第23話 新装備とサプライズ

 宿に戻ると私宛の荷物が部屋においてあったので開けてみると予想通りレイラからの耐火服が入っていた。


 赤と黒の布に、邪魔にならない程度の装飾がある。しかも一式揃えて効果を発動するタイプじゃなくて個別に耐火のエンチャントがされてる高級品!


「これが新しい耐火服かぁ、着替えてみてもいい?」


「ぜひ、私も見てみたいです」


「よし、じゃあ早速――」


「き、着替えは別の部屋でしてくださいっ!」


 その場で今着てる服に脱いで着替えようとすると止められてしまった。別に女同士だし気にすることないけど、そのへんの感覚も育てられ方で違うのかな?

 今度一緒に水浴び行こうと思ってたのに。



 別の部屋で着替えて部屋に戻る。

 着てみればサイズはぴったりだし、角が引っかからないフードや尻尾穴まである竜人用のオーダーメイド服みたいになっていた。

 いくらかかったんだこれ……耐火エンチャントに亜人用のオーダメイドっていくら貴族でもかなり出費なんじゃ。ていうかレイラはなんで私の服のサイズ知ってるの!? 怖っ!


「サイズぴったりですね、すごくかっこいいです!」


「なんでぴったりなのか不思議だけどね、胸までちゃんとしてる」


「あ、これ忘れてますよ」


 そう言ってヨナが箱の中から上の下着を取り出した。普段つけてないから持っていかなかったんだけど。


「私にはなくてもいいから、別に困ることないし」


「小さくてもつけたほうが良いですよ! 女の子なんですから!」


「そんなはっきり言うなんてあんまりだっ!」


 結局無理矢理つけさせられた。

 はぁ……窮屈で落ち着かない、とりあえず確認はできたしもう脱いで寝よう。


「おやすみヨナ、明日私は報酬受け取ったあと用事があるけどギルドにいる?」


「はい、シロさんともう少しでも距離を縮めたいので」


「今日はよかったね、サーヤさんが言ってくれたのかな?」


「だと思います。まだ目を合わせると怖がられますけど、いずれ友達って言ってもらいたいです」


「私も二人が仲良くしてるところを見たいよ。じゃあもう寝ようか」


「はい、おやすみなさいラヴァさん」


 笑顔で眠ったヨナは寝言でもシロのことを話していた。夢の中で二人で遊んでるみたいで、早く実現すればいいなと思う。

 途中なにかを食べだした時は聞かないように耳を塞いで寝たけどね。



 翌朝、二日分プラス被検体になった分もあって結構な報酬金を受け取った私はギルドへ向かうヨナと別れて街の南側へ向かった。


 食堂のおっちゃんにゲテモノ料理屋がないか確認しに行くため。昨日シロが初めてヨナの名前を呼んでくれたから、いっそこのまま同じ話題で仲良くなってもらおうってわけだ。


 なきゃないでおっちゃんに頼むつもり、作れないことないでしょ……たぶん。


「へいおっちゃん!」


「らっしゃい、今日は早いな」


「おすすめ一つ……と、この辺で虫料理出すお店ある?」


「急にどうした? 任務中に頭でも打ったか?」


「昆虫食亜人の友達がいて、二人とも共通の話題かなって」


「そうか……つってもなぁ、人の街にそんな物好きな店ねえよ」


「やっぱそうだよねぇ……」


 あるわけなかったよな、亜人と共存してる街ならいいけどここは人が中心の街だし。強めの差別はないとは言え亜人用の店とか趣味に合う場所は少ない。


「おっちゃん作れないの……?」


「できねぇこたねえがよ、作ったところで食うの二人しかいねえんだろ? 仕入れやらでこっちは赤字だよ」


「じゃあ材料費とか節約するために私が取ってくるよ、必要なものがあれば教えて」


「おお、やる気あんな……じゃあちょっと待ってろ、俺が昔修行でサバイバル料理作ってた時のメニュー書き出すからよ」


「ありがとおっちゃん! 助かるよ!」


 しばらく待っているとおっちゃんがメニューと材料が書かれた紙を持ってきたので確認する。


【ブラックバグの串焼き】

【ミートワームのスープ】

【鬼蜘蛛のステーキ】

【ヨツメガサナギの素揚げ】


「……うーん、料理名見るだけでちょっと想像したくないレベル。あと鬼蜘蛛は使わないでほしいな、一人アラクネだから」


「あー、ならそこは変えてグリーンビーのゼリーにするか」


「じゃあ調べて取ってくるよ、数日かかるかもだけど」


「獲ったらすぐ持ってこいよ、できるだけ新鮮な方が良い。適切な処理はするが慣れてなきゃ腹壊すぞ」


「私は食べないから――」


「俺に頼んどいて食えないってか?」


 うぐっ……マジで?

 いやでも無理言って頼んでるし、ここで食べないって言ったらおっちゃん怒りそう。

 あぁすんごい睨んでる、料理に人生賭けてる人の目で睨んでる。


「わかったよぉ、私も食べるよぉ……」


「それでこそ冒険者だ。持ってきた分だけ作ってやるからいくらでも獲ってこい」


「くぅ……」


 でもこれでアテはできた。生息場所を知りたいけどギルドか、こういうのに詳しいのは魔術師かな。ヨナとシロには秘密にしておきたいしアドにでも聞いてみよう。


 ヨナには一日別の用事で空けるって言ってあるし、早速情報収集だ。




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【あとがき】

ストックが尽きたので少し投稿間隔開くかもしれません。

同時投稿中の『夫がダメなら眷属です〜結婚断ったら女神様の眷属にさせられたけど自由に生きていいらしい〜』は毎日投稿中ですので見て貰えると(ついでに☆や感想いただけると)嬉しいです。

https://kakuyomu.jp/works/16818023213078938346


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