイムの音。ピーチャムがモゴモゴと言った。「さっきとは音が違うようだな」

「今度は俺が出るよ」口の周りを拭って、手も洗ってから鷹揚にドアを開けた。どうせ修理工エベレットの来る予定より四時間も早いからだ。

結構天気が悪くなっていて驚いた。二人の女が傘を差して佇んでいる。

一人は大きな手提げを持っていて、もう一人は木の枝を持っていた。

「救いを求めませんか?」「結構です」ドアを閉めようとすると枝の女が呟いた。「この家では何か壊れているのじゃありません?」俺は構わずドアを閉めた。ドアの向こうが元通り明るくなったのが不思議でつい扉を開けると、そこにはもう誰もおらず、ポーチは明るく晴れていた。けれど、ポーチから降りる足音。そして雨音が聞こえた。

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