幸せの形

カチャカチャ

『祝福」の投稿日が経ってどんどん増えていった。後、500人。

あれから、頼んだけど納品日を見ると、この調子で増えるならグッズは間に合わない。その代わりとして、ファンクラブと、2Dでのトリッキングを使い動かして記念配信と、少し実写ショートを出すことにした。

2Dは10日間の無料期間があるのソフトを使う。カメラも安物を買っといた。


実写は机の上から撮って、手を写すだけ。

今は、そのショートの編集をしている。

ガチャ

母が帰ってきたみたい。


「類さん。ここです」


うん?貧乏なこの家では普通の声なら筒抜け。甘ったるい声が聞こえる。


「類って誰?」


「知らないよ」


こそこそと姉と喋る。

ガチャ


「お母さんおかえり」


「だれ?あ、凛花か。ひろしさん、ごめんね。もう一人娘いたのに忘れてた。ごめんね。二人ともいるから入ってね」


「え?ちょ」


ガチャ

無理やり押し込ませるように、男性が入ってきた。


「えーと」


「こんにちは。いない存在にされてた、嵐山凛花です。いつものことなので、お気にならないでください」


「あ、嵐山 花芽です。凛花の姉です」


「えーと、小山 類です。君達のお母さんと結婚を前提に付き合ってます。凛花ちゃんさっきのはどういうことかな?」


「そのままの意味です。私は母から認識されてないんです」


「辛かったね。これからは俺が愛してあげるよ。受け入れるには時間がかかるだろうけど、君に父って言われるように努力するよ。小さいのによく頑張ったね。これから幸せに家族4人で暮らそうね。大丈夫だよ。これからは、今までのぶん愛してあげるし、穂花も説得するよ」


ああ、この人は嫌い。偽善者で、身勝手だ。

そんな簡単に愛してもらえることが出来るわけないのに。

愛されるなんて憎しみで出来てるんだから。

でも、今は変なこと言わないべきだよな。


「はい」


にっこりと笑顔で言えば、嬉しそうにする。

ちょっろ、いや、幼い子だからかな。


「あなたが父になってもどうでもいい。でも、今が幸せじゃないって言わないで!」

姉が急に叫んだ。


「私みたいな一人で幸せじゃないかもしれないけど、笑っても無理してるかもしれないけど。けど。けど!凛花が笑ってる時は不幸じゃないと思ってるから。不幸だって決めつけないでください!今までが真っ暗だって言わないでください。凛花は。私の妹はそんな子じゃない!不幸な状況だからって、誰かにしてもらわないと幸福をつかめない子じゃない。周りを巻き込んで、周りを大切にして幸せを掴みに行ける子で。あなた達がいようと、いないだろうか、それで変わるような子じゃないです。

さっきの言葉否定してくりゃしゃい」


「・・・。ごめんね。二人とも気悪くして、ごめんね」


「私は大丈夫です」


「私も大丈夫。急に泣いてごめんなさい」


うーん。気まずくなったな、、

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