第31話 作戦会議

「まずシーカーが見つけた犯人だが、闇ギルドに所属してるやつらだ。貴族なんかも裏で仕事を回してるとこだな」


 闇ギルドか、人殺しとか強盗みたいな違法な任務を受ける集団だ。小さいところなら潰されるけど大きいとギルオジが言った通り貴族が金を出していたり関わってるせいで簡単には潰せない。


 対処法としては一人も逃さず拠点ごと一気に潰すのが最適かな。そこまでされたら金回してるやつらもすぐ見捨てるし、関わりがあることがバレないようにするはず。


「拠点はわかっているのでしょうか?」


「この辺だ」


 ギルオジが壁にある地図に指を差す。そこは隣町とのちょうど最境目になる場所で、誰も通ろうとしない山奥。隠れるなら一番見つかりづらいだろう。


「元々目はつけてたんだが、警戒心が強くてな。カチ込もうにもどういう道を使ってんのか入口すらまだ見つからねえ、下手に近づくと逃げられるし監視だけしてた」


「中にいるんですよね、山ごと潰してしまえばいいのでは?」


 挙手したのはレイラパーティの一人。言ってることが異次元過ぎてちょっと理解できないぞ、やってること昔の父さんと変わらないじゃないか。


「馬鹿野郎、そんなことしたら地形が変わって周辺に影響が出るだろうが。それですむなら俺がとっくにやってる」


 誰か助けて、ここ竜種の村より化物の巣窟だ。


「ではどうします? 火竜の混血に焼かせますか?」


「ちょっと待て、私になにさせるつもりだ」


「なにをさせるかって……ナニをしてもらうのもいいな」


「私の友人に下品なことを言うなカルラ、潰すぞ」


 こいつ後で蹴飛ばそう、レイラも許してくれるだろ。ていうかすでにレイラに顔面握りつぶされそうになってるわ、そのままやっちゃって。


「お前らSランクはなんでそう、毎回大規模に被害が出る作戦を思いつくんだ……たぶん中に地下道がある。焼いても逃げるだけだろう」


「じゃあどうするのさ、外から何しても逃げられるんだろ?」


「そこでシーカーの功績だ。あいつらの足跡を追ったら竜骨のある地帯の洞窟に逃げ込んでた、そこから一気に叩く」


「ギルバートさん、一人も逃さないとなると他の出口を抑える必要もあります。おそらく複数箇所に出口があるものと思われますが」


「逃げ出したら別働隊が抑える。偶然にも壁越しで人の位置がわかる奴と一瞬で野山超えられる奴がうちにいるからな」


「ヨナはともかくシロも使うつもり!? 冒険者じゃないんだよ!」


「そっちには俺が着く、Bランクのサウンズ経由で随時連絡もとるから心配するな。かすり傷一つつけさせねえよ」


「ギルドを上げた大規模な捕縛作戦だ、ギルバートさんが着くなら安心していいぞラヴァ」


「まあ……それはそうだけど」


 ちょっと心配だな。でも連絡は取れるらしいから定期的に状況を聞くか……。


 そして私はレイラパーティに混じって正面から入ることになった。


 作戦としてはレイラパーティに私とシーカーが同行して五人の本隊が洞窟から拠点へ侵攻、片っ端から闇ギルドの所属者を捕まえる。


 別働隊はヨナ中心の索敵パーティ。遠視や共感覚のスキルを持つ人で熱源感知ができるヨナをサポート、見つけ次第シロとギルオジが出口を塞いで捕縛。連絡役に遠方の音を聞いたり発したりできる音響魔術師のサウンズが加わる。


「闇ギルド関連の作戦は危険なものが多い、覚悟していけ」


「Sランクパーティとして最大の功績を出します。お前達、いままでで最も重要な任務だと思え」


「なんで俺も本隊に……闇ギルドに侵攻なんて無理だぁ」


「頑張れシーカー、できれば死なないようにね」


 死にたくねぇと頭を抱えるシーカーを励ましつつ、全員が夜の作戦結構に備えて準備を始めた。

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