第3章59話:破滅

ライネアさんは言った。


「ネリアンヌ嬢。あなたがおこなった罪の数々は、まことに許しがたい。よって……あなたを逮捕させていただく」


「嫌よ! な、なんで私が、捕まらないといけないの!!」


とネリアンヌが拒絶する。


しかしライネアさんは、


「おい」


と背後にいる男女に、短く合図した。


「はっ!」


おそらくライネアさんの部下なのであろう、彼らは御意ぎょいを示す。


そしてライネアさんの部下たちはネリアンヌを取り囲み始めた。


その腕や肩を掴む。


「ちょっ、やめて! 離して!」


ネリアンヌが抵抗する。


彼女は、自身の護衛に向かって叫んだ。


「あなたたち、助けなさいよ!」


しかし護衛たちはしどろもどろだ。


なにしろ相手はソルフェーユ公爵。


さらに王都の騎士団長ライネア。


逆らってもどうにもならないことは察したのだろう。


護衛は静かに目をそらし、ネリアンヌを見捨てる素振りを見せた。


「くっ!」


ネリアンヌは絶望の表情を浮かべた。


しかし一転して、牙をむく。


「放せって言ってるでしょ!!」


「!?」


ライネアさんの部下たちに捕まえられていたネリアンヌが、魔法を放つ。


半ば自爆するような攻撃である。


ライネアさんの部下たちは、いったんネリアンヌから手を放して、退避した。


「……!!」


その隙にネリアンヌが逃走しようとする。


しかし。


「どこにお逃げになるつもりか?」


「!?」


ネリアンヌの逃げようとした先に―――――


いつの間にか回り込んでいたライネアさん。


鋭い眼つきで、ネリアンヌを威圧する。


その迫力に、ネリアンヌは、後ろに一歩あとずさる。


「大人しく連行されていただけないなら、こうするしかあるまい」


「え―――――あがっ!!?」


ライネアさんの蹴り。


殺人的なまでに素早く、キレのある前蹴りがネリアンヌのみぞおちに突き刺さる。


「か……はっ……あ、……」


たまらずネリアンヌは、倒れ、悶絶する。


ライネアさんは部下に命じた。


「連れて行け」


「「「はっ!」」」


ライネアさんの部下たちがネリアンヌを無理やり立ち上がらせる。


そして引きずるように、ネリアンヌを連行していった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る