第39話 戸越銀座商店街
戸越銀座商店街は、都内の2大食べ歩きスポットとして谷中銀座商店街と向こうを張る下町商店街の一つだ。
高校から電車で数十分ほど移動すると、屋根などが全て木造化された戸越銀座の駅のホームに到着した。
「なんかこの駅、凄い……っ、木の匂いと暖かみを感じる」
戸越銀座の駅をぐるっと見まわしながら、雪野はスマホのカメラを向けた。
「気に入ったのか?」
「うん、この駅、凄いかっこいい! 他の駅とはデザインが全然違うし」
「この戸越銀座商店街の駅舎は何年か前に改修して木造化を実現したんだ。それから優れた建築デザインの賞を受賞するくらい、人気のある駅舎なんだよ」
「へぇ……めちゃ好き」
今日最初の「めちゃ好き」いただきました。
にしても雪野ってメシ以外にも興味示すんだな。
木の香りよりも脂っこい香りにしか興味ないと思ってたが。
「……温森くん、なんか失礼なこと思った?」
「おっ、思ってないが?」
「……じー」
雪野はジッとこちらを睨みながらカメラのレンズも向けてくる。
「どうして睨むんだよ! あとカメラも!」
「ぱしゃり」
「な、なんで写真撮ったんだよ」
「ふふん、ないしょ」
雪野はご機嫌な様子になって、先に駅の改札の方へと行ってしまう。
ったく、相変わらずよく分からないな雪野は。
駅の改札を出て、外から駅の外観を見てみると、黒と銀のシックな造りと銀の『戸越銀座駅』という看板がとても趣を感じさせる。
「駅のホームもそうだったけど、ここってかなり落ち着いてるよな」
「うん……こういう所、好き」
「さ、そろそろ戸越銀座の中へ行ってみよう。ちゃんと戸越銀座の中の店は調べて来たか?」
「もちろんっ……今日はわたしが、温森くんをエスコートするんだもん」
雪野はかなり張り切った様子で答える。
雪野のエスコート、か。
あ、脂っこいのばかりだったらヤバいな。
俺は胃の心配をしながら張り切る雪野の隣を歩いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます