第29話 食わなきゃやられる
「うっ……うぅ、苦ぁい……」
「ほら最後だ、自信作だぜ!」
ヨナとシロが美味しそうに食べる中、サバイバル料理ということも合って素材の味をふんだんに感じられる虫料理を食べ進め最後のデザート。
グリーンビーのゼリーが机に置かれた。
見た目こそ緑色の甘そうなゼリー、匂いもグリーンビーが集める花の蜜の香りがして美味しそうなのだけど……ゼリーの中にこれでもかとグリーンビー本体が入っている。ほぼそのままの姿で。
「もう……勘弁……」
「食え」
「はいぃ……!」
食べなきゃヨナ達が悲しむだろうと思ってはいるけどそれ以上におっちゃんに殺されそうだから、虫だけ避けてできるだけゼリーの部分のみ食べられるよう自分の皿に盛った。
「これ採れたてみたいに新鮮です。ラヴァさん、お腹から溢れる蜜が甘いですよ、どうぞ」
「うひっ……!? あ、ありがとヨナァ……」
「こいつは頭のほうが美味しい、ラヴァ、食べてみて」
「うぅ……いただくよぉ……」
だましだまし食べてるふりで避けようとしても両方からのおすそ分けが断れない……私のお腹大丈夫かな、一応人でも食べられるものだけどトイレ行くのが怖いよぅ。
でも食べる内にヨナとシロが私を挟みつつも自然に会話してるのが嬉しい、無理してよかった。
ふと前を見るとおっちゃんが最後の料理を出し終えたからか席についている。お客さんもいないから暇みたいだ。
「そういや聞いたか? この前竜骨のある場所が封鎖されたんだってよ」
「それ知ってるよ、報告したの私とヨナ」
「お前らが任務行ってたのか。そりゃ問題が起きるわけだ」
「なにもしてないよ! 魔物が突然集まってきたんだ、それも雑魚ばかり」
普通ならありえない事象、ギルオジが言ってた通りテイマーの仕業という線で調査されているらしい。
「それ、朝サーヤ言ってた。手がかり、見つかった」
「そうなの?」
「夜に虫が暴れたから、隠れてた奴が出てきた。足跡があったって」
それ私じゃないだろうな? 昨日逃げた私の足跡だったら調査の邪魔をしてしまったことになる、詳しく聞いておこう。
「どんな足跡?」
「人間、質の良い靴、男二人」
「ってことはシーカーが調査したのか、Bランクに腕のいい人がいるから」
私じゃないな、よかった。
「あとなぜか竜人の足跡があった、女一人」
やっべ、無駄にいい仕事しやがって。
「ならアドさんの任務も再開できそうですね」
言われてみればあと1日分放ったらかしだな、帰ってきたら竜種の村に行く約束だったけどその任務が私達のところに来るか確認してからじゃないと。
「とりあえず調査が進んだならよかったね」
「お前らンとこのギルドがやってんならもう終わりそうだな。バカばっかだけど腕はいいし」
「否定できないのが悔しいよ」
「そういえばこっちの嬢ちゃんもか?」
「シロは受付嬢、冒険者じゃないよ」
「そうか、可愛い子が入ったもんだ。サーヤも大人っぽくていいけどよ」
「いまそれ聞いたらサーヤさん喜びそうだなぁ」
シロが人気すぎてちょっと不満みたいだし、目に見えて喜びはしないだろうけどちょっと機嫌直るかも。
と、雑談しながらゼリーを食べ進めてなんとか完食することができた。
―――――――――――
話を進めたい気持ちvs字数が少なくなって内容が薄くなる気持ちがせめぎあってますわー!
心にお嬢様を飼うことで精神を健康にしたいと思いますことよ。
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