第16話 焔夜/Reputation

 時刻が二十時に近づていく。

 突然山の方から、大きな花火が上がった。

 それを見上げる女子三人組を先頭に、その後ろに付き従う雨宮と神崎。

 繚介は妹たちの自由と身の安全を尊重して離脱した後、まだ戻ってきていない。


(それにしても――)


 会話が弾んでいそうには見えない三人の少女たちを後ろから眺めつつ、神崎は思う。


(たしかにすごい人混みとはいえ、女の子が三人だけで夏祭りに来るのって、別に珍しいことでもないじゃん……)


 それをわざわざ監視役として自分を残してまで見守らせるというのは、繚介は兄としても過保護すぎるように思える。


(厄介なヤツにカラまれることなんて、そうそうないだろうし……)


 考えれば考えるほど現状がくだらなく思えてきて、この場を離れようかと本格的に検討し始めたところに、雨宮が声を掛けてきた。


「なあ、飲み物買い行かね? 喉渇いたし」


 そういえば「ジュース買ってくる」とか言ったのに、途中で紗香と合流してからすっかり忘れていたことを思い出した。


「ああ、そうだな。そうすっか」


 前の三人に、ちょっとジュース買ってくるわ、とだけ告げると、雨宮と神崎は連れ立ってその場を去った。


  *


 闇の中、繚介はただ立ち尽くしていた。

 呆然と空を見上げ、風に流されていく雲だけが時間の経過を感じさせる。

 ――そろそろ、嵐が来るな。

 予知能力とは無関係に、分厚い雲を眺めてそう思った。

 雲の隙間から弱弱しい月明かりが溢れ、彼の足元を照らし出す。

 侵蝕するように領土を広げる赤い血が、繚介の爪先に触れていた。


『和泉繚介――いや、〈BellWeatherベルウェザー〉と呼ぼうか。俺とお前は、よく似ている』


 つい先ほどのレインバードの声が、心臓のあたりで残響していた。

 視線を少し前にやれば、虚ろな抜け殻と目が合った。


『俺たちは悪魔に魂を売った人殺しだ。俺たちの手からは血がしたたっている。


 黒く広がった瞳孔はただ月光を吸い、どれほどの光も返さなかった。


『――お前も、すぐに本性を明かすことになる』


「――ッ!!」


 繚介は逃げるようにその場を駆け出していた。

 突き出した小枝に身体中を引っ掛けながら、走る。

 何かで頬が切れて血が流れ出るのもほうって、山をくだった。

 繚介は、ただ一つのことだけを考えていた。

 ――手を洗いたい。肌が擦り切れてしまうぐらい、丹念に。



 手洗い場で石鹼を大量に使って手を洗い、ハンカチでく。

 着物についてしまった血も丁寧に処理して、繚介は落ち着きを取り戻す。

 スマホで時間を見ると、時刻は十九時時半過ぎ。


(そろそろ、あいつらのところに戻らないとな……)


 グラウンドの三分の一ほどを歩き回って、妹たちの姿を見つけた。

 普段の調子のままを心掛け、合流しようとして――立ち止まる。

 妹たちの前に、不審な姿が近づいていた。

 とは言っても、諜報員アセットほどたちの悪い敵ではなさそうだ。

 不快なほど明るい金色に髪を染め、趣味の悪いネックレスやらピアスやらをぶら下げたよそおいの男。

 そいつはよりにもよって、紗香の方へと歩み寄っていった。

 神崎と雨宮が気付いてくれるはず、と二人の姿を探すが見当たらない。

 繚介は元諜報員アセットの訓練を思い出し、聴覚を研ぎ澄ました。


「――よう、彼女。何してんのー?」


  * 


 金髪の男が現れてから、三人の空気は明らかに凍っていた。

 警戒心に満ちた視線を向ける紗香の隣で、結実はあわあわと動揺を表に出し、響子は我関せずというような態度でただ男の目を凝視している。それでも三人に共通していたのは、こんな調子がいいだけのうわついた男など、まったく知らないということだった。

