第5章90話:オムライス

春。


ある日のことだった。


私はオムライスを作りたいと思った。


なので【キトレルの街】に出かけた私は、材料を買い込む。


山小屋やまごやに帰宅する。


ちょうど日が暮れ始めたころだった。


「はぁ……腹が減ったな。今日の作業はここまでだ」


薪割まきわりを終えたクレアベル。


彼女は続けて言った。


「さっそくメシにしよう」


私は告げる。


「あの、今日は私が夕食を作ってもいいですか?」


「ん? 急にどうした?」


「ちょっと作ってみたいレシピがありまして。街で食材も買ってきたので、チャレンジしてみたいなと」


街ではトマトと米と卵を手に入れた。


これらを使ってオムライスを作ってみたいと思った。


「そういえば、まだお前たちに、本格的に料理を任せたことがなかったな」


とクレアベルは言う。


これまではずっとクレアベルが料理を作ってくれた。


私とアイリスは料理の手伝いをすることはあっても、料理そのものをこしらえたことはなかった。


「セレナはもう13歳だもんな。よし、いいだろう。やってみろ」


「はい。ありがとうございます」


私は答える。


さっそく調理場ちょうりばに立つ。


異世界はこれが初料理はつりょうり


しかし……もちろん、私は前世で何度も自炊じすいをしている。


記憶だけで、なんとかなる。


「セレナの料理だ、とんでもないものが飛び出してくるかもしれない」


「うん、私も楽しみ! どんな料理が出てくるんだろう?」


「あはは。ほどほどの期待でお願いします」


と、言っておく。


前世の料理が、異世界人の口にあうか、わからないしね。


さて。


料理の許可をもらったので、さっそくキッチンに立つ。


準備を始めた。


鶏肉とりにくを刻む。


たまねぎを刻む。


米をく。


ケチャップは異世界に存在しないので、トマトを使って一から作る。


以上をフライパンでいためてライスが完成。


あとは卵を焼いて……


ライスにかぶせ、ケチャップソースをかけて……


完成だ。

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