第35話 ツギノイキサキ


 結局、保健室では決まらなかったので、俺は家に帰ってから考えることに。


 俺はゆったり風呂に浸かりながら、防水シートに入れたスマホをタプタプする。


「がっつりしたもの……か」


 これまで行った抹茶クレープとかもスイーツとはいえ、かなりガッツリしていたとは思うが……。


 雪野の言うガッツリは肉系ってことなのだろうか?


 だとしたら最近話題の分厚い肉のカツ丼とか?


 あれはガッツリしてる上にジューシーでたまらないグルメだ。


 他にも肉系ならカツサンドとかローストビーフ丼とかいくらでもある。


 ただ、雪野が望むガッツリに沿っているのか……それが問題だ。


「男にとってのガッツリと女子にとってのガッツリって、何か違うような感じもするんだよな……」


 そもそも雪野自身のガッツリの定義も曖昧だし……。


 雪野はきっと何を食べても喜んでくれるし、それこそ楽しんでくれる。


 でも、だからこそ雪野を驚かせたい。


 雪野は裕福になってからこれまで色んなものを食べて来たと思う。

 それこそあのお母さんは拘りが強そうだから良いものを選んでそうだし。


 そんな雪野が驚くガッツリなんて、トップクラスの高級グルメだと思ってしまうが、それは違う。


 これまでの傾向からして、雪野が望むのは高級志向ではない。


 雪野は下町の雰囲気や食べ物に強い興味を示していた。

 俺たちの生活の中にありそうで、雪野がまだ知らないものを選ぶべき。


 だとしたら……。


「……そうか」


 雪野が驚いてくれそうなガッツリは、雪野自身で選んでもらうか。

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