 紗香の強い警戒心を読み取ったのか、金髪はすぐに標的を変え、今度は一番冷静そうな響子に近づいた。


「それ、可愛いね。どこに売ってたの?」


 それでもなお無反応な響子の狐面に男が触れようと手を伸ばした瞬間、結実の身体がピクリと震える。が、その手を払う勇気はなかった。

 その時点で、三人のなかで結実だけはさとっていた。

 この金髪は、ナンパしようとしている。

 標的を簡単にコロコロ変えているあたり、常習犯らしい無節操さがあった。

 一方、人生の大半を監理局の施設で過ごした紗香は、異性の口説き方にそんな手法があることも知らず、彼の行動の意図が全く理解できないままでいた。

 ただ、敵が来たと思った。

 諜報員アセットではなさそうだし、貧弱な一般人男性にしか見えないが、彼女にとって好意的な存在ではないと確信していた。

 だから、彼女は密かにこう考えた。


(――こいつ、殺したほうがいい?)


 こんな弱っちいヤツなら、殺すのに能力どころか、兇器すらも必要なさそうだ。それでもさすがに友達二人の前ではれないし、なんとか人目のつかない場所にこいつを連れ出せば――ほとんど無意識のうちに殺しの緻密な計画が頭の中で組み上げられていく途中、聞き覚えのある声でそれは中断された。


「なあ、俺こいつらのツレなんだけど。お前なにしてんの?」


 男の背後から強引に肩を組み声を掛けたのは――神崎大翔だった。

 片方の手には、買ってきたオレンジスカッシュのペットボトルを握っている。


「ちっ、彼氏持ちかよ」


 露骨に悪態をつきながら振り向いた男の目が、神崎の鋭い眼光とかち合う。


「で、な に し て ん の ?」


 神崎は威圧的に顔を寄せる。それだけで、金髪の男は鬼にでも出会ったみたいに目玉を剝いて驚いていた。


「お、お前――ッ!!」


「なに? 俺のこと知ってんの?」


 予想外の反応に、神崎も不意を突かれる。


「す、すいやせんっした!!」


 なぜか必死に頭を下げ始めたりする。


「おい。急に態度変わったな。こわいぞ」


「こ、これでどうかッ! 命だけはァ!」


 金髪が差し出したのは、一万円札。


「いや、ちょっと。こんなの渡されても困るんだけど」


 動揺する神崎の胸元に紙幣が無理やり押し付けられ、金髪は背中を丸めて犬のように逃げていった。


「なんだったんだろう、あいつ……?」


 隣にいる雨宮に訊いてみる。


「まあ、お前、目つき悪いしな」


 素っ気なく答える雨宮。

 なんとも納得のいかない答えだったが、それ以上を追及しようにも、男の姿はすでになかった。


  *


 十九時四十三分十八秒。

 祭りの空気が形を変えていくのを、神崎は時が経つにつれじわじわと感じていた。グラウンド全体に発散していた喧騒が、徐々にグラウンド中央へと集束している。


「そろそろ、だな」


 数分前に合流していた繚介が、舌めずりするように言う。

 神崎にはそれが、どこか不吉な予兆のように見えた――。


  *


 実はこの夏祭りには、地域伝統の特殊な為来しきたりがあった。

 その特徴は、グラウンドの景色にもはっきりとあらわれている。

 グラウンドの中央にそびえ立つのは、数十本もの竹とかやを縄で纏め上げて造られた、巨大な大松明おおたいまつ。いまはシートが被せられ、姿はその下に隠されてている。高さは約五メートル以上もあり、重さにして約二トン。それが東西方向に、二つ並べて設置されている。

 二十時になるとこの二基の大松明には、火が灯される。そしてあらかじめ選ばれた二人の町民〈篝人かがりびと〉は、なんと果敢にも、東西それぞれの大松明の炎の中に飛び込んでいくのだ。二人は大松明に納められているワラ縄と神木を、競い合って取り出す。その勝敗により、地域の天候や豊凶を占うことができると言われている。


 この一大行事は、〈焔夜ほむらよ〉と呼ばれている。


  *


 十九時四十三分二十八秒。

 祭りの実行委員がマイクのテストを始めた。

 大松明に被せられていたシートが取り払われた。

 大松明が無骨で飾りの気ない姿を晒すと、その周囲に人々が詰めかけ群衆となる。その中には、神崎たちもいた。


「この夏祭りも、そろそろ終わりね……」


 紗香が遊び疲れた様子で、しみじみと呟く。


「いや、まだ終わりじゃないぞ。むしろ、これから始まるんだ」


 大松明を見上げた繚介が、言う。


「この夏の、今日という日の、最高のメインイベントが――」


  *


 十九時五十九分二十三秒。

 実行委員が〈焔夜〉の始まりを告げた。

 屋台の物売りが最後の声を振り絞った。

 二基の大松明の中央、やぐらの上で太鼓が打たれた。

 実行委員がうちいしで起こした火が、大松明にけられる。

 再び、太鼓の音が殷々いんいんとどろいた。

 のぼりでできた独特の衣装を身にまとった男たちが梯子はしごの上で、大松明を激しく揺する。瞬く間に火勢を増した大松明が、闇夜を焦がす巨大な火柱へと姿を変えた。


「すごい……」


 赤橙色の炎に顔を染める紗香は、思わず感嘆の声を洩らす。

 その隣では、射的のてんしょうだったオヤジが繚介と何かを話している。

 神崎も、暗黒の夜空を赤く照らす炎に見惚みほれていた。

 そんな彼の手に、綺麗に畳まれた布切れが渡された。

 視線を動かした先にいたのは、さっきまで繚介と話していた射的のオヤジ。


「なんすか、これ?」


「なにって、君がいまから着る衣装だよ」


 年不相応な屈託のない笑顔を、逆光になった炎が包み気味悪く演出している。

 状況に追いつけない神崎に、繚介がさらに理解不能な注釈を入れた。


「お前が今年の篝人かがりびとになるように、〈焔夜〉の実行委員長に掛け合ったのさ」


 繚介にサムズアップするオヤジ。


「オッサン、実行委員長だったのかよ」


 通りで、紗香の暴挙をあんなに盛り上げられるわけだ。

 そこは納得できたが、いま重要なことはまだ何もわからないままだった。


「かがりびとって、なんだよ?」


 未だ理解の追いつかない神崎に、繚介はビシッと指を突き付けて宣言する。


「要は、だ。お前がこいつを着て、あの炎の中に飛び込むんだよ!」


「はい――――⁉」


 爽快感に溢れた無茶振りの表情は、和泉紗香にそっくりだった。



 数分後には、神崎はのぼりでできた衣装に身を包んでいた。

 白い頭巾を頭に被せられ、まるで猫耳のような形になる。

 祭りの空気に気圧けおされてこんなことになってしまったが……。


(まずこれ、本当に安全なんだろうな……?)


 燃え盛る大松明を見るとどうしても不安になってしまう。

 今からあの中に飛び込んでいくなど考えられない。

 手袋をはめて着替え終わると、バケツを持った男が近付いてきた。

 中に入っているのは、いっぱいの水。


「あァ、なんだよ?」


 現状の不本意さを徐々に実感して、少し苛立った言動が出る。

 と、急に頭から水を浴びせかけられた。


「ちょっと、急になにすんのよ⁉」


 神崎が言うより早く、彼の隣から怒号が来た。

 見れば、彼と同じ格好をして、同じくずぶ濡れになった紗香の姿が。


「対戦相手、お前なのかよ⁉」


「負けないわよ、神崎くん!!」


 向こうは前もって知っていたのか、なぜか敵の方にサムズアップ。

 このままではいけない。勝負以前に意欲の段階で負けている。

 神崎は両手で頬を叩き、目前の、火の粉をはじく大松明を真っ直ぐに見据えた。

 やぐらの上で、何を言っているのか聞き取れないような叫び声と同時に太鼓が鳴り響く。


「お先、失礼するわ――!!」


 ほぼ同時に走り出す紗香。何の躊躇ちゅうちょもなく大松明に飛びついた。


「くそっ――!」


 神崎も慌てて駆けだす。

 燃え盛る大松明に手を伸ばし、力一杯つかもうとして、 


(――ッ⁉)


 感電したように手を引っ込める。

 想像をはるかに超えた熱さだった。

 一方で敵対者である紗香のほうはというと、


「くっ、このッ――!!」


 苦戦してはいるが、大松明から突き出した竹をしっかりとつかんでいる。

 二人を取り囲む群衆の関心はすでに、二の足を踏む神崎の方へ向いている。

 期待と、不安と、呆れの視線。視線、視線、視線――。

 神崎は一歩下がり、目の前の大松明の全体を見る。

 凄まじい熱気で、目を開けていることすら苦しいほどだ。

 脳が戦えと命令する一方で、肉体が離れろと警告を出している。

 まるで身体と自我が、二つに分裂してしまったような感覚におちいる。

 大松明から突き出した一本の竹を見つけると、すぐさま狙いを定め、それを力いっぱい――握り締めた。

 瞬間、群衆から歓喜の声が湧いた。

 歯を食い縛り、全身の重心を後ろにかけて竹を引きずり出そうとする。

 通常の男女での力比べなら、男である神崎のほうが有利である。

 だが、相手はただの女子高生ではない。

 わずか五歳の頃から人の殺し方だけを極めて生きてきた、超能力者なのだ。

 身体能力でも、躊躇いのなさでも、神崎を上回っているのは明白だ。

 勝敗はすでに決まっているのかもしれなかった。

 ただ、それでも一つだけ、神崎に勝利の可能性を与える要素があった。

 神崎の持っているもので、唯一紗香よりも上回っているもの。

 それは――体重だ。

 全身の体重をかけて引っ張る。

 作戦通り、竹は引きりだすことができた。それと一緒に編み込まれた茅の束もどさりと地面に落ち、炎を上げた。

 大松明の内部が露出する。

 隣を見れば、紗香はまだ苦戦している最中だった。

 勝機が、見えつつあった。

 


 数分の時を経て、軍配は――なんと紗香のほうに上がりつつあった。

 体重を利用した戦法で神崎には勝てないと判断した彼女は、外から崩していくという発想を変え、なんと燃え盛る大松明の茅の隙間に身体を捻じ込むようにして、目当てのモノを内部から直接引き摺り出してしまうという型破りな行動にでたのだ。

 そんなブッ飛んだ彼女の行動を見て、群衆は大喝采だった。

 この戦法により、紗香はすでに神木を取り出している。

 一方で神崎はというと、外から地道に切り崩す作業をひたすら続けているのみで、藁縄と神木のうちどちらも取り出すことができていない。


「あぁもう、ッつい‼ こんなの着てらんないわ‼」


 隣では紗香が大松明のなかから一度身体を出して、ヒステリックに叫ぶ。

 彼女の方を見て、神崎は自分の目を疑った。

 着せられていた胴着と頭巾を、脱ぎ捨て始めていたのだ。

 当然その下には、下着しか身に着けていない。

 それを見て、さらに狂喜し盛り上がる群衆。

 少し冷静になれば、危険すぎる奇行である。

 能力の性質上、炎に耐性はあるのだろうが。

 とは言っても、さすがに頭巾を脱ぐと頭髪の毛先に火がついていた。

 通常の人間なら、大火傷でも負っているところだ。


「おい、あいつ正気かよ⁉」


 歓声のなかに雑じって、雨宮の悲鳴とも言える叫びが聞こえた。

 神崎は心の中で「いま正気なの、俺とお前だけだぞ」と冷静に返してやる。


(――いや、俺も正気でいられる場合じゃないかもな……)


 思いながら、全体重をかけて竹を引く。

 下着姿の紗香の方を見て、神崎は重大な違和感を覚えた。

 紗香の大松明が、彼女のほうへ大きくかしいでいたのだ。

 本来なら神崎のように地道に切り崩していくのが正攻法であるはずの大松明を、そのまま変形させずに内部に身体を突っ込んでは引き抜いているせいで、バランスを失い、倒れかけているのだ。


「おい、お前――ッ」


 紗香に呼びかけるが、一度加熱した彼女はもう止まらない。

 もう声の届かない紗香の姿を見て、またしても肝が冷えるような感覚が襲う。

 紗香は、罵倒しているのか怒鳴っているのか、もはや聞き取ることのできない言葉をヒステリックに叫びながら、大松明を搔き乱している。

 長い髪の毛を狂ったパンクロッカーのように振り乱し、火の粉を宿らさせたその前髪の隙間からは、激しい感情を湛えた瞳が覗く。その感情を説明できる言葉を、神崎はすぐには思い当たることができなかった。

 それは現代の日本に生きる人間ならば、日常の中で――場合によっては、人生という長い期間であってさえ――はっきりと向けられることのない激しい感情の究極形。

 ――殺意、だった。

 観衆たちは騒ぎ立て、その場の空気感は変わらず〝夏祭りのメインイベントの、地域特有のちょっとした奇祭〟といった様子だが、現実は決定的に違っていた。

 紗香の感情に呼応するように、彼女の大松明が大きく燃え上がる。

 まるでそこに、新しい燃料が注ぎ足されたかのように。


(炎が、どこかから洩れている――?)


 それが具体的になのかは歴然である。

 それは和泉紗香の感情であり、発火能力であり、彼女自身の肉体だ。

 いままで抑圧されてきた殺意が溢れ、発火能力の制御が効かなくなっているのだ。 

 根元から焼けて灰になった大松明が、ついに均衡を失った。

 竹と茅の巨大な束が真上から彼女に襲い掛かり、彼女の全身から噴き出した炎と空中で出会い、紗香自身を巻き込んで、木片が四方八方に爆散し――なかった。

 紗香の方へ大きく傾いでいた大松明が、奇跡的に逆方向へと舵を切って戻って行く。

 大きな風などは起きていなかった。

 理解できない現象だが、いまそのことを気にしている暇はない。

 とにかく神崎がすべきことは、紗香よりも先に藁縄と神木を取り出して、少しでも早く勝負を終わらせることだ。

 神崎は意を決して大松明のなかに、腕まで深くねじ込んだ。 


 神が味方してくれたのだろうか。


 神崎は炎の中に、奇妙な感覚を探り当てた。

 すぐにそれを力任せに握り締め、


「根ッ、性――――――ッ‼‼‼‼‼‼‼‼」


 意味不明で、普段からは想像もつかない、調子はずれの雄叫びを上げた。それに呼応するように、ばきばきばきばきばきっ、と軽快な音を響かせ、炎から引き摺り出されてきたのは、長さ三メートルほどの木切れ。

 これが神木だろうか。

 少し不安になるが、木切れはその場に投げ捨て、再び大松明に突っ込んでいく。

 次に取り出すのは、大松明を縛っている藁縄だ。

 足元近くの低い位置を探すと、こちらは比較的簡単に見つけ出すことができた。

 千切れてしまわないよう慎重に引き出し、実行委員長のオヤジに手渡す。

 すでに神木を拾い上げていたオヤジは深刻そうな面構えで二つを確認し、


「勝利、東側ぁ――――――‼‼‼‼‼‼‼‼」


 高らかな宣言の声と共に、グラウンド中に太鼓の轟音が響いた。

 神崎は、その場にくずおれた。

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