第4章84話:反撃

私は述べた。


「今回は、とても貴重な体験をさせていただきました」


さらに告げる。


「特にドレアスさん、あなたの【腐敗】は、私にとって得難えがたい経験でした。おかげで、チョコレート魔法はさらに高次の魔法へと進化できましたから」


ドレアスが冷や汗を浮かべている。


私は不敵に微笑んで、尋ねた。


「さて、これからあなたがたを虐殺するわけですが……遺言ゆいごんはありますか?」


するとニッシュが焦りながらも、激昂する。


「虐殺だと!? 師匠にたった一発決めたぐらいで、イキってんじゃねえ!!」


直後。


ニッシュが攻め込んできた。


疾駆しっくし、間合いを詰めてくる。


「いいえ。ここからは虐殺です」


静かに告げる私。


ニッシュが斬撃を振り下ろしてくる。


「ラアアァァッ!!」


瞬間。


私はチョコレート・カッターを振り回した。


ニッシュの両腕が――――


スパッと、切断される。


「あ――――」


ニッシュが目を血走らせる。


「ああああ、あああああああ!? オレの、オレの腕がああああああああ!」


絶叫をあげるニッシュ。


そんな彼の首に、チョコレート・カッターを走らせた。


まるでバターのごとく滑らかに、ニッシュの首を切断する。


綺麗に吹っ飛んでいったニッシュの生首が、地面に落ちた。


「ニ、ニッシュ!!?」


ジルが驚愕に、叫んでいた。


私は静かに宣告する。


「まず、ひとり撃沈ですね」


そのときだった。


私のそばに迫る影があった。


ドレアスである。


ドレアスが【腐敗】の魔力を込めて、攻撃を仕掛けてくる。


「よくもニッシュを……!」


ドレアスは静かに、怒りに燃えていた。


ドレアスが、私の腹部を思い切り蹴りつけてくる。


突き刺さるようなキック。


しかし。私は告げる。


腐敗それはもう効かないといったはずです」


「!!」


私は、とびきり大きなチョコレート・ハンドを生成した。


それをドレアスへと差し向け、ドレアスの身体をてのひらで包み込む。


「ぐっ!!?」


拘束されたドレアス。


すぐさま【腐敗】を発動して、なんとかチョコレート・ハンドを腐らせようとしているようだが……


もう、私には通じない。

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