第4話

 次の男は車持皇子と名のった。

「皇子ばっかり。皇子だらけなのか、この星は」


 もちろんそうではない。

 いずれもかなり位の高いものだ。


「だったらいいってわけでもないのよ・・・」


 この星に来てひとりごとが増えた。

 毒の吐けないこの星の「姫」と呼ばれる生き物はなんて生きづらいのだろう。


 見るからに手足の短い男は、顔も愛嬌にあふれていた。


「まあ、かわいらしい」

 人間じゃなかったらね。


 車持皇子の顔は姫に「かわうそ」を連想させた。


「お目にかかれ、大変うれしく思います」

「私も・・・」


 かわうそは小鼻を膨らまし目を輝かせた。

 こいつ、かわいい。人間じゃなかったらね。


 姫は車持皇子には蓬莱の玉の枝を所望した。


「お任せください。必ずや」

 車持皇子はすっくと素早く立ち上がり、短い手足をふりながら出ていった。


「シルエットもかわいい」


 でも、それだけじゃあねえ。

 女は欲張りだから、それだけじゃだめなのよ、若人。勉強してから出直しな。


「がんばって、かわうそ君」


 姫は扇を打ち鳴らし、閉じた。


「はい、次~」


 姫は隣に控えている侍女に言った。

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