第4章83話:対策

私はチョコレート・ハンドでジルに攻撃を仕掛けた。


「くっ!?」


ジルは慌てて私から離れ、距離を取る。


私はゆっくりと起き上がった。


ニッシュが驚愕に目を見開いている。


「まじかよ……あんだけ攻撃しても死なねえのかよ。こいつ、マジでなんなんだ……?」


私はそんなニッシュにチョコレート魔法を放った。


チョコレート・パンチを飛ばす。


ニッシュが二つの剣をクロスさせて、チョコレート・パンチを受けた。


「ぐっ!?」


しかし勢いを殺しきれなかったか、後退する。


ニッシュが冷や汗を浮かべる。


「ちっ……なんて威力だ」


「ニッシュ、援護しろ」


とドレアスが言って、私に疾駆してきた。


「ふっ!」


鉤爪かぎづめのような掌底しょうてい――――


と見せかけて、キックへと切り替えた。


いっそ美しいと感じるほど、流麗な武術。


【腐敗】の力を込めたハイキックが、私のこめかみに炸裂する。


「終わりだ、お嬢ちゃん」


ハイキックを決めたポーズで、ドレアスが宣言する。


私は尋ねた。


「えっと……何が終わりなんですか」


「!!?」


私はドレアスにチョコレート・パンチを放つ。


ドレアスは後ろに退避して、それをかわした。


追いかけるようにチョコレート・パンチを食らわす。


「なっ!?」


ドレアスも気づいただろう。


チョコレート・パンチに【腐敗】が効かなくなっていることに。


「ぐはっ!!?」


【腐敗】しなかったチョコレート・パンチが、ドレアスを殴り飛ばした。


吹っ飛んだドレアスが樹木に激突する。


「ド、ドレアスさん!!?」


ジルが冷や汗を浮かべて叫ぶ。


ニッシュが、戦慄する。


「まじか……師匠をぶっ飛ばしやがった」


「くっ……」


ドレアスがよろよろと起き上がる。


疑問を口にするドレアス。


「なぜだ……? 確かに【腐敗】は使っていたはずだ……」


「魔法回路を再構成しました」


と私は疑問に答えてあげる。


ドレアスがつぶやく。


「なに……?」


「腐敗に関する知識と対策を、チョコレート魔法にぶちこみました。だから、もう私に【腐敗】は通用しません」


【腐敗】は通用しないという私の宣言。


さすがのドレアスも、冷や汗を浮かべた。

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