閉鎖された記録

閉鎖された記録-②/Record-02

 薄暗い、孤児院の地下倉庫。

 室内には、備品と戸棚が整然と並んでいる。

 二人組の男女に連れられて、五歳ほどの幼女が現れる。

 幼女は金色の地毛で、西洋人とのハーフらしき顔つきである。 

 男が扉に鍵を掛けたことを確認すると、女は突然、乱暴に幼女の胸ぐらを掴んで、壁に押しつけた。そのまま、幼女の衣服を強引に脱がし始める。

 脱がしずらいものは、男が力任せに引きちぎった。

 幼女は悲鳴を上げたり、抵抗する様子を一切見せない。

 室内に響く音といえば、昂揚した男女の激しい呼吸と、衣服の繊維が引き千切られる音と、幼女の身体が壁に叩きつけられる音だけである。

 されるがままに衣服を脱がされ、暴行を受け続ける幼女。

 

 四七秒ほど暴行の映像が続き、事態は急変する。


 全裸の幼女への暴行を映している映像のなかで、突然、幼女の姿が消滅する。

 男女は、消えた幼女の姿を探して周囲を見回す。

 数秒だけ視線を交わして、倉庫のなかを二手に分かれて探し回る。

 

 つぎの場面は、人類危機監理局にとって、注目に値する。


 女の方が、痺れを切らせた様子で備品の一つを蹴り上げた瞬間――轟音とともに、ひとりでに動き出した戸棚が女を圧し潰した。

 痛々しい悲鳴を上げる女。

 急いで駆けつける男。

 轟音はさらに大きくなり、それに伴い倉庫全体が揺れ始める。

 肉体が潰れるような音とともに、女の悲鳴が消えた。

 監視カメラが落下し、映像が途切れる――。


 これら一連のイベントは、何らかの超能力現象に関わるものだと思われる。

